逝きし世の面影

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ドナルド・トランプの猫だまし?

2018年04月14日 | 政治
米ホワイトハウスでシリアへの攻撃開始について演説するドナルド・トランプ大統領(2018年4月13日撮影)。AFP PHOTO / Mandel NGAN

『米英仏がシリアに軍事攻撃開始、トランプ大統領が発表』2018年4月14日 10:25 発信地:ワシントンD.C./米国

【4月14日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は13日午後9時(日本時間14日午前10時)からホワイトハウス(White House)でテレビ演説し、米英仏が共同でシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権への軍事的攻撃を開始したと発表した。(c)AFP



『東グータ、シリア政府管理下に完全移行』2018年04月12日 © Sputnik

ダマスカス近郊の東グータ地区における戦闘員らの最後の砦となっていた町、ドゥーマについて、シリア政府軍がこれを管理下に置いたと、ロシアの敵対勢力和解センターのエフトゥシェンコ所長が明らかにした。
エフトゥェンコ所長は、「今日、シリア・アラブ共和国の歴史における象徴的な出来事が起こった。ドゥーマの町の[・・・]建物の上に掲げられた国旗が、この居住区に対する管理、つまり東グータ全体に対する管理を意味するものとなった」と述べた。
エフトゥシェンコ所長によると、「イスラム軍」の戦闘員から解放された町へは、ロシア軍警察部隊が派遣される。同部隊は、ドゥーマをダマスカスの政府の管理下に引き渡す際、法秩序を監督することになる。
ドゥーマからは、合計で16万5千人以上を脱出させ、戦闘員による拘束から人質250人を解放することに成功した。

『ドゥマにシリア国旗、政府軍が東グータ完全掌握 ロシア国防省』2018年4月13日 AFP

ロシア国防省は12日、シリアの首都ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区にある反体制派最後の拠点ドゥマ(Douma)にシリア国旗が上がったと発表した。政府軍が東グータ地区を完全掌握したことを示しているという。
インタファクス(Interfax)通信によると、ロシア軍のシリア和解調停を取りまとめるユーリ・エフトゥシェンコ(Yury Yevtushenko)少将は「今日、シリアの歴史における重大事件が起きた。政府軍の旗がドゥマの町の建物の上にひるがえり、政府軍がこの町(ドゥマ)を掌握し、その結果、東グータ全域を掌握したことが示された」と述べた。
ロシアのテレビは、シリア政府が国旗と定める緑の星が2つ並んだ赤・白・黒の水平三色旗が建物の上にたなびく光景や、空爆で破壊された市街地で旗を振り歓声を上げる人々の姿を放映した。
ロシア国防省によると、ロシア軍の憲兵隊が既にドゥマ市街のパトロールを開始している。ロシア軍はドゥマの情勢について平常化したと説明。これまでに計16万6644人が「人道回廊」を通ってドゥマから避難したとしている。
また、在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は同日、東グータに残っていた反体制派の武装勢力「ジャイシュ・アル・イスラム(Jaish al-Islam、イスラム軍)」の戦闘員が、東グータのドゥマで重火器をロシア軍の憲兵隊に引き渡したと述べた。しかし一方で、同監視団によると、指導者のエッサム・ブワイダニ(Issam Buwaydani)氏を含む武装勢力の幹部らは11日にドゥマを離れ、反体制派が掌握している北部地域に入ったという。
映像は11日撮影。ロシアのテレビによる映像の放送は12日。
4月13日 AFP



『河野外相「化学兵器を誰が使用か解明望む」 スクリパリ事件』2018年04月13日 スプートニク日本

ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のセルゲイ・スクリパリ元大佐に対する暗殺未遂事件で、有害な化学物質が使われたとする調査結果を化学兵器禁止機関(OPCW)が公表したことについて、日本の河野外相は13日、誰が使用したのかなど早急な真相解明を望む という立場を示した。NHKが伝えた。
河野外相は記者団に対し、OPCWによる調査結果について、「化学兵器が使われたことなのだろうと思います」としたうえで、「OPCWが物質を特定いたしましたが、誰がその物質を使ったかというところまでは至っておりませんので、早急な事実関係の解明を望みたいと思います」と述べ、誰が使用したのかなど早急な真相解明を望むという立場を示した。


毎日新聞『金言』ベテラン専門記者による日替わりコラム。金曜日はパリ、ローマで支局長を歴任してきた西川恵客員編集委員が欧州の「いま」を解説します。

『化学兵器と米欧結束』=西川恵
 <kin-gon> 経済や地球温暖化問題で対立しても、重大な安全保障課題では結束する。2回にわたる化学兵器の攻撃に対する米欧の姿勢だ。英国の欧州連合(EU)か…
(2018年4月13日 03:05)

『まさに詐欺的な「赤いニシン」(間違った結論に誘導する偽の手がかり)の偽装記事』

毎日新聞のベテラン専門記者である西川恵客員編集委員によるコラム『金言』とは、ミニ社説のような意味があるが、欧米リベラルメディアの『お約束ごと』であるロシアバッシング(イギリスで軍事用神経剤でテロ攻撃した)を繰り返しているのですが、なんと、『確かにロシア政府が実行した証拠はない』と誰にも気が付かないように気をつかって1行だけさりげなく抽入していた。(アリバイ作り???)

『これでは幾ら軍産複合体が戦争をしたくても戦争を始められない』

当たり前ですが、専門家中の専門家である河野外務大臣にしろ毎日新聞ローマ支局長を歴任した西川恵にしろ同じで、イギリスのメイ首相が『ロシアのプーチンがやった』とさも自信ありげに断定的に言う(ハッタリ)だけで、肝心の証拠類の開示が一切ない、何とも困った『赤いニシン』である事実を誰よりも良く知っているのである。
シリアも全く同じ構図で、アメリカのトランプ政権やイギリスのメイ首相が湾岸戦争やイラク戦争のような本格的な戦争を考えているなら必ずでっち上げの『真っ赤な嘘』でもよいから具体的な物証を示す必要がある。
ところが、今回は超『手抜き』で一切省略しているが不真面目の極み。怠慢にも程があるでしょう。基本的に無茶苦茶、少しも辻褄が合わないのである。(★注、ただし、何かを隠す目的の『猫だまし』だとしたらピッタリと辻褄が合う)

『シリア攻撃を叫び始めた米大統領は、攻撃した艦船や航空機を破壊するという露政府の警告を無視』2018.04.12 櫻井ジャーナル
 
『トランプ政権がシリアを攻撃する場合、昨年の規模を上回ると見られているが、それでもダマスカスやロシア軍をターゲットに含めなければ、ミサイルを撃墜する程度で納まるという見方もあったが、​レバノン駐在ロシア大使は、アメリカ軍がシリアを攻撃したなら、ミサイルを迎撃るだけでなく、ミサイルの発射装置を破壊するとしている​。つまり、艦船から発射すれば艦船を撃沈、航空機から発射すれば航空機を撃墜するということだ。』
(抜粋)
この「櫻井ジャーナル」の記述が本当なら大戦争(第三次世界大戦)は必至だが、実は駐レバノン、ロシア大使発言は『嘘』ではない。ところが『事実でもない』。オオカミ少年的な不親切なのである。
この「櫻井ジャーナル」の元ネタは
『米国のミサイル、シリアに発射なら撃墜=ロシアの駐レバノン大使』ベイルート 4月11日 ロイター
ロシアのアレクサンドル・ザシプキン駐レバノン大使は、シリアに向けて発射された米国のいかなるミサイルも撃ち落されると述べた上で、発射場も攻撃の対象になるとの認識を示した。10日夜に発言が放送された。
同大使はヒズボラ系のアルマナルTVに対しアラビア語で「米国人による攻撃があれば、そのミサイルは撃墜されるだろう」と述べ、ミサイルが発射された場所も攻撃の対象になるとの考えを示した。
(1行開けて)
一方で「(衝突は)排除されるべきであり、そのためにわれわれは交渉する用意がある」とも述べた。
April 11, 2018 / 10:10 AM ロイター

『オオカミ少年的な「櫻井ジャーナル」の不親切?』 

シリア政府軍側で参戦しているレバノンのヒズボラのテレビ局でアラビア語で発言しているところがミソで、これはネットウヨの機関紙的な産経新聞の加藤ソウル支局長が日本語のWeb記事に書いた大型旅客船セオゥル号沈没時の韓国の未婚の女性大統領パク・クネの『秘線』報道(実は弾劾の口実となった国政壟断)で名誉棄損で告発された摩訶不思議な話のソックリさん。 日本語のWeb記事なので産経新聞の加藤ソウル支局長は読者が日本のネットウヨ限定だと勘違いしたように、ロシア大使はアラビア語放送なので視聴者がヒズボラ支持者限定だと勘違いして思いっきりヨイショを行ったのです。(相手に会わせて発言を変える、日本人的な態度)

アメリカがシリアをミサイル攻撃したからと言って、その発射基地のアメリカ軍空母や駆逐艦を(戦争の拡大ではなくて、終息を目的としている)ロシア軍が撃沈することは決してないのである。(逆の場合にはアメリカ軍やイスラエルは即座に攻撃して発射地点を破壊するが、)



『歴史の転換点としての1975年サイゴン陥落に匹敵する2016年12月のアレッポ陥落』

2011年から7年も続いているシリアでの悲惨な戦争ですが、欧米や日本のリベラルメディアのいう『シリア内戦』とは戦争プロパガンダそのものであり、実態はアメリカとかNATO、サウジアラビアやイスラエルなど数十ヵ国によるシリア侵略であり、これは同じくアメリカが主導した朝鮮戦争とかベトナム戦争をほぼ同じ構図だった。2001年の9・11を口実にした終わらない対テロ戦争ですが、(リベラルメディアや有識者が誰も予想しなかったトランプのまさかの大統領当選の翌月の)アレッポ陥落でとうとう終わりが見えてきたが、今回の東グータの完全解放で勝敗が最終的に決した。だから今回の迷惑な『猫だまし』が必要だったのである。


1975年4月30日アメリカの傀儡サイゴン政権の大統領官邸に突入するベトナム軍戦車の映像。サイゴン陥落で長かったベトナム戦争もとうとうアメリカ軍の敗北で完全に終わっている

『戦争に負けて撤退が決して許されない旧日本軍と同じ「不敗神話」のアメリカ軍の持つ悲劇』

半世紀以上前のベトナム戦争(アメリカ軍の敗北)当時のマスコミの報道内容を覚えている人は極少数だが、策士中の策士であるニクソン大統領やキッシンジャーですが、『アメリカ軍がベトナムで勝ったから凱旋するのだ』との虚構を構築することで、やっとベトナム戦争の終結に成功したのである。
世界最大最強のアメリカ軍の持つ最大の弱点とは、その『不敗神話』だったのである。今回も半世紀前のベトナム戦争集結時と同じで、『アメリカが負けたから撤退する』とは決して言えない。そこで意味不明の猫だまし(ハッタリ)が必要になったのでしょう。何とも困った話である。

『 かくすれば かくなるものと しりながら・・・ 何とも「致し方ない」成り行き』
★注、
4月14日にはシリアの東クータにシリアやロシアの要請で2013年のノーベル平和賞の化学兵器禁止機関(OPCW、本部オランダ・ハーグ)が現地入りするが、米英仏の三者はミサイル攻撃を行うことで、このOPCWの調査を妨害するとの姑息な目的も考えられる。(撤退寸前の最後っ屁のような東グータでの毒ガスなるものはイギリス情報部による偽装工作であるとロシア軍参謀本部が具体的な証言とか証拠類をあげて指摘しているが、これが真相だとすれば米英仏としては今回のような早急な証拠隠滅『ミサイルによる破壊』が是非とも必要だったことになる)




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