逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

あまりにも誇張されている日本軍国主義の危険性

2016年11月01日 | 軍事、外交
島国である日本の領土は約38万km²で世界第60位だが、領海およびEEZの総面積は約447万km²で世界第6位の海洋大国だった

『専門家の見解、自衛隊を軍隊へと変貌させる危険性はあまりにも誇張』2016年10月31日 sputniknews.オピニオン

「2016年10月末、戦没者を弔う靖国神社の閣僚参拝に関連したスキャンダルが再燃した。
とはいえこれはもうスキャンダルを呼ぶよりは、中国、韓国が従来通り示す過激な反応というほうが正しいだろう。

日本の閣僚の靖国神社参拝はもちろん戦争の記憶に留まらず、日本の軍事力の拡大も絡んで多くの点で問題となっている。中国は明らかに日本が軍事面で徐々に力を増していることを危険視している。 自衛隊が段階的に軍隊へと変貌していると捉えるならば、私の見解ではこのプロセスによる危険性はかなり誇張されていると思う。
第1に実際の自衛隊は、殊更に軍事的な意味で戦闘行為を開始した敵を破壊する目的で反撃を加える可能性を含まねばならないという状況は、考慮しないわけにいかないからだ。この観点からすると軍隊およびその海上、航空の軍備を拡大することは目的にかなった行為である(日本は自国の領域だけでなく、それに付随する水域をも守らねばならない)。

第2に戦後70年、日本の置かれた状況は変わった。日本は軍事的に強国に取り囲まれてしまっているのだ。ロシア、中国、韓国、北朝鮮は強力な軍隊を有している。太平洋地域の他の諸国もこれら強国の援護に駆けつける可能性がある。
この状況は、仮に日本が賭けに出て侵略戦争を始めようなどと考えたところで、核兵器をも含めた強力な報復をくらうリスクなしに隣国に攻撃をしかけるということは元々ありえないのだ。

第3に大戦争には原料、石油が必要だが、これは日本にはなく、それのための海上運輸はあまりに損なわれやすいことは前回の戦争でも露呈した。

第4に戦後の時代が示したように日本の企業は日本人ジェネラルよりもはるかに多くを勝ち取った。現在、日本の経済、文化の影響の及ぶ範囲は第2次世界大戦時の日本人ジェネラルが示しえた範囲を超えている。
日本は繁栄のために必要な全てを平和的方法で獲得することができる。一例ではロシアとの経済協力交渉が成功した場合、日本は莫大な原料、エネルギー資源を手に入れることができるではないか。
こうした論拠から日本が侵略の意図を持つというのは単に馬鹿げた話であるといえる。

では話を戦争の記憶と靖国神社に戻そう。まず中国、韓国両政府から出された声明が本質的には日本の内政への干渉であることを指摘する必要がある。日本の代表者らは中国や韓国の政治家にどの寺に参拝しろなどとはいわないではないか。

さらに指摘せねばならないのは日本にとってはあの戦争は大きな不幸せであり、侵略政治や戦争犯罪を非難されるだけでなく、多数の犠牲者を出し、原爆によっても莫大な損失を出したことだ。
私は日本人は自国政府の侵略に十分に代価を支払ったと思う。

そして最後に靖国神社の札にその名が明記されている日本軍の兵士、将校たちだが、彼らは自分の命と引き換えに命令を遂行した。その彼らに日本政府の政策、特定の人物の犯罪の責任があるとするのは少なくとも道徳に反することだ。
例えばソ連は対独戦争で莫大な犠牲を強いられたが、それでも全ての独兵士、将校にナチスの犯罪の責任を負わせようとはしてこなかった。
非難の対象となったのは戦争犯罪を犯した特定の個人だけであり、戦争捕虜の圧倒的大多数な戦後数年して本国へと帰されている。また現在でも独兵の遺骨が見つかった場合は本国で埋葬されるためにドイツ側へと引き渡されるのが通常だ。靖国神社に祀られているおよそ250万人の英雄のうち、軍事法廷で裁かれ、戦犯とされたのはわずか14名。実際のところは中国、韓国の要求は日本軍の中でも戦犯判決に合致しない戦死した兵士、将校らを犯罪者扱いしていることになるため、これはもちろん受け入れ難いことになる。
東京裁判で戦犯とされた人物らの札が神社にある問題については私はこれらの人物らの供養を禁ずることが判決に源を発するものになるかどうかは法律の観点から見直し、見極めることができると思う。これが判決に源を発するとなれば、これら戦犯の札を靖国神社からはずすという裁判の決定をとらねばならない。私の知る範囲では戦争法廷で裁かれた者らについての墓碑ないし奉納札は法廷規約でも国際刑事裁判所の他の文書でも禁じられてはいない。少なくともこの問題は日本の法律の範囲で解決するべきものだ。」 ドミトリー・ヴェルホトゥロフ
10月31日sputniknews

『今の日本人が誰一人も考えていない再侵略。中国人や韓国人の心配している日本軍の再侵攻』

共産党など日本の左翼護憲派陣営ですが、安倍晋三首相ら右翼国粋主義による自衛隊の海外派兵などの『国軍化』の動きに批判的で有る。
同じように中国や韓国の政府が繰り返し批判している『日本軍国主義』復活批判と、この日本の左翼護憲派の心配とは、一見する『そっくり同じ』と言って良いほど似ているのです。この事実に対して、日本の右翼はいらだっている。
ところが、同じに見える日本(左翼)と中国韓国ではその『中身』がまったく違っていた。
今の中国人や韓国人の心配しているのは、ズバリ『復活した日本軍の再侵攻』なのである。
ところが、今の日本人では右翼左翼に関係なく『再侵略』(再植民地化)など、誰一人も考えていないというか、中国韓国がそんなことを心配しているなど1回も想像さえしていないのである。
その意味では10月31日のsputniknewsのドミトリー・ヴェルホトゥロフによるオピニオン記事は大事な指摘であろう。

『一字違いで大違い。!左翼知識人の大失敗』

新進気鋭の政治学者白井聡ですが、永続敗戦論で、『日本は敗北に終わったあの戦争をもう一度戦うだろう』との目も眩むような怖ろしい大予言を行っているが、これは物事を徹底的に論理的に考える左翼知識人の典型的な勘違いである。
白井聡ですが日本の安倍晋三などの右翼国粋主義者が『日本は正しい』と主張していると思っているのですが一字違いで大違い。実は、日本の右翼国粋主義者が実際に言っている(使っている言葉)のは『日本は悪くなかった』である。
言葉の意味が同じ(ニュアンスが微妙に違う程度)なのですが、『日本は正しい』を『日本は悪くなかった』と言い換えた理由は簡単で、もしも『日本が正しい』なら自動的に白井聡の、『日本は敗北に終わったあの戦争をもう一度戦うだろう』との永続敗戦論と同じ結論になる。
本当かどうかは別にして『正しいものが勝って、悪い方が負けた』(勝てば官軍、負ければ賊軍)との『建て前』が大昔から日本にあるから戦争が続くことなく簡単に終わる(平和が続く)のです。(悪い方が勝ったのでは、正しいものが勝つか全員が死に絶えて絶滅するまで戦争は永久に終わらない)

『勝敗(優劣)を争う選挙や競技スポーツは単純明快な「勝てば官軍負ければ賊軍」の価値観で動いている』

倫理観を優先しがちな護憲左派の多くの知識人が誤解しているが、恐ろしい話ですが戦争とは、選挙とか競技スポーツと同じ原理で、正しいものが勝つのではなくて『勝ったものが正しい』(負けた方が悪い)とされるのである。
日本軍が悪かったから負けたのではない、
物事の因果関係が逆さまで『戦争に負けた』から『悪かった』と決定されたのである。もしも勝っていれば東条英機はA級戦犯ではなくて日本の国家英雄として巨大な銅像が東京のど真ん中に立っている。(東京裁判で東条らは日本も批准したパリ不戦条約に違反した『開戦責任』を問われて絞首刑になるが、本当に問われるべきは日本の敗戦責任の方であろう)
白井聡の永続敗戦論では、もう一度アメリカと戦って勝つか、勝てないまでも引き分けに持ち込まない限り日本の敗戦は永久に終わらないと指摘しているが、これは選挙やスポーツでも同じ原理原則である。(時間が経ったからといって勝敗の結果は覆らない)
もう一度選挙なり競技を行って勝たない限り敗者は永久に敗者であり、逆に勝者の側は『勝者』であり続ける。
負けた日本が『悪くない』と言い続ける行為とは、自動的に『日本は本当は負けていないぞ!』(戦争は自分たちが勝つまで終わらせないぞ)と言い続けていると外国からは見做される。

『復讐に時効はなく、何世代も前のことでも親から子へと申し渡されていくパシュトーンの掟によれば、「報復は10世代におよび続く」という』

誰にでも分かりやすい例としては、アフガニスタンのタリバン(自分たちが悪いとは少しも思っていないパシュトーン人)は2001年にアメリカ軍に攻撃されやむなく首都カブールを放棄した。ところが15年かけて今では逆にアメリカ軍を追い詰めている、
『日本は悪くない』などと暢気なことを言っている日本人の想像を超えているが、逆に今の中国人や韓国人の心配している『復活した日本軍の再侵攻』も全く根拠がない、『根も葉もない作り話』では無かった。
71年前の戦争にはぼろ負けしても『正しい日本』なら(1回目は失敗だったが再チャレンジして)対米戦争や中国韓国の再植民地化が、今後、再び繰り返されることになる。 
政治学的な判断では日本よりも中韓の方が余程正しいのである。
本来なら右翼国粋主義は『正しい日本』を主張したいのだが、その結論(悪いアメリカ)があまりにも怖ろしい。それで仕方なく次善の策として『悪くない日本』と言葉を日本的に誤魔化したが、この程度の偽装工作では阿吽の呼吸の日本人相手には通じても外国人である中国韓国相手では最初から無理だった。
この『正しい』を『悪くない』と言い換える程度の、あまりにも姑息で些細な違いでは、長年同じ問題で揉め続けるのは当然だったのである。




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2 コメント

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戦争 (農婦)
2016-11-01 15:36:10
平和。生まれし時より争いが耐えませんね。良い潮時ですよね。よく解りません。自然に帰って、自然に帰れれば良いと思うのですがね。
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経済戦争 (宗純)
2016-11-07 08:35:06
農婦さん、コメント有難うございます。

日中両国が今後戦争になることは絶対に有りません。日韓の戦争も考えられない。北朝鮮などもっと有り得ない。
日米戦争の方は、首都東京をアメリカ軍に抑えられているのが現状であり、これも今更考えられない。
しかし、経済戦争なら間違いなく負け戦の真っ最中ですよ。

冷戦崩壊から20年目の日本(初めての債務超過)
2011年02月11日 | 経済
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/ae36c965c194283adf77ce0569814d1d

今の日本の惨状ですが、これは日米経済戦争の結果です。
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