(画像はイメージで当記事とは無関係です)
カッちゃんとダチのかんちゃんは、
近くの大学学園祭に足を運ばせた。
いろいろ歩き回って、
映画研究部の自主制作ホラー映画が、
ワンコイン(500円)で見られることに興味を覚えた。
しかも“究極のユーレイ映画“という触れ込みが2人の心を捕らえた。
そこそこ広い視聴覚室を借りての映画上映会は、
案内用チラシに、
「超立体音響ユーレイサウンドにて上映」と書かれ、
この超立体音響ユーレイサウンドに、
カッちゃんとかんちゃんの興味は引き寄せられた。
多くの観客に混じって席に着いたカッちゃんとかんちゃん。
上映前に、
スクリーンに、
「心臓の弱い方は鑑賞をご遠慮くださいと言ったら売り上げになりませんから、目を閉じて耳をふさいでご鑑賞ください」と、
字幕が現れた。
そして、
ユーレイ屋敷に行くまでのダラダラ長いドラマが1時間も続き、
やっとでユーレイ屋敷へと主人公の男女カップルがやって来ると、
うめき声の音響が響き渡った。
すると文学部の准教授の男性が、
「超立体音響ユーレイサウンド🤔ただの5.1チャンネルサラウンドやないか🤔🤔」と訝った。
映画は、
二つの部屋の前で、
カップルの男の方が、
「どちらかの部屋にユーレイがいるんだ」と呟き、
そっとひとつの部屋のドアノブに手をかけると、
観客の「ユーレイの部屋開けるな。ユーレイの部屋開けるな」と目を閉じながら呟く声があちこちに聞こえた。
そんなことはお構いなしに、
映画は、
カップルの男が大きく息を吐いて、
自分が選んだ部屋を開けた。
するとユーレイ屋敷が消えて花畑になった。
カップルの女は喜んで男に抱きつき、
「あなたを信じていたわ。ユーレイがいない部屋を開けたのね」と言うと、
男は「愛の勝利だ!」と言って、
映画は終わった。
観客がユーレイが出なかったことで戸惑っていると、
さっきの准教授が、
「ふざけんな🤬観客から金巻き上げてこの出来はナンや❗️」と映画研究部の部長に怒鳴った!
部長は、
「けど、ユーレイが出たら怖いですよ!」と反論した。
准教授は更にキレて🤬🤬
「その怖さを求めて観客がおるんやないか❗️金返せ❗️」と怒鳴ると、
部長は、
「返金は困ります!今までの上映記録を塗り替えたいもんですから」とお願いした。
准教授は呆れて、
「はあ😨⁉️今までの上映記録の塗り替え😨😨⁉️お前らこの映画が第1作やないか🤬❗️」と言いまくるので、
部長は、
「再撮影して来週再上映しますから、返金はご勘弁ください」と言い、
観客みんなに再上映鑑賞券を配った。
翌週。
カッちゃんとかんちゃんは同じ視聴覚室にやって来た。
明らかに、
先週と同じ観客やった。
映画が始まり、
先週と同じユーレイ屋敷に行くまでのダラダラ長いドラマが1時間続き、
やっとユーレイ屋敷へと男女のカップルがやって来て、
2つの部屋の前に来ると、
観客の、
「ユーレイがいる部屋開けろ。ユーレイがいる部屋開けろ」呟く声があちこちから聞こえた。
映画は、
カップルの男がひとつの部屋のドアノブに手をかけて部屋を開け悲鳴を上げて、
「ユーレイだ❗️」と叫んだところに、
映画のシーンはストップして、
「ユーレイが現れるシーンは恐ろしすぎるのでカットして上映いたします」という字幕が現れ、
シーンが飛んで、
カップルが抱き合っているシーンになった。
カップルの女は男に、
「ユーレイとの戦いに勝ったのね」と言うと、
男は「愛の勝利だ!」と言って、
映画は終わった。
するとあの准教授が映画研究部の部長に、
「ナンでお待ち、こういう展開に持っていくんや⁉️」とキレた😡
部長は、
「ユーレイ出して祟られて、お祓い代を請求される可能性がありますのでユーレイのシーンはカットしたんです」と言い返した。
准教授は、
「ユーレイが出ることを期待して観客がおるのに勝手な解釈しやがって。どうせユーレイ出すシーンの金が無かったんやろ⁉️」と非難した!
ところが数人の観客が、
「いや、素晴らしい映画だ。ユーレイ映画だからとユーレイを出す必要のないことをこの映画は教えてくれた」と感心した。
が、
准教授はこの観客たちに、
「やかましい桜ども!お前ら映研部員やろが⁉️」と怒鳴った!
そして他の観客達とキレながら会場を後にした。
上映会から帰る途中、
かんちゃんはカッちゃんに言った。
「俺はユーレイよりも堂々とイカサマさらすあの映研部長の方が怖い😨」と言った。
カッちゃんは心に、
「呪われた上映会だ!ユーレイに呪われたんじゃなくて観客に呪われた上映会だ」と呟いた。