
今回はヨウイチの母親マスミが、
会社を辞めて独立して、
パソコン業務の個人事業主として出発するときのできごとを書き込みする。
マスミは社内でもデキるオンナやった。
とにかくパソコン業務において、
マスミの右に出るものはなかった。
そんなマスミも、
個人事業主として、
会社組織に縛られずに自由に仕事をしたいという想いから、
退職というカタチをとった。
早速、
マスミが所属する課で送別会が開かれる運びとなった。
ホテルの一室を借りて行う送別会に、
マスミも今まで見送る側として何度も参加したが、
今度は自分が送り出されることに、
現実感が伴わなかった。
そして、
この送別会の目玉は、
課長が、
石垣牛の高級ステーキをプレゼントすることをマスミは知っていたので、
石垣牛をもらったら、
旦那や子供達に内緒で食おうとマスミは心に思った。
送別会が始まり、
お別れの言葉や花束にマスミは涙ぐんだ😢
そして課長が、
「マスミさんにプレゼントがあるんだ」と言ったので、
参加者はヒソヒソと「石垣牛」と囁き合った。
マスミも感動のクライマックスとなった。
課長は、
「石垣牛です!!」と大きく言って、
以下の物を渡した。

マスミは放心したようにこの石垣牛ステーキせんべいを手に持ち、
「ナンや⁉️これは😡」と課長に凄んだ。
課長は「石垣牛ですけど」と言ったが、
マスミはガチギレして、
「ナンじゃいおんどれは❗️イマまで円満退職したモンにはモノホンの石垣牛ステーキやってナンでわしには石垣牛ステーキせんべいや❗️」と怒鳴りまくった!
課長は困って、
「私はイマ経済苦なのですよ」と力無く反論したが、
マスミの怒り💢はおさまることなく、
「覚えとけよ❗️お前。いつか魚の開きみたいにしてやっからな❗️」と更に怒鳴って、
送別会を後にした。
現在、
マスミは、
個人事業主としてそこそこに生活しているが、
会社にあっての様々な思い出と喜怒哀楽、
石垣牛ステーキせんべいに大噴火🌋したできごとも含め、
すべてのできごとは、
過去という名のファイルに綴じられ、
劣化していく感覚を覚えるようになった。
ひとりで仕事をすることの寂しさに加え、
還暦間近のマスミにとって、
すべてのできごとは沈黙の中に沈んでいくとしか思えないわびしさが心にあった。
マスミは無力さしかないと信じ込んだ。
すると息子のヨウイチから、
今度の誕生日は石垣牛のステーキをご馳走するとLINEが入った。
マスミは、
この息子からのLINEメッセージを見ながら、
気が付けば、
心の無力さは消え代わりに貪欲さと行動力に満たされている自分を感じた!