「パナソニックショック」という言葉がマスコミに広がりつつあります。
とりあえず日経HP↓
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090205/185109/
日系駐在員に「パナショック」
鳥インフルエンザを理由として駐在員の家族を日本に帰国させる・・ということをパナソニックがやっている。中国に限らずアフリカ、アジア、鳥フル発生国以外も・・ということのようです。
管理人は、本職、精神科教授の立場からこれに反対します。
海外赴任というのは国内勤務には無いストレス要因が山積します。
異文化適応過程、また、現地人間、日本人の間、対応しなければならない事は山ほどあり、その不規則な生活の中で家庭でのひとときというのが貴重な瞬間です。
異文化の中で、異なる言葉、異なる思考様式、もみくちゃにされて帰宅し、奥さん子供の顔を見て以心伝心のコミュニケーションに包まれる瞬間を取り上げる・・これは何年後か社内的に大きなしっぺ返しが来ます。
管理人は、外務省医務官として色々な国で色々な在留邦人を見てきました。単身赴任を本当の意味で楽しめる人ももちろんおりますが、そうでないケースも数々。
アルコール依存症の発生、気分障害(うつ)の発生、カラオケ店での現地女性とのトラブル(うまく行き過ぎて家庭破壊まで含む)、アルコール関連の悲しい事故・・・
こういう事例、パナソニックともあろう会社が知らないはずないと思うのですが、こういうメンタルヘルス危険因子を考えない、お粗末なことやる会社は人心の離反を招き会社の屋台骨までゆらぐでしょう・・・で済めばまだしも、ことはもっと重大。
パナソニックともあろう会社がこういう雑なことをやれば、それに倣う会社が続発する恐れがあります。今から計画すれば実現は春以降、鳥フルシーズンもほぼおさまった後。客観的に医科学的に何も理由ないのに家族は無理やり引っ剥がされ、後に残ったのは士気の低下と能率低下と事故トラブルの山とメンタルヘルス体制再建へ膨大な手間・・という会社が累々と発生するのではないか。
そんな危惧をもちます。
パナソニックの取締役会のみなさん、あなた方が”無難・事なかれ”と考えて挙手されたであろう方針は、メンタルヘルス上深刻な結果を社の内外で招くでしょう。アルコール依存症の発生、気分障害(うつ)の発生、自殺、アルコール関連の悲しい事故・・・
管理人の提言は、これを「命令」「強制措置」でやるのではなく、各家庭に選択肢を与えることです。 現在の医科学的にはそれを要さない状況であっても、必要以上の不安感をもつ主婦層の存在、というのは年始から北京でのストーリーでも観察されています。場合によっては一時帰国が”抗不安薬”として作用するケースもあるかもしれません。逆に”ストレス促進薬”になるケースは多いでしょう。選択権の付与は必要条件と考えます。
また、他企業の取締役会の皆さんには、よく考え、頭をもう2回転3回転されることを提案します。
<パナソニック関係の皆様へ>
管理人は前職時代、SARS禍直後の北京へ視察に来られた(当時 松下)健康管理関係の方々とお話させていただいたことがあります。 少なくとも管理人の印象は、ヘンな事する人々という印象ではなかった(ポジティブな感じを抱いた)と記憶しています。 あるいはひょっとして、上記報道内容の方が事実関係どおりじゃないのかな? という思いも1%ぐらいあります。
もしそうでしたら、あるいは、主張がございましたら、当ブログは大きな耳を持っております。 そのままコピー&ペースト にて紹介させていただきますので、冒頭公開のopinion@zav.att.ne.jp までお寄せください。
参考まで
新型インフルエンザに備え「タミフル個人備蓄」など準備を進めている最中です。駐在員の帰国命令が出ない限り、家族として留まる心積もりでおります。
しかし、今回のパナソニックの対応により同様の対応が広がることになったらと危惧しております。家族が一緒に暮らす権利を奪わないで欲しいと強く思います。
毎日、数えられないくらいの飛行機便が、アジアと日本を結んでいます。私も昼にこちらを立てば、夕方には東京の六本木で友だちとご飯を食べることができます。このような短時間での往来の多さを考えると、東京、中国も実際にパンデミーの危険度は変わらないと思います。違いは流行時の医療体制、言葉の問題なのでしょうか?毎日数え切れないほどの飛行機が経済的繋がりの深いアジアと日本を結び、多くのビジネスマンが移動しています。パナソニックは大赤字ですが、日本のトップ企業の責任において、経費節減をタイムリーな鳥インフレンザ問題にすり替えてはいない!一挙両得ではないことを私は信じたいと思います。また、危機をあおるだけでなく、社員のメンタル面への対応をいかに考えているかなど、この問題の影響力の強さを考慮しながら行動されることを願います。
その視点は外岡先生、少し以前(北京の騒動)のあたりから紹介されていますね。駐在員自身が空気でそれを感じているということなんでしょう。
ちなみに、外務省時代を思い出して節約額計算してみると、在勤手当ての配偶者加算が不要になり、おおむね6万円~10万円/月程度×駐在員数ということになります。ただ、日本に帰ってきた妻子に対し、学校の手配とか日本の家とか手配などあるでしょうから、そのコストを差っぴくと、節約できるカネはごくわずかなんじゃないかという気もします。
さて最近の経済情勢から邪推するに、「利益につながる海外駐在員の滞在費はともかく、家族の諸費用まで支払う力がなくなってきたから、インフルエンザを名目にして引き上げさせた」というのは、斜めに見すぎですかね?
どちらにしても、異国で苦闘する企業戦士には酷な話ですね。