哲学者か道化師 -A philosopher / A clown-

映画、小説、芸術、その他いろいろ

フランソワ・トリュフォー『アメリカの夜』

2011-05-17 | 映画
アメリカの夜 特別版 [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ

 地下鉄の階段を一人の青年が登ってくる。彼は人通りを渡って、一人の壮年の男に向かい合い、その頬を叩く……。それは、今まさに撮影されている映画の一シーンだった。

 そんな冒頭から始まるフランソワ・トリュフォーの『アメリカの夜』は、映画を撮影する人々の姿を描いた映画だった。実に、上映時間3時間20分。監督自身が、映画の監督役として出演したり、特殊撮影の裏側を描いたりと、映画撮影の裏側を実に映画的に見せているという、いかにも映画愛にあふれた映画らしい映画である。というのは、描かれている映画製作者同士のドラマが影に表に彼らの制作する映画に影響し、それが作品の二面として緊張感を与えている。それは、映画の表と裏、光と影というものでなく、カメラの奥での映画製作者たちの人間性が映画の映画らしさの裏打ちとなっているという感じに。
 思うに、映画が好きな人ほどうれしくなる映画だと思う。素敵な映画だ。

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