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「凍土壁は極めて危険だ!」原子力規制委・日本陸水学会

2016年03月31日 | 放射能と情報操作
福島第一原発1~4号基の建屋を囲う陸側凍土遮水壁の平面図には、地下への注水目的(核デブリの冷却用??)の多数の井戸が凍土遮水壁の内側に新たに掘られていた。今までは地下水の汲み上げ用の井戸(サブドレン)はあったが地下への注水用の井戸は前代未聞、空前絶後。アメリカのオバマ大統領が推進した(最後は必ず破綻する)サラ金とネズミ講が合体したような胡散臭いシェール革命を除けば今回の東京電力が『初めての試み』である(経済産業省:資源エネルギー庁提供の資料)

『凍土壁の危険性を指摘する陸水学会(規制委)と、警告を無視して凍土壁計画を進める東電(経産省・エネ庁)の仁義なき戦い』

『日本陸水学会から3年前に内閣府原子力災害対策本部へ提出された福島第一原発凍土遮水壁の危険性の数々』(概要だけを短く抜粋)

凍土遮水壁では放射性物質を長期間完全に封じ込めることが出来ないだけでなく、より大きな事故を引き起こす可能性が高い。
事故処理は海外の専門家が注視しておりわが国の科学技術の真価が問われている。リスクが多い凍土遮水壁ではなく、地下水の流路変更を含め、原子炉を完全に外部から遮断する対策が必要。
『陸水学会の凍土遮水壁の懸念』
(1)
凍土遮水壁では、水と泥の膨張率が異なることから凍土遮水壁が同時に凍結することはなく、また凍 結後も不均質な応力が加わり、遮水壁にクラック(裂け目)が入る。
(2)
炉 心の温度や気温の変動や地下水の流れの変化によって凍土の一部が凍結と溶解を繰り返す。北極圏の永久凍土では凍結融解が 不均一に起こり解凍した地盤が弱体化、土地に道 路・家屋などを建築しても、地面が傾き用をなさなくなる。
土壌水が凍結するとそれによる地盤の体積膨張に加え、未凍結領域から凍結面に 向かう水の動きが生じてアイスレンズが成長を続け、凍上(とうじょう)の現象により、貯蔵タンクや建造物が傾き破 損する。
(3)
日本のように温暖で降水量が多い地域では、凍土を長期間にわたり安定した状態で維持することは困難。加え て、炉心からの伝導による熱流を上回る莫大な熱量で冷却する必要がある。
(4)
近年の海水温上昇に伴う陸域での雨量増加は地下水や地表水の流れを増加させる。地下水の流れによる凍結面からの熱の散逸を上回る大量の冷却熱を排出する必要がある。豪雨時に地下水流が増加すれば、凍土遮水壁が急速に浸食される。
(5)
事故で設備が破損して、冷媒が周辺に漏れ出たり、凍土が溶解し大量の放射性 汚染物質が海中に放出されるなどの危険性が高い。(北極圏では地球温暖化の影響で永久凍土が溶解し、多量の溶存 有機物が海洋や湖沼へ流入)
(6)
凍結の過程で放射性物質が不凍水中に取り残され高濃度の汚染溶液が生成される。泥粒子表面の吸着水やこのような高濃度の溶液は極低温でも凍らない。(南極で高濃度の溶液が極低温でも凍 らない)



『日本陸水学会 の福島第一原発における凍土遮水壁設置にかかわる意見書』(資料)

日本陸水学会(1931年設立)は、2011年3月11日に発生した東日本大震災 以降、関連するさまざまな場所や分野において精力的な調査研究活動を実施して参りました。中でも私たちが特に関心を持っているのは、福島 第一原子力発電所付近における放射性物質による深刻な地下水汚染の問題です。これに関連して取り組むべき重要なことは、(1)海洋汚染を 最小限に食い止めること、(2)放射性物質を安定な状態で長期間封じ込めること、(3)将来において処理可能な形で放射性物質を保存する こと、です。

報道によると、放射性物 質による汚染地下水対策として「凍土遮水壁」による方法が浮上しているようです。この手法は,パイプを地下に敷設してマイナス40度~50度の冷媒を 循環させて土壌を凍結し凍土の壁を作りますので、一時的な便法としてはよいかもしれません が、長期間にわたって地層を凍らせるのは正しい選択ではないと考えています。
水と泥の膨張率が異なることから凍土遮水壁に不均質な応力が 加わり遮水壁に突然大規模なクラック(裂け目)が入る可能性があります。

一方、凍土遮水壁では、 炉心の温度や気温の変化、また地下水の流れの変化によって凍土の一部が凍結と溶解を繰り返します。
北極圏の事例によれば、このような土地 に道路・家屋などを建築しても、地面が傾き用をなさなくなります。これは,凍結融解が不均一に起こり解凍した地盤が弱体化するからです。
また土壌水が凍結するとそれによる地盤の体積膨張に加え、未凍結領域から凍結面に向かう水の動きが生じてアイスレンズが成長を続け凍上 (とうじょう)の現象が起こります。
凍上によって貯蔵タンクや建造物が傾く可能性も高くなります。特に、日本のように温暖で降水量が多い 地域では、凍土を長期間にわたり安定した状態で維持することは困難ですが,加えて,炉心からの伝導による熱流を上回る莫大な冷却熱を排出 する必要があります。また、近年の海水温上昇に伴う陸域での雨量増加は地下水や地表水の流れを増加させています。地下水の流れがある場合 には,流れによる凍結面からの熱の散逸を上回る大量の冷却熱を排出する必要があります。豪雨時など地下水流が急激に増加する場合には凍土 遮水壁が急速に浸食される可能性もあります。

さらに、何らかの事故で 冷却がストップしたり設備が破損した場合、冷媒が周辺に漏れ出たり、凍土が溶解し大量の放射性汚染物質が海中に放出されるなどの危険性が 常に付きまといます。実際、北極圏では近年の地球温暖化の影響で永久凍土が溶解し、多量の溶存有機物が海洋や湖沼へ流入しているという研 究報告もあります。また、氷結の過程で放射性物質が不凍水中に取り残され高濃度の汚染溶液が生成される可能性も国内外から指摘されていま す。泥粒子表面の吸着水やこのような高濃度の溶液は極低温でも凍らないと言われています。

このように凍土遮水壁で は放射性物質を長期間完全に封じ込めることが出来ないだけでなく、より大きな事故を引き起こす可能性が高いと言えます。本事故処理に関し ては海外における水問題の専門家が注視しており、わが国の科学技術の真価が問われています。関係各位におかれましては、凍土遮水壁の敷設 ではなく、地下水の流路変更や他の工法(たとえば運河方式)による原子炉及びその周辺施設の完全な遮蔽を含んだ抜本的な対策についてご一 考いただきますようお願い申し上げます。
2013年9月20日 日本陸水学会 会長 熊谷道夫



『摩訶不思議 謎だらけの東京電力の建設した海側遮水壁』

政府や東京電力が、『福島第一原発の汚染水対策だ』(海洋流出を防ぐ)と称する海側遮水壁は半年前の2015年(平成26年)10月26日、10メートルの開口部を完全に閉じて完成させる。
海にダダ漏れだった汚染水を止めた途端に、出来たばかりの遮水壁が1ヶ月で20センチも傾く。(東電発表では傾きの原因は一切不明とされているが、1ヶ月で20センチなら、1日当たり7ミリも鋼鉄製の円筒状の鋼管が傾いているが、もう無茶苦茶)
4年前の2012年5月、1~4号基の護岸海側に遮水壁を建設するがマスコミが誰も彼も怖がって一人も報じない腰抜けぶり。
2015年5月17日、日本共産党機関紙しんぶん赤旗は、摩訶不思議な謎だらけの東京電力の建設した『海側遮水壁』を日本のマスメディアとして初めて取上げているが、読めば読むほど意味不明でフクシマの謎が深まるばかり。『海側遮水壁』を何年間も大手メディアが誰も書かなかったのも『なるほど』と頷ける摩訶不思議な代物だった。


フクシマ(第一原発1号基から4号基の敷地付近)の地上30メートルから40メートル付近だけ霧かかかっている摩訶不思議な映像


2014年に1・5キロ沖から視察する菅直人元首相と福島第一原原子力発電所。原発敷地だけ地上30メートル付近に帯状の霧がかかっている遠景がはっきり映っている。限定された地上高の極狭い空間だけに濃い霧が発生しているメルトダウンから4年目の福島第一原子力発電所の異様な光景だが、大手マスメディアは全員怖がって誰も報じない。(2015年10月25日週プレNEWS の画像)

『凍土遮水壁建設をめぐり「危ない」と主張する原子力規制委員会と、「安全だ」と主張する東電(エネ庁)の不思議な「仁義なき戦い」の意味とは、』

東京電力や経産省(資源・エネルギー庁)は陸側凍土遮水壁や海側の鋼管を連結して出来上がっている遮水壁の目的は、1日当たり400トンも半永久的に増え続ける高濃度放射能汚染水対策であると言い続けている。
もちろん安倍晋三に完全にアンダーコントロールされている日本国のマスコミも、全員が異口同音に胡散臭い『遮水壁は汚染水対策だ』との東電や日本政府の発表だけを伝えている。
3月30日、今まで『危険である』として反対していた凍土壁を認可してしまった規制委ですが、今まで長い間、陸側凍土壁や海側遮水壁の両方の遮水壁の運用に頑強に抵抗していた。
ところが、今回東電に押し切られる形で認可した規制委ですが、そもそも原子力規制委員会の田中俊一委員長や、委員長代理の更田 豊志(ふけた とよし )などの現在の原子力規制委員会の幹部連中は誰一人(東電やマスコミが『大問題だ』とする)汚染水などに何の関心も持っていない。この事実は今まで再三マスコミでも報道されているので誰でも知っている。マスコミの今までの報道姿勢ですが無茶苦茶。少しも辻褄が合っていないのである。

『今も昔も同じで規制委は一貫して、最終的には「汚染水の全量を海に投棄する」しか方法がないと主張している』

1年以上も前から全てのマスコミでは『汚染水は原子炉建屋地下に流れ込む地下水』だとする嘘八百の報道(大本営発表)が続いていた。
ところが、つい最近になって、日本国のマスメディアもやっと汚染水の原因が東電が毎日原子炉圧力容器に注水している1日当たり400トンもの大量の冷却水である事実を認めている。(地下水は増え続ける汚染水と無関係ではないが、割合としては極少数)
それなら凍土壁にしろ海側遮水壁にしろ、いずれも汚染水対策とは何の関係もないことは東電や政府、マスコミは最初から知っていて『国民をだましていた』。(たぶん、『国民がパニックを起こさない』ことが最優先されたのである)
『規制委、凍土壁を認可』と報じた31日の日本共産党機関紙赤旗ですが、サブタイトルが『福島第一原発 効果に疑問も』、と最初から失敗を予測する始末。記事横にある『解説』のタイトルは『地下水位の管理が課題』だが、真下に書かれているのは『福島第一原発の汚染水漏れ』『報告義務の範囲の変更』で、なんと規制委は東電の凍土壁を認可したドサクサに紛れて、ガンマ線放出核種では1億ベクレル、ベータ線核種では100億ベクレル以下では東電に『報告義務がない』とする変更を行っていた。(規制委が最終的にもくろむ、汚染水の全量海洋投棄まで いま1歩の地点まで近づいている)
原子力規制委が今まで凍土壁に頑強に反対していたのは、今回紹介した日本陸水学会が警告したように重大な危険性が存在するからだった。
もちろん推進側の東電にしろエネルギー庁にしろ十分に危険性は知っていると思われるが、もっと大きな『差し迫った危険』を避ける目的で(規制委の反対を押し切ってまで)凍土壁を強引に行おうとしている。
今までマスコミ全員で連呼していた『汚染水は原子炉建屋地下に流れ込む地下水』は嘘八百であり、猫だましの『赤いニシン』(間違いに誘導する偽の手がかり)で、原子炉圧力容器を突き抜けた大量の核燃料デブリは地下深くに落ち込んでいると思われる、超高温の『核デブリを冷やす』目的で凍土壁が是非とも必要だと東電や政府(経産省・エネルギー庁)は思っているのだろう。(ただし、核燃料デブリの位置は誰にも分からない)

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3 コメント

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fairy tale (岩下俊三)
2016-03-31 18:48:42
まさに言われる通りです。

じつはこの凍土壁情報はある筋からとうの昔流れていましたが、まさか本気であの長いパイプを「実際に」作り続けているとは思ませんでした。

つまり撮影用の大道具だと思っていましたがマジで作っているのですね。やはりフクイチがもう絶望的だと認識しているから、「こそ」無駄でも「やる」しかないのかもしれません。
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凍土壁 (ちくわ)
2016-04-01 14:29:38
民衆を安心させるには、真偽はともかく「何かやっている」という情報を出し続ける事だそうで、この凍土壁もメガフロートと同じような、目くらましの一種のような気がします。
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やっと辻褄が合ってきたフクシマの怪現象 (宗純)
2016-04-03 16:03:35
岩下俊三さん、ちくわさん、コメント有難うございます。

原子力規制委の田中委員長ですが、はっきりと『汚染水問題には何の関心も無い』と言い切っているのですよ。
多分、汚染水云々の話ではない極限状態に陥っている可能性が高いのですが、正直にフクシマが直面している真実を語るのは『国民がパニックになる』と思っているんで出来ないのでしょう。
五年前の3・11フクシマの核事故発生当時の話ですが、ロシアのプーチン大統領が即座に日本人被災民をシベリアに受け入れると表明していた。それしか解決法は無かったのでしょう。
管直人元首相が目撃した地上30メートルの原発敷地限定の不思議な霧の正体とか、1カ月で20センチも傾いた海側遮水壁の異変ですが、
これ等の原因はメルトダウンしたフクシマの原発敷地全体ををシベリア化(永久凍土)してしまうとのトンデモナイ計画だった。
政府や東電が正直に真実を語らず『汚染水対策だ』とうそを付くから辻褄が合わないだけで、
核燃料デブリを永久凍土で冷やすと言えばすべてが納得する。ただ、東電としては成算があって行っているのではなくて、何も打つ手がないので仕方なく闇雲に行っている節が濃厚です。
まさに目くらまし。
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