新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

1か月経った豪雨被災地で考えた

2018-08-13 10:13:32 | 洪水・水害・震災・津波・噴火・戦乱

西日本豪雨災害から1か月ちょっと、現地はどうなって、どんな情報が求められているのか。当管理人も、災害関連ではTVラジオその他でさまざまにコメント・リスコミに微力をつくしてきましたが、自分がしゃべっていることが現場で求められている情報からズレていないか確認もいたしたく、現地で「関与しながらの観察」してきました。ここは医師免許のありがたいところで、災害ボランティアの席は割と簡単に見つかります。倉敷市社会福祉協議会、倉敷市災害ボランティアセンターのサイトから若干の個人情報をカチカチと入力してボランティア登録は10分あまりで完了。
https://peraichi.com/landing_pages/view/kuravol
ヘリから颯爽と降りてくるカッコイイ先生じゃなくても、当管理人みたく少々たよりない医者でもボランティアの席用意してくれる社協に感謝。

当日は、箭田サテライトの救護所テントに配置となりまして(最初、箭田の読み方わからなくて、ヤタに行ってくださいと言われても真備町ど真ん中に行ける幸運に気が付かなかった)おもいきり被災地中心で活動できました。以下、考察。

1.医療者の、マスメディア各位の努力もこれあり、「熱中症は怖い」「水分と塩分を摂らなければならない」とは、ほぼ「洗脳レベル」でインプットされている。結果、この日ボランティアが1469名集結(社協発表)したなかで、熱中症関連で私が緊急出動したのはわずか1例(+歩いて来られた1例)。

2.一方で、この”洗脳”の裏表で起こっていることは・・・
*救護所で渡せるよう供給される飴類は「塩飴」ばかり。甘いもの求めて来られる方々の要望に応えられず。
*各所から大量に寄進いただいたものと思われる飲料はポカリスエット、OS-1、ミネラルウォーターばかりなり(国会の写真と国会議事堂限定表示のボトルウォーター多数はご愛嬌だけれど糖分なし)。一部ジュース類が見受けられたものの、あっと言う間に尽きてしまい。
*疲労し本能が糖分を求めても、お金があっても現地で購入不可(自販機もコンビニも泥泥、復活はいつの日か・・)
*ボランティア各自のリュックに入ってる自分用も、水・ポカリ・塩飴系・・・ 

「国会議事堂限定」表示とともにデカデカ国会ラベルのお水はご愛嬌。しかしこれも糖分なし。

飲料を無料提供はありましたが、”甘いもの”は早々に底をついてしまい、空き缶入れはこんな風に。初期にいかに甘いもの集中的に持ってゆかれたか明らかですね。

水分塩分補給だけじゃなくて、甘いものも持ってゆきましょう(甘いものを供給できるようにしましょう)というメッセージは絶対必要と痛感しました。

3.感染症予防の基本、手洗い。しかし手洗い場に置く薬品の見せ方には工夫必要。
まずダメな例。
大瓶で消毒液を買ってきて、100円ショップで売ってる容器に入れるのは経済的ですが、誰も使いません。炎天下、ほとんど減ることもなく放置。
何が入ってるのかわからんものには手を出さないのです、ふつうの人は(と、わかったような事を言っておりますが、当管理人とて今回初めて学んだことを告白しておきます)。

 

こちらも案外イマイチ。センサーで消毒液がピュッと出てくるすぐれもの・・・のはずですが、やはりラベルが見えなくて何が入ってるかわからない。まともな人は躊躇する(と、わかったような事言っておりますが、以下略)。


 結局、ちゃんと使ってもらえるのは「いつも見慣れてるやつ」ということに落ち着きます。


なお、その他で好評なのは「氷嚢」でした。ビニール袋に氷(コンビニで売ってるような、口に入れても大丈夫な氷)を入れてものを配ってまわる。体や頭を冷やしても良し、口に入れても良し。 管理人の診療以外の仕事はボランティアのナースたちと雑談しながらの氷嚢つくり、そしてボランティアさんの間を歩いて氷嚢とポカリの配布でした。

以下、若干の現状写真

依然片付かづ大量に堆積するガレキ類。当初管理人は、これに雨水がたまって蚊の大発生→そこにデング罹患者でも入ろうものなら・・・という懸念をいくつかのメディアでも語りましたが、幸か不幸かここは晴れの国岡山、毎日毎日カンカン照りが続いてその気配はありません(まったく水なぞたまっていない)。ミヤネ屋スタジオでご一緒させていただいた専門家は、こうした堆積ゴミの発酵(畳がまっさきに発酵)⇒自然発火を懸念しておられましたが、こちらも岡山の強烈な太陽がカラカラ乾燥して懸念後退してくれました。

報道では「ふつうの家」に見える、構造物が残った建物。しかし中はとみればこの通り。細かい砂塵が舞います。1か月経っても、やはりマスクは必要。作業によってゴーグルも。

なお、破傷風の問題は、ボランティアセンターのオリエンテーションでかなりやかましく強調されていました。



インバウンド外国人は、ボランティアセンターにも集結するという現実。
青い目のみなさん。

最初のオリエンテーション

また気が付いたらレポートしたいと思います。

本管理人がいくらかしゃべったうち、東京FM(書き起こし)とTBSラジオ(クラウド)がいつでもアクセス可能です。よろしければ。
東京FM Love&Hope
アーカイブ
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感染症/ボランティア編
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こころのケア編
https://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=140735

TBSラジオ 荻上チキのSS22
https://www.tbsradio.jp/270756

 

 


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