逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

30年間ゆっくりと死につつある日本

2019年12月10日 | 経済

『経済発展する中国韓国は「もうすぐ崩壊する」との「嫌韓嫌中」が大流行する日本』

30年間で韓国は4倍以上、中国は二十数倍に賃金やGDPが増え続けている。欧米先進国で最低のフランスでも8割以上増加したが、世界で唯一日本だけが一貫して減り続けた。(★注、2008年のリーマンショックで各国のGDPは大きく減少したが、それでも労働者の賃金は下がらなかった。ところが、日本だけは賃金が大きく下がっている)


2019年11月13日、AP通信 香港中文大学構内の駅で列車に火炎瓶を投げ入れる黒覆面の学生ら

     Mikio Oishi @mikionz          

本当に、「香港加油!」で香港の暴力の炎に油を注ごうとしている「リベラル左翼」たち(←私も自分ではリベラル左翼のつもりですが…)、そして特に、ネオリベ・ネオコン・戦争屋たちの東アジア分断策に乗せられようとしている野党政治家たちにYonden Lhatoo氏の論評を読んで貰いたいです。

『何とも能天気に、「香港加油!」で香港の暴力の炎に油を注ごうとしている日本の「リベラル左翼」たちの不見識』

22年前の香港返還時点(1997年)では、中国本土の2割近くを占めていた香港のGDP比率が、(先進国並みには香港も経済成長したが)猛烈な中国の経済成長の影響で現在では3%まで下がっている。貿易や金融でも世界貿易機関(WTO)に中国が加盟したことから香港の重要性は大きく低下した。
『明るい北朝鮮』と皮肉られている世界の金融センターとしてのシンガポールとは違い、香港の地位は圧倒的な中国経済の影響下にあるが、上海の発展に伴い香港の意味は相対的に低下。隣接する中国本土(広東省深圳地区)の発展速度が凄まじいので、香港が飲み込まれるのは近い将来に予測されている。
しかもシンガポールとは違い香港当局は安い住宅を市民に提供してこなかったので世界一住宅事情が悪い。中国復帰以来100万人が中国本土から移住して毎年毎年3万人の移住が認められているのですから、EUのイスラム移民やアメリカの中南米移民よりも深刻な問題が発生していた。
日本や欧米リベラルメディアの『民主派』云々とは大きくイメージが違うし、中身は、もっと違っていた。日本国の嫌韓嫌中とか病的な右傾化現象、EUの極右の大躍進やアメリカのトランプへの熱狂支持に似た原因(漠然として没落の予感から必然的に起きる妬み、嫉み、焦りなどのどす黒い負の感情)で今の香港で若者たちの騒動が起きていたのである。(★注、欧米先進国の様な自分たちとは違う外国人とか異教徒への『嫌悪』ではなくて、香港の場合は同じ中国人相手のヘイトなのですから余計に悲惨であり見苦しい限り)

『第一次世界大戦が終わった1918年の「米騒動」以降、100年間も怒りを一切忘れた平和な日本人たち』

本来なら30年近くも『ゆっくりと死につつある』日本でも香港の『怒れる若者たち』と同じことが起きても不思議ではないが、我が日本国は世界の例外『巨大なガラパゴス島』なので日本人は決して人前では怒らない。★注、東日本大震災のように、どれほどの大地震や台風など大災害でも暴動も略奪も起きない仕組み(絆社会としての疑似共同体)になっている。

価格が映す日本の停滞 ディズニーやダイソー世界最安 安いニッポン 2019/12/10 日本経済新聞 

モノやサービスなど日本の価格の安さが鮮明になってきた。世界6都市で展開するディズニーランドの入場券は日本が最安値で米カリフォルニア州の約半額。100円均一ショップ「ダイソー」のバンコクでの店頭価格は円換算で200円を超す。割安感は訪日客を増やしたが、根底には世界と比べて伸び悩む賃金が物価の低迷を招く負の循環がある。安いニッポンは少しずつ貧しくなっている日本の現実も映す。

「日本製の家電や化粧品は安くてお買い得」。中国から銀座を訪れた李さんは話す。18年の訪日外国人の旅行消費額は4兆5189億円で、13年比で3倍に増えた。

■カリフォルニアの半額

海外から見た日本のモノやサービスの割安さが際立っている。

日本経済新聞は世界のディズニーランドの大人1日券(当日券、1パークのみ、10月31日時点)の円換算価格を調べた。東京は7500円でカリフォルニア(1万3934円)の半額ほど。パリ(1万1365円)や上海(8824円)と比べても安さは群を抜く。

ディズニーランドは各拠点で運営主体が異なる。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは「定期的に入場客から価格感度を調査している」という。日本の実情に沿い「パークの価値に合わせた価格にしている」との説明だ。

同じ現象はディズニーランド以外でも顕著だ。

■100円ショップ、タイなら214円

海外26カ国・地域でダイソーを展開する大創産業(広島県東広島市)。日本では「100円ショップ」として知られるが、同じ商品が米国では約162円、ブラジルでは215円、タイでは214円だ。中国で生産した商品も多いが、その中国でも153円する。

ホテルも安い。12月13日から1泊大人2人でロンドンの五つ星ホテルを予約しようとすると、キングベッド1つの50平方メートルの部屋で約17万円だった。東京だと同じ条件でも、約7万円超で泊まることができる。

■「アマゾンプライム」も米の半値以下 

生活に身近になったサービスのサブスクリプション(定額課金)でも同様の傾向が見られる。米ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムは、動画や音楽配信、配送料などが無料になる有料「プライム会員」の年会費を米国で約1万2900円で提供。日本は今年4月に3900円から4900円に値上げしたが、それでも大幅に安い。

■円安だけでは説明付かず

こうした価格差は日本の為替レートが低く評価されすぎていることが理由の一つにあるとされてきた。

例えばハンバーガー価格の違いから為替水準を探る英エコノミスト誌の「ビッグマック指数」。7月時点の計算によると、日本で390円のビッグマックは米国では5.74ドル。同じモノの価格は世界中どこでも同じと仮定すると、ここからはじき出す為替レートは1ドル=67.94円となる。

ただ、実際のレートは1ドル=110円前後で30%強円安だ。その分円を持つ人にとってはドルで売られるビッグマックが高く感じられる。

ディズニーランドやダイソーの価格も同様に指数化して実際のレートと比べると対米ドルやタイバーツで46~50%強の円安となり割高感が増す。

■賃金停滞が物価も引き下げ

だが第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「今の価格差は為替では説明がつかない状況にある」と話す。足元では企業の賃上げが鈍り、働く人の消費意欲が高まらない。その結果、物価低迷が続き景気も盛り上がらない「負の循環」(同)が日本の購買力を落ち込ませているからだ。

経済協力開発機構(OECD)などによると、1997年の実質賃金を100とすると、2018年の日本は90.1と減少が続く。海外は米国が116、英国は127.2など増加傾向にある。
(抜粋)
12月10日 日本経済新聞 

 

『令戦崩壊から30年の節目』

日本では一番対米従属で売国的な右翼紙である産経新聞と同じで、政治的論調が自民党政府べったりなのが中小企業経営者とか大企業の中堅幹部、中間管理職を主な購読層とする日本経済新聞なのです。ところが、その日経が今回『価格が映す日本の停滞 ディズニーやダイソー世界最安 安いニッポン』と言い出した意味は限りなく大きい。 (多分、もう残された時間が無くなったのであろう)

冷戦終了の1989年とは、日本で(労使協調の)『連合』が成立した年でもある

最も腐敗した対米従属命の日本版ネオコン、京都の前原誠司やゴリゴリの靖国極右政治家である奈良の高市早苗が、あろうことか成立直後のブームに乗って大躍進した『連合』の名前で当選して政界入りした事実は、今の日本の根本問題を象徴していた。(労働組合なのに一時は、当時は大政党だった『社会党』以上に政党として機能していたのが『連合』だった)


     河信基(Ha Shingi) @hashingi                    12月8日           

日本ではほとんど知られていないが、正規雇用者の給料は韓国に抜かれつつある。
韓国経済研究院によると2017年現在、10人以上の事業で5年以上勤務すると韓国が日本を追い越している。なお、物価差を調整した購買力平価換算では、既に韓国が全体で日本を上回っている。

『絶対にネズミを捕らないネコ』(鼠と仲良しの猫)
★注、
もちろん、『30年間ゆっくりと死につつある日本』で歴代自民党政府の責任は一番大きいが、決して戦わない労働組合『連合』(絶対にネズミを捕らないネコ)の責任は万死に値するだろう。そもそもポーランドの『連帯』労組が証明したように組織された労働者とは『国軍』を凌ぐ圧倒的な力を持っているのである。(30年間も縮小し続ける現在の日本と、それ以外の外国との大きすぎる『有り得ない』断絶ですが、日本社会からストライキが一切無くなったことが大きく影響していることは明らか)

 

(おまけ)

一昔前はチンピラヤクザ(手配師)だけが行っていた中間搾取を小泉純一郎が合法化(2004年の派遣労働全面解禁)することで、我が日本国では近代社会の奴隷労働が復活する。(小泉内閣で経済財政担当相だった竹中平蔵のパソナのピンハネ率は派遣労働解禁前のヤクザとほぼ同じ30%だと言われている)

  


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17 コメント

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経済 (ちくわ)
2019-12-10 22:11:33
十億人の超巨大市場を目前にしながら
経済成長できないなんて・・・
大失策でしょう
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キューポラのある街 (セコイアの娘)
2019-12-11 05:16:41
映画「キューポラのある街」を初めて観ました。
吉永小百合(なんですか、この清楚なかわいさは!)のひたむきさ、けなげさと共に、弟の生命力あふれる顔つき(面構えと言ったほうがしっくりくる)に、この頃の日本のもっていた逞しさをみました。
今の日本と比べれば、圧倒的に貧しかった時代。でも、空調がきいた快適なマンションに塾から帰宅する今の子供たちとどちらが健康だろうか、どちらが幸せだろうかと思いました。
貧しいけれど、周りの皆も貧しい、そして努力をすれば、将来きっと報われると信じられた時代。苦しいけれど、明るい将来が待っていると皆が思えた時代。
一時の郷愁の後、思う。日本は、どこかの三叉路で、誤った道に進んでしまったのではないかと。
人口が減少し、高齢化が進む日本のGPDが減少するのは必然だと思う。より問題なのは、GDPの総額ではなく、その配分なのではないでしょうか。賃金が低下したら、物価が低下するのはあたりまえです。
労働の意味も変わってしまった。キューポラのある街の鋳物工場で働く頑固オヤジには誇りがあった。今、アマゾンの配送センターで働くパートタイマーにとって、労働とはタイムカードにおされる時間が全て。



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中国 ()
2019-12-11 08:16:02
中進国を脱しつつあるが一党支配はそのまま
インドやアフリカ諸国に満たない政治的後進国
これから社会の成熟化、政治的混乱・少数民族の反乱により経済成長のスピードは鈍化していくだろう
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Unknown (ローレライ)
2019-12-13 03:31:37
中曽根元首相以来難破した日本、次の竹下内閣のプラザ合意と消費税導入で
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一度も中国が崩壊するなどと言ったことはないと嘯く中国崩壊論者 (和泉)
2019-12-14 09:39:05
秦さんはムスリムへのレイシズムを合法化するインドの現実を知らないのでしょうか?

秦さんの接するメディアではインドのムスリムへの迫害にレイシスト政治家安倍晋三ですら逃げ出す現実を知らないのでしょうか?

社会の成熟と政治的混乱を同列に並べるのは日本人の知的水準の低下を示すものでしょうか?

政治的混乱と少数民族の反乱で経済成長のスピードが鈍化するとしか言えないのが中国を妬み憎む人々の自信の無さなのでしょうか。
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左派系インテリの責任 (斉藤)
2019-12-14 10:30:12
上野千鶴子「外食せずに家で鍋をつついて、100円レンタルのDVDを見て、ユニクロを着ていれば、十分に生きて行けるし、幸せでしょう?」 

https://woman-type.jp/wt/feature/171


マクロ経済学の基本的な知識もない裕福なインテリの粗雑な評論。
ケインズ政策を大胆に発揮すれば失われた30年はなかったはずだ。
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大衆の無知と羞恥心 (和泉)
2019-12-14 19:34:35
消費増税の受益者である財界富裕層の責任を追及しないのが大衆心理というものでしょうか?

https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201912/CK2019121202000119.html
法人減税 巨大企業に恩恵集中 安倍政権で急増・優遇措置 追加へ

また、中央大の富岡幸雄名誉教授が国税庁の調査(一七年三月期)を基に試算したところ、企業の利益に対して納めた法人税の割合を示す「負担率」は、資本金五億円以下の企業が27%だったが、資本金百億円超の企業は16%にとどまった。本来の法人実効税率の29・97%より大幅に低く、富岡氏は「大企業は租税特別措置で優遇され利益に見合った税負担をしていない」と指摘する。

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左派系インテリの責任その2 (斉藤)
2019-12-16 22:33:45
上野千鶴子 「年収300万円の男女が結婚すれば、世帯年収は600万円になります。今の平均世帯年収の400万円台を軽く超えますし、子どもに高等教育を受けさせるにも十分な額です。」

https://woman-type.jp/wt/feature/171

安い公営住宅か親と同居しても子供二人を大学まで卒業させるだけでやっとだろう。もちろん生活の余裕などは望めない。
こういう発言をする人間には怒りしか感じない。



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責任転嫁繰り返す、極右ファシズム (和泉)
2019-12-21 13:07:10
消費増税と法人減税を行ったのは自民党であり、それを支えたのは経団連はじめとする財界です。斎藤さんは責任という言葉の意味を知り、怒りの矛先向ける相手を間違う自分の右翼権威主義を恥じるべきでしょう。
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レッテル貼りと藁人形論法 (斉藤)
2019-12-21 19:09:41
消費税増税不況が現実化しつつある現在ですら立憲民主党・国民民主党など旧民主党勢力は消費税廃止はもちろん、大幅な消費税減税政策を打ち出してはいない。
そして旧民主党や共産党はバブル崩壊に対処するための公共事業に対して執拗に攻撃を繰り返していた。
税制が貧富の差を拡大させたことは確かだが、経済不況の主な要因はバブル崩壊後の中途半端な財政政策など需要不足対策の不備だった判断している。

自身は裕福な上野千鶴子や内田樹らリベラル左派の主張は、国民に経済成長の不可能性や低水準での経済生活での満足感を刷り込み、財界や新自由主義者の政策や理論を側面支援したことは間違いない。

自分の気に入らない主張に対して勝手にレッテル貼りや藁人形論法をする人間は、未来に対する前向きなビジョンやそのための具体的な方法を提示しないことの重大な欠陥だけではなく、鼻持ちならない上野らリベラル左派や財界、新自由主義者と同じ精神構造を持っていると思う。

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