逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

フクシマの汚染水(トリチウム)の海洋投棄

2018年08月25日 | 放射能と情報操作
2年以上前の東京電力福島第一原発敷地内いっぱいに林立する容量1000トンの高濃度放射能汚染水のタンク群の画像。東京電力には汚染水タンクを新しく増設する余裕が無くなっていた

『放射能汚染水 トリチウム以外放出容認』規制委員長 “薄めれば出せる” 2018年8月24日(金)しんぶん赤旗
 
原子力規制委員会の更田豊志委員長は22日の定例会見で、東京電力福島第1原発で高濃度放射能汚染水の処理後に除去しきれずに残った、トリチウム(三重水素)以外の他の放射性物質の海洋放出を認める姿勢を示しました。
福島第1原発事故で大量に発生した高濃度放射能汚染水は多核種除去設備(ALPS=アルプス)で処理しても、トリチウムだけでなく他の放射性物質も除去しきれないまま残存します。ALPS処理水の海洋放出については、地元の漁業関係者などが反対しています。
会見で更田委員長は、希釈する前に法令で定める濃度を超えたALPS処理水であっても、薄めた後に告示濃度限度を全体で下回れば、放出を認めるのかと記者から問われ、「そのとおり」とのべました。
これまでも更田委員長は、ALPS処理水を希釈した上で海洋放出をするべきだと主張していました。処理水には、ALPSでは原理的に取り除けないトリチウムの他に、半減期が1570万年のヨウ素129が、排水の基準となる1リットル当たり9ベクレルの告示濃度限度を超えて検出されています。東電によると、トリチウム以外の放射性物質が排水の法令基準を超えていることは把握していたといい、使用するフィルターの性能が劣化するためと説明。再度の浄化については明言していません。
更田委員長は、仮に海洋放出をする場合、処理水を再度ALPSにかけるなど放出される放射能を低減させる努力については、「対策としてあり得る」と述べました。しかし、東電に積極的に求める姿勢は示しませんでした。
8月24日 赤旗

1字違いで大違い!?『しんぶん赤旗(共産党志位和夫?)による摩訶不思議な「見出し」の怪』 

現在の技術水準では放射性物質のトリチウム(三重水素)が除去できない。
もちろん東京電力の多核種除去設備(ALPS=アルプス)ではまったく処理出来ないので、丸々トリチウムが『高濃度放射能汚染水』としてタンクに溜まり続けている程度は全員が知っているのである。
もちろん赤旗が指摘するように、『ALPS(アルプス)で処理しても、トリチウムだけでなく他の放射性物質も除去しきれないまま残存』していることは事実だが、今回海洋投棄するメインの放射性汚染物質とはトリチウム(三重水素)のことだった。
8月24日の見出し『トリチウム以外放出容認』と、赤旗記事『・・・トリチウム(三重水素)以外の・・・』の中にある、『以外』だけが、まったく『余分』だったのである。(この『以外』を抜くと福島第一原発の事実と合致して正しい記事になる)普通なら大人として恥ずかしいので誰も間違わない。
しかし、24日赤旗のように『以外』が入っていると、せっかくの赤旗記事の意味が逆さまになって仕舞う。不可解な意識的誤報(印象操作)??の今のままでは限りなく子供だましな嘘八百の白々しいデマ、贔屓目に見ても(中学生でも間違わない)低級な誤報の類である。



福島第一原発事故『原子力規制委員長 更田豊志氏に聞く』2017/10/25 福島民報

原子力規制委員長に9月22日付で就いた更田(ふけた)豊志氏は24日、福島民報社のインタビューに応じた。
東京電力福島第一原発で高濃度汚染水を浄化した後に残る放射性トリチウムを含んだ処理水について、「海洋放出が現実的に最善の選択肢。東電は風評対策を含めて具体的な提案をし、県民の理解を得るしかない」と東電に速やかな放出決断を求めた。
-トリチウムを含んだ処理水解決の糸口をつかめていない。
 「海洋放出が現実的に唯一の選択肢だと思っている。トリチウム濃度が法令基準以下であれば健康への影響はない。トリチウム処理水をため続けるリスクを考えて、海洋放出を最善の手段として提案しているが、県民感情なども考えないといけない。東電は漁業者らと膝を突き合わせて、風評被害対策など具体的な提案をして理解を得るしかない。処分方法を議論している国の結論を待っていては進まない」
(抜粋)

『最初からトリチウム(三重水素)汚染水海洋放出(海洋投棄)の方針だった』

1年前の地元紙(福島民報)とのインタビュでも明らかだったが原子力規制委員会初代委員長の田中 俊一から2017年9月に役職を引き継いだ更田(ふけた)豊志(去年9月までは委員長代行)は最初から高濃度放射能汚染水の海洋投棄を強く主張していた確信犯である。
それ以降も『現実味帯びる「トリチウム汚染水」の海洋放出 』2016年4月23日 東洋経済では、・・・東京電力・福島第一原子力発電所をめぐる問題で、除去困難な放射性物質である が現実味を帯びてきた。 経済産業省 が設置した汚染水処理対策委員会の「トリチウム水タスクフォース」は4 ・・・
最近では、『福島第1原発のトリチウム水、処分を議論 海洋放出軸に』2018年7月13日 日経新聞
東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題を検討する政府の有識者会議が13日開かれ、放射性物質トリチウムを含む水の処分に向けた本格的な議論が始まった。会合では事務局が国民からの意見を聞く公聴会を8月末に開くと表明。政府は処分方法として海洋放出が最も現実的とみるが、地元からは風評被害を懸念する声が強い。
公聴会は8月30日に福島県富岡町で、同31日に郡山市と東京で開く
処分を急ぐのは、敷地内にためるタンクが増え続け、近く敷地いっぱいになるとみられているためだ。
技術やコスト面から海洋放出が最も合理的と報告書をまとめたが風評被害を懸念する地元の反発は強く、政府は結論を先送りしてきた。
(抜粋)
★注、来年の福島県知事選を考慮して若干遅れる可能性もあるがフクシマの核事故で発生した高濃度放射能汚染水(トリチウム)の海洋投棄の方針自体は政府の計画として早くから決まっていたのである。


『福島県の除染廃棄物置き場では放射能汚染物の入ったレコンパックが一面に野積みされている』

ロシアのテレビ局ロシア・トゥデイが日本のメディアに代わって、独自にドローンを飛ばし、福島県富岡町に広がる除染廃棄物の黒いビニール袋群を撮影した。
これこそドローンの有効な使い方であり、福島の現状を余すことなく伝えてくれる。
Nuclear Waste: Drone buzzes Fukushima temporary storage facility 4月17日
https://www.facebook.com/RTnews/videos/10153287297529411/?pnref=story
2015年04月27日 (月)「人類猫化計画」


稲井邦利 福島の子ども脱被ばく裁判を応援 ‏@kunitoshiinai · 2016年 4月2日
福島の問題は県民、市民を騙して被曝させる、福島市ハローワーク駐車場フレコンバック中間置場はヤバイ!
福島はヤバイ!奥の茶色が福島TV 、左側ハローワーク、手前税務署、市街地に除染土山積

(孫崎 享さんが稲井邦利 福島の子ども脱被ばく裁判を応援をリツイートしました)
孫崎 享 ‏@magosaki_ukeru · 2016年 4月2日
本当???

福島県の県庁所在地の福島市の繁華街近くに除染作業で出た膨大な量の汚染土壌や瓦礫が耐用年数が数年しかないビニール製のフレコンパックに入れられ野積みされている様は不気味。フレコンバックは1立方メートル(約1トン)2015年9月末時点で約915万5000袋が約11万4700カ所の仮置き場や除染現場の保管場所に置かれている。 避難指示区域の同県富岡町の沿岸部の仮置き場では5段積み。(高さが5メートル)人口密集地の福島市中心部の7段積みとは無茶苦茶な話で、(高さが7メートルにもなり2階建ての建物の屋根部分と同じ)
野外に何年も放置されたままなのでフレコンパックの劣化が急速に進んで破損が始っていて、(二次汚染が心配され)これは動かしたくても動かせない。今後も野積みしておく心算なのでしょうか。動かそうにも、そもそも大型ダンプカー100万台分にも膨れ上がっており、物理的に不可能なのです。

★注、
今までは『除染して全員帰還』と言い続けて、全く無駄なゼネコンの除染事業に8兆円以上を浪費していた日本政府ですが、危険極まりない高濃度の放射能汚染水(トリチウム)を『薄めて投棄』する心算なら、ほぼ同じ理屈で除染作業で出た学校の校庭に積み上げられている低濃度の放射性汚染物質であるフレコンバックは綺麗な土砂と混ぜて投棄するでしょう。
そもそも汚染水が永久に貯められない様に、放射能に汚染したフレコンバックも永久に野積み出来ないのである。


遠く230キロも離れた太平洋上でフクシマの放射性プルーム(放射能雲)に遭遇して、たった5時間だけ短時間被曝した原子力空母ロナルド・レーガン乗員のアメリカ兵に涙する小泉純一郎元首相

孫崎 享 ‏@magosaki_ukeru · 2016年5月19日
小泉元首相に強い違和感。朝日「小泉氏が涙 米兵のトモダチ作戦の健康被害”見過ごせない”、
当然自衛隊員にはより大きい被害。
福島の住民はどうなのだ。
小泉元首相が彼らに同情し涙したという写真はあっただろうか。彼の問題かマスコミの問題か。

『フクシマの放射性プルーム(放射能雲)に230キロ離れて、5時間だけ被曝した米兵が被曝しているなら日本の一般市民はもっと被曝していた』

トモダチ作戦に参加した米兵の放射能被害に涙した小泉純一郎ですが、これは政務活動費の横領を追及されて記者会見の場で突然号泣した野々村竜太郎兵庫県議会議員以上に胡散臭い。余りにも芝居がかっていてインチキ臭いのである。
屈強な米兵の放射能被害には同情する。ところが、福島県に5年間一貫して住みて直接被曝し続けている幼児や妊婦を含む一般住民とか、トモダチ作戦の米空母よりも近いフクシマから220キロの距離にある首都圏の圧倒的な人数の日本人市民の放射能被害には一切無関心。”見過ごせない”、ではなくて丸々意識的に見落としている『詐欺師』の悪党なのである。



『「ロスアトム」、福島第1原発の「核溶岩」プロジェクトの第1段階を完了』2018年08月23日 スプートニク日本

福島第一原子力発電所事故後、1号機、2号機、3号機で核燃料が溶け、原子炉の格納容器の底を突き抜け、その外側に溶け落ち、「核溶岩」が形成された。日本政府との合意に従い、ロシア国営原子力企業ロスアトムがその調査に取り組んでいる。
福島第一原発の事故処理作業を計画する際には、安全に処理するために「核溶岩」の場所、成分、物理的及び機械的性質を正確に知る必要がある。
「ロスアトム」、福島第1原発の「核溶岩」の挙動を予測する方法を計画する
時間の経過と共に「核溶岩」の性質は変化するため、事故処理作業の開始時期を正確に判断するためには、数十年先まで「核溶岩」の特質の変化を予測する必要がある。
これに取り組んでいるのが、ロシアの原子力学者たちだ。
ロシアの専門家らは、事故のあったチェルノブイリ原子力発電所の「核溶岩」のサンプルを調査し、それに基づいて福島第一原発の「核溶岩」の破片のモデルサンプルを作成した。
だがこれはプロジェクトの第1段階にすぎない。ロシアの学者らはプロジェクトの第2段階で、フクシマの「核溶岩」のすべての性質の変化の予測を立てる。この作業は、2019年3月までに完了する見込み。
2018年08月23日 Sputnik

『「ロスアトム」、福島第1原発の「核溶岩」の挙動を予測する方法を計画する』2018年05月01日スプートニク日本

ロシア国営原子力企業ロスアトムは、今後数カ月間で、福島第1原子力発電所における核燃料成分を含む溶融物の挙動の予測に関する作業を行う。
入札によってロスアトムのメンバーに加わった企業は、日本政府が助成した炉心溶融物(コリウム)の時間の経過に伴う性質の変化を分析する技術開発プロジェクトの枠内で請負業者によって選ばれた。
コリウムとは、(事故が起きた原発の原子炉に形成される)核燃料の成分を含む溶融混合物
事故処理作業の開始時期を決定するためには、数十年先(半世紀まで)のコリウムの性質の変化を予測する必要がある。そのため新プロジェクトの枠組みの中でロシア側は「フクシマのコリウム」の性質の変化に関する予測モデルを作るために、事故があったチェルノブイリ原子力発電所4号炉のコリウム・サンプルの調査と、福島第1原発の残存燃料のモデルサンプルを作成する。
2018年05月01日 Sputnik

刻々と変化する『100トンもの危険なウラン燃料が溶融した「フクシマのコリウム」(核燃デブリ)核溶岩』

この『核溶岩』の言葉は3カ月前の『「ロスアトム」、福島第1原発の「核溶岩」の挙動を予測する方法を計画する』2018年05月01日と今回の『「ロスアトム」、福島第1原発の「核溶岩」プロジェクトの第1段階を完了』2018年08月23日のロシアのSputnik 記事以外では使われていない。
今まで東電や日本政府が使っていた『核燃料デブリ』なら変化しない安定した個体のイメージである。
ところが、ロシアのSputnik 記事では大きく違い、はっきりと『時間の経過と共に「核溶岩」の性質は変化する』と指摘していた。そもそも冷えて固まった溶岩もあるが基本的に溶岩は『流体』で変化するものだった。
現在も東電はメルトダウンして、ほぼ空っぽの福島第一原発の圧力容器内に大量の冷却水を抽入して冷やしているので、今のような高濃度の放射能汚染水がたまり続ける結果になっている事実を挙国一致で隠していた。
政府やマスコミが必死で隠す理由は極簡単で、一般市民が『フクシマの再臨界』の可能性でパニックになることを心配しているのである。

★注、
校庭に除染したフレコンバックを野積みしたままとか、汚染水の海洋投棄などの今の原子力規制委『日本政府』の不真面目極まる態度ですが、もし福島第一原発が現在再臨界していたり、あるいは再臨界の危険性があるなら国際法に違反する汚染水の海洋投棄など些末な如何でもよい話である。あのネズミ講というか花見酒のアベノミクスの破綻さえフクシマの再臨界に比べて些細な話である。
(核大国であるロシアのSputnikだけが唯一書いている、時間の経過と共に性質が変化する『核溶岩』ですが、たぶん、核燃デブリの再臨界の意味だったとすれば、怖ろしことだが原子力規制委員会の更田豊志委員長が最初から主張している東京電力福島第1原発で高濃度放射能汚染水の海洋投棄はあまりにも当然だった)


「放射能の数値が高いのに、日本政府は福島に戻れと言います」2018-03-08 ハンギョレ新聞社

福島事故から7年、故郷に戻れない人々 
「事故の前は原発周辺に子どもと遊びにも行ったが」 
「政府の無償住宅支援も途切れたが戻ることもできず 
昨年、自宅の庭の土から7万ベクレルの放射能が検出され」 
「避難所で鼻血を流す子どもたちを多く見て 
親としての務めを果たしたら、いつかは帰りたい」

彼らはいつかは故郷に帰りたいと語った。7年前の2011年3月11日、日本の東北地方にある福島で起きた大地震による福島原発事故は、彼らの人生を根こそぎ投げ飛ばした。

 故郷の福島で生まれ育ったYukariさんと田中さん(仮名)は、日本政府が避難地域に指定しなかった地域に住んでいたが、放射能被害が恐ろしく自発的に避難せざるをえなかった、いわゆる“自主避難民”だ。日本政府は「避難民帰還奨励政策」を推進し、昨年3月から自主避難民に対して福島原発事故後に実施した住宅無償提供を中断した。自主避難民に対する政府の支援策が事実上すべて途絶えた後にも避難生活を続けているYukariさんと田中さんに先月27日、東京で会った。二人は共に福島県の最大都市であるいわき市出身で子どもの母親だ。避難してから7年が経った現在の状況まで、二人の話をそれぞれまとめた。


■Yukariさん(45)

 「事故前は原発が安全で環境にやさしくきれいな施設だと思っていました。福島原子力発電所の周辺には公園もあり、きれいに整備された施設が多くありました。地域住民のための行事もたくさん開かれて、子どもたちが遊べる場所も多く、まだ鼻垂らしだった子どもたちを連れて、しばしば行ったほどでした。

 福島原発事故が起きた2011年3月11日の5日後の3月16日に避難しました。先に避難した友達が電話をかけてきて、泣きながら『逃げて』 『逃げて』と言いましたが、私はどうして泣くのか、政府が大丈夫だと言ったじゃないかと話しましたよ。政府が室内にいれば大丈夫だと言った話を信じました。避難する前に自宅の水道が断水して、政府が別に用意した給水所に行って行列して水をもらいましたが、その時は家の外が放射線に汚染されているということさえ知りませんでした。今考えれば悔しいです。でも、だんだん危険になっているという気がしました。

 父が友達に電話してみたら、父の友人もすでに避難していました。結局タクシーに乗って栃木県に行き、栃木県で新幹線に乗って東京に来ました。タクシー代だけ4~5万円かかったようです。若い時期に東京で働いたことがあるので、東京に来ました。他所はまったく知らなくて考えられませんでした。子どもは2年ほどショックで毎晩泣きました。いわきが本当に好きなので、子どもがいなかったら戻っていたでしょう。

 いわきにある自宅は、3~4年前に除染(放射性汚染物質除去作業)をして、もう大丈夫ではないかと一時は考えました。ところが決定的だったのは、昨年知人が私の自宅の庭の土の放射能汚染度を測定したところ、1平方メートル当たり7万ベクレルという結果が出ました。(病院のような放射線取扱施設で不要な被爆を減らすために出入りを制限する放射線管理区域の設定基準が1平方メートル当たり4万ベクレルだ)。福島の自宅で今も暮らしている父は、元々庭いじりが好きでしたが、事故後には庭の木をすべて切ってしまいました。今、経済的に非常に困っていますが、子どもの健康が心配なので戻ることはできません。政府が(福島)復興を推進するのは本当に良いことで反対するつもりはまったくありません。でも、政府の政策は(帰還だけを)強調しています。避難を選択する人の権利もあるのに。避難した人に対する政策がないじゃないですか」

 歌手のYukariさんは、原発反対集会などで福島に対する思いを込めた歌を歌っている。「青い海、今でも目をつぶれば見えてくる、砂浜に書いたたくさんのメッセージ/ああ忘れらぬ故郷/ああ時がたち胸を熱くさせる、今でも」彼女が歌った「今でも」という歌の一節だ。


■田中さん(仮名・47)

 「実名は明らかにしてほしくありません。自主避難民に対する攻撃が子どもたちにまで及ぶ場合があります。福島原発事故が起きた3月11日夕方、ラジオから『万一のために原子力発電所から半径3キロメートル以内に暮らしている人は避難してください』という放送が流れました。私の家は原発から38キロメートル離れていますが、避難地域がどんどん拡大する可能性があり、後になれば人々が一気に集まり、地震の津波で通行可能な道路も少ないから早く避難しなければと決心しました。

 (原発事故の翌日である)3月12日朝、車に乗って避難しました。通行可能な道路があまりなく、19時間もかかって東京に到着しました。行く途中、初めてあかりを見たのは埼玉県にあったパチンコ店だったことを今でも覚えています。両親が東京近郊に住んでいるので、ひとまず東京に来ました。事故から一カ月後、食べ物の放射能を測定できる計測器も100万円で買い、測定を始めました。まだ戻れないと思っているだけで、一生戻らないと決心したわけではありません。福島にはまだ家があり、ローンも残っていますが、家を誰かに賃貸することもできません。我が家の庭の土の放射線汚染度を測ってみたら1平方メートル当たり4万ベクレル以上の放射能が検出されました。除染もいわき市が目標にしたものの20%程度しかはかどらなかったと聞いています。

 政府は原発事故と病気の因果関係を認めないから、帰還して病気になれば救済を受けることも難しいのです。避難所生活をしていた時、普通ではないほどものすごい鼻血を流す子どもたちを数人見かけました。それ以上に問題だと考える点は、世代を越えて被害を産みかねない遺伝子変形の心配です。原発事故自主避難者は、実際に暮らしていた地域が放射能に汚染される被害をこうむったのに、被害をこうむった場所に戻れという圧力を政府から受けています。(政府が提供した)避難住宅から追い出される境遇に立たされています。私たちを非難する人々もいます。

 政府が使う自主避難という言葉には違和感を感じます。自主避難は、本来台風や水害をこうむる可能性がある場合に、避難指示対象地域から少し外れた地域であっても、高齢者やからだの具合が悪い人が万一のために避難する場合に使われる用語です。でも原発事故の場合の放射能被害には、水害のように確実な境界線がありません。現実的に放射能汚染があって、被爆の危険があるのに政治的判断で避難指示が下されなかった地域がたくさん出ました。被害を覆うための復興は望みません。人々の健康と心を傷つけるならば、そんな復興を推進する価値があるのかと、あらためて訊ねたいです。政府は当事者の声を聞くべきです。今でも(福島の)青い空が懐かしいです。両親としての務めを全うしたら、いつかは戻りたいです」

 田中さんはこの日、自主避難民の声を伝えるために国会議員数人との面談を申し込んだ用紙を取り出した。多くの国会議員とは面談がなされたが、自民党の重鎮議員の1人は、面談申込書に「断る」という回答を書いて送った。



コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台風が噴火誘発のおそれ?N... | トップ | 「ダメだこりゃ」 御名御璽 »

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
放射性廃棄物、東京裁判 (ローレライ)
2018-08-25 10:42:07
放射性廃棄物の東京裁判は行はれない自信があるのだろう。日本は見捨てられた失敗地区。
返信する
おふざけで自滅ですしネ! (あたし新聞)
2018-08-25 19:40:37
福島の事故原発の対策がぁ〜

食べて応援とか?
ただでさえ、対策費用が掛かるのにオリンピックを不正誘致して開催とか?
度が過ぎる、おふざけ三昧っ!!
マリオのコスプレをしてブラジルに行くとか?
キチ発想だ!

ALPSの増設には予算をつけず、
オリンピック・リニア新幹線・築地移転にムダ使い!

返信する
やっちまったか (蟹蔵)
2018-08-26 01:53:20
好きだった魚さえ喰えなくなっちまった。異常
返信する
Unknown (なか)
2018-08-26 11:34:35
イスラエルやアメリカにちゃくばらいで送れよ
返信する
福島原発事故は防げた!! (大川 富男)
2018-08-28 11:59:36
私の人生の師は、原発などに代わる代替エネルギーを1995年ころから開発しようとしていました。1999年にフリーエネルギーを発明、一緒に、空飛ぶ自動車・一人用ヘリコプタも発明。師は、いろいろな50の学会の顧問をしていました。その中に地震などの学会もありましたので。
妨害をしたのは、東京電力・NHK・その時の小渕総理です。それ以後も妨害をし続けています。4人の発明家で6点の代替エネルギーが、発明されています。皆妨害や命を狙われた方もいます。日本はおかしくなっています。
返信する

コメントを投稿

放射能と情報操作」カテゴリの最新記事