今日はひと頃の厳しい寒さも少し和らいでいる。たったそれだけの気温の変化でも、僕の気持ちと思考は緩んでしまう。
いつもは会社に向かってほとんど脇目も振らずに歩いていくこの道。
思うと、この一帯をゆっくり眺めたことがない。そんな気持ちのゆとりからか、歩をゆるめてみた。
パブサロンという名前が目に入った。いつもなら気がつかない看板。すでにその看板には電気が入って、¥3000-ポッキリの文字が浮かびあがっている。
こんな朝から営業しているのか? こんな早くから客なんか来るのか? まさか、朝っぱらから来るわけないだろう、と思う反面、もし来たらどうするんだろう、と想像してみる。その為に女の子を何人も待機させておくわけにはいかないはずだ。
きっと、
元々低音の店主は、しゃがれ声で「いらっしゃいませ」と言う。そのあと、ソファーに座らせ、お冷を出す。真っ暗な部屋を点滅するピンク照明で照らす。そして扇情的な音楽を流す。さらに、お客を騙すため壁の裏側にセットした若い女性たちの会話テープを流す。慌てる店主は厚化粧で女装し、悩殺ランジェリー姿で現れる。客は気づかない。……だったりして!!!!!!
ほんと不思議だ。こんな朝から? これ、アサパブとでもいうのか?