Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

米ミサイル防衛網、日本は裸ではないか!

2005-05-13 14:22:27 | 国際
北朝鮮の核弾頭搭載弾道ミサイルの脅威が現実化しつつある中、アメリカ軍のミサイル防衛システムの運用に関して、アメリカ上院の公聴会が開かれた。

その席上でカートライト戦略軍司令官は、ハワイやアラスカが狙われたとして、「行き先など脅威の性質を見極めるのに3~4分、撃墜するかどうかの判断を次の3~5分でする必要があると説明。双方を合わせて「重大な決断をするのは7分前後になる」と述べた。

このような短時間に対処するには、敵ミサイルの撃墜権限をハワイを所管する太平洋軍司令官か、アラスカを所管する北方軍司令官(コロラド州在勤)に委ねざるを得ないとした。

発射7分前後で決断するとしても、日本上空での撃墜がぎりぎりであり、あるいは間に合わないかもしれないと思われる。しかも、撃墜権限を各地域軍の司令官に委ねるというなら、その権限は厳しく制限されるから、当然、日本本土に向けたミサイルの撃墜権限はそこから抜け落ちてしまうだろう。

北朝鮮からのミサイル攻撃に関しては、日米安全保障条約のシステムによる我国防衛はそもそも機能しないのではないか。我国ではこれらの事実がどこまで正しく認識されているのか。



朝日新聞
撃墜決断は7分 北朝鮮の弾道ミサイル攻撃で米司令官
2005年05月12日11時00分

 大量破壊兵器による攻撃への対処やミサイル防衛(MD)の作戦・運用を担当する米戦略軍のカートライト司令官は11日、米上院公聴会で証言し、北朝鮮から米国に弾道ミサイルが発射された場合、撃墜するかどうかの決断を約7分以内にする必要があることを明らかにした。決断に当たっては大統領または国防長官の直接の了承を得る余裕がないことから、太平洋軍などの地域司令官に判断の権限をゆだねる方針を示した。

 カートライト司令官は、国防総省が研究開発と運用を同時に進めているミサイル防衛システムのなかで北朝鮮が2~5発のミサイルを米国に発射する「限定的な脅威」への対処システムにふれた。米本土より北朝鮮との距離が近いハワイやアラスカに到達するケースを想定した場合、行き先など脅威の性質を見極めるのに3~4分、撃墜するかどうかの判断を次の3~5分でする必要があると説明。双方を合わせて「重大な決断をするのは7分前後になる」と述べた。米本土をねらった場合、数分長くなる程度とみられる。

 撃墜の許可に当たって大統領、国防長官、または太平洋軍司令官らと数分以内に会話し、了承を得るのは現時点では極めて困難なため、決断のルールなどについてラムズフェルド国防長官、ミサイル防衛局(MDA)のオベリング局長らと協議を始めた。同司令官によると現時点では、行き先など脅威を分析し、撃墜のための武器を使用する権限をハワイの太平洋軍、またはコロラド州にある北方軍の司令官にゆだねて対処する方針だという。

 米議会では、米国防総省の情報部門のトップ、ジャコビー国防情報局長が先月末、米本土に到達可能な弾道ミサイルの弾頭に核兵器を搭載する能力があるとの見方を明らかにしたことを受け、北朝鮮による米本土への核攻撃を想定した議論が高まっている。


讀賣新聞
北朝鮮のミサイル攻撃、迎撃決断は7分で…米軍司令官
2005年5月12日 21:42

 【ワシントン=伊藤俊行】戦略核やミサイル防衛網を運用する米戦略軍のジェームズ・カートライト司令官は11日、上院歳出委員会の国防小委員会で証言し、北朝鮮の長距離弾道ミサイルがアラスカ州やハワイ州を標的にした場合、迎撃の決断をするまでの時間は約7分だと指摘、この時間内に大統領や国防長官、軍司令官と対応を協議するのは困難だとして、意思決定のルール作りを急いでいることを強調した。

 また、2004年に始まった実戦配備では、アラスカ州の米軍基地フォートグリーリーに6基の迎撃ミサイルが設置されるなどしたが、この初期配備についてカートライト司令官は、「限定的な脅威に対する基本的な備えで、その脅威とは北朝鮮から飛来する2~5発の弾道ミサイルだった」と述べた。そのうえで、運用開始に向けた兵士の訓練が続く現状でも、「緊急事態があれば対処できる」と強調、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃に対応できるとの考えを示した。フォートグリーリー基地では、年内に迎撃ミサイルを16基態勢にする予定だ。

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