今宵、フィッツジェラルド劇場で [DVD]東宝このアイテムの詳細を見る |
『今宵、フィッツジェラルド劇場で』を観た。これは、実在の(今も続いている)フィッツジェラルド劇場のプレーリー・ホーム・コンパニオンという公開ラジオ番組の最終回を描いた映画である。ストーリーらしいストーリーがあるわけではなく、主人公らしい主人公がいるわけではなく、しいて言えばラジオ番組の登場者全員、あるいは劇場を含めた全員が主人公の映画である。事件らしい事件は起こらないが、天使のようなあるいは死神のような女性が現れ、どことなく通常の時空を超えたような不思議な時間が過ぎていく。プレーリー・ホーム・コンパニオンとして役目を全うしていく人、自分の役割を終え逝ってしまう人、新たに出てくる人など味のある人々が描かれる。また、次々と流れていく音楽も、アメリカのカントリーミュージックなのか非常に味のあるものばかり。主人公らしい主人公、ストーリーらしいストーリーがないのに本当に味のある、映画らしい映画になっていて、魔法を見るような気分である。地味だが、実に良い映画。これは良い!