
とある田舎町にある安食堂丸めろに働く洋子は、
この日、
お友達の逸話繭実(いつわまゆみ)がやってくるのを楽しみにしていた。
風向きとともに現れる逸話繭実(いつわまゆみ)は、
教訓に富んだ逸話を通して、
そこに広がる意味が、
繭の中の実が現れたように示すので、
丸めろの洋子には、
無味乾燥の毎日のオアシスやった。
そして、
丸めろの洋子の期待通りに、
風の流れとともに、
背が低くて笑顔を絶やさない女性、逸話繭実(いつわまゆみ)がやって来た。
仲良しのコンビニ店員の緑髪女性のレタスちゃんも一緒に来た。
レタスちゃんは丸めろの洋子に、
「レタスは葉を一枚一枚剥いでいけば最後はナニも無くなるのよ。けどその一枚一枚に意味があるの。だからあたしはそんなオンナなんです」と自己紹介した。
丸めろの洋子はこの自己紹介の意味を理解することに戸惑った。
その後、
丸めろの洋子は逸話繭実(いつわまゆみ)に、
「暑い毎日でうんざり😮💨雨でも降ればいいのに」と言うと、
レタスちゃんが、
「あたし、お店の前で雨乞いして来ます」と言って、
店内から飛び出した!
そして、
雨乞いの儀式を始めた。
店内では逸話繭実(いつわまゆみ)が丸めろの洋子に、
「こんなお話があるのよ」と言い、
とあるお話しを始めた。
~
ナカイという母子家庭の男性がいた。
母親は旅館の仲居をしていた。
そのことが、
ナカイの友達から、
「ナカイの親は仲居をしている」という冷やかしを呼んだ。
ナカイは傷つき、
母親には塩対応するようになった。
が、
母親は文句ひとつ言うことなくナカイを育てた。
そして、
一生懸命に働く母親のおかげで、
生活に不自由はしなかった。
その事実に、
パープルりんことパープリンの友達の愚弄伯方(ぐろうはかた)は、
ナカイに、
「ナカイの親は枕仲居してるのよ。だから生活にゆとりがあるのね」と嫌味を言った。
ナカイはキレて😡
「お前の父親は自分でセーラー服着てそれを女子高生が着たものとか言ってネット販売してるのに、俺んとこにモノ言えるのか⁉️」と言い返した。
愚弄伯方(ぐろうはかた)もキレて😡
「失礼な❗️あれをしてるのはあたしの父じゃありません❗️あたしの祖父です❗️」と怒鳴った!
しかし、
この愚弄伯方(ぐろうはかた)の嫌味は、
ナカイと母親の心理的距離を大きく広げてしまった。
ナカイは有名私立大学の進学まで母親の援助に支えられた。
母親がどんな稼ぎ方をしようと自分が潤えばそれでいいと考えるようにもなった。
そうしてナカイは大学を卒業して、
社会人として一人暮らしをしていた。
そこに母親の訃報が入った。
ナカイは葬式の為に実家に帰ると、
親戚に混じって、
母親が働いていた旅館関係者も来ていた。
ナカイは旅館関係者に、
「母を仲居さんとして雇用してくださいましたことを感謝いたします。ぼくは不自由なく生活できました」と感謝した。
旅館関係者は驚きの色を浮かべ、
「あなたのお母様は仲居さんではありません。女将さんです!ただ、私たち従業員と混じって親しくお仕事されてくださったんです」と言った。
ナカイはショックやった😨
愚弄伯方(ぐろうはかた)や他の友達の悪口を間に受けて母親を判断した自分が恥ずかしかった。
ナカイは涙を流して、
旅館関係者と親戚に、
比叡山に登って坊主になって一生を終えたい旨を伝えた。
旅館関係者は答えた。
「あなたの決断は素晴らしいことです。けど、お母様のご意思を継いで旅館経営をなさった方がお母様はお喜びになると思われます」、と。
すると葬儀に参加していた愚弄伯方(ぐろうはかた)は旅館関係者に、
「そう綺麗事言われてますけどナカイさんが比叡山に行かれたら旅館が潰れてあなた方は路頭に迷いますからね。失業したくないからといって人の決意を翻すことはおやめあそばせ」と言うと、
旅館関係者は愚弄伯方(ぐろうはかた)の耳元で、
「殺すぞ、おんどれ」とささやいた。
愚弄伯方(ぐろうはかた)は顔が真っ青になった。
そしてナカイは、
母親の後を継ぎ、
旅館経営者としての出発をはじめた。
~
丸めろの洋子は感動して逸話繭実(いつわまゆみ)に、
「素敵なお話しをありがとう」と感謝して、
いつかナカイの旅館に泊まりに行きたいことも語った。
そこに外からレタスちゃんが戻って来て、
店内の客を見回し、
「雨乞いがうまくいかないわ。誰か雨乞いのいけにえになってくださらない」と呼びかけたが、
スルーされた。
逸話繭実(いつわまゆみ)は、
「風の流れが変わって来たわ。そろそろあたし達はおいとまね」と言った。
丸めろの店長は心に、
「イナゴかお前らは?」と言った。
丸めろの洋子は逸話繭実(いつわまゆみ)との再会を望みつつ、
逸話繭実(いつわまゆみ)とレタスちゃんに、
お名残惜しくお別れした。
☆牧カオリからひと言
「海辺の砂浜は一粒一粒の砂の集まりです。同じように人生も、ひとつひとつの物語の集まりなのです」