漫画もののあはれ しょの６

大御所やベテラン作家が、鳴り物入りで新連載を始めたのにあっさりと打ち切られるの巻。

具体的に言えば江川達也先生の『忘却の涯て 16歳の自分への手紙』のことなんですけど……こんな終わり方ってあるかなあ？　全然話の区切りがついていないのにページの余白に「更新は、今回で終了となります。作品の続きに関しては、現在未定です」と書かれている。これ作者本人は了承しているのかしら。

これ万が一、億が一、江川先生が読んだら嫌だけど30年に渡って漫画を読み続けた男の戯れ言として言わせてもらいますがね、自分のことを「俺は変人だー」っていうキャラは大抵変人じゃないですよ。この漫画の主人公の場合は変人じゃなくて、調子に乗りすぎて鼻につくから男にも女にも嫌われてるだけだと思うね。

きっと江川達也版『アオイホノオ』をやりたかったんでしょうけどね。でもあれは自虐……というか作者本人がピエロになりきらないと絶対面白くならならないタイプの作品なんですよ。ギャグでも何でも無く、普通に自画像をこれでもかとハンサムに描く人に、とても『アオイホノオ』が描けるとは思えません。

今作だって主人公の名前は江川達也だけど作者とは別人って設定でしょ。主人公に青春の空回りとかやらせたいけどプライドが高く自分を道化にできないから別人設定にした……と私は思ったね。そりゃ最新のお絵かきソフトとか作中で使っていたけどさ、結局みんなで漫画を作るって話なんだから別に現代にする必要はないじゃないですかねえ。

私、漫画が好きだからここまで名指しで糞味噌に言うことはまずないんです。漫画が打ち切られるのも事情があってのことだろうし。でも江川先生の場合は『日露戦争物語』や『家畜人ヤプー』も半端に終わらせるし、友人の家で読んだ仮面ライダーの漫画も本当にひどかった。

なんでもこの『忘却の涯て　16歳の自分への手紙』は最後の漫画という触れ込みでしたけど、それで本当にいいのかなって話ですよ。もうコメンテーターになっちゃうのかな。まあ、それならもう仕方ないけど……。子どもの頃に『まじかる☆タルるートくん』を読んでいた世代としては今の有様はあまりにも辛かです、はい。