インザビルディング / In the Building

音楽(HIPHOP etc),小説(ミステリ etc),漫画,落語…
Who'z in da building?

SHANGRI-LA

2008-11-30 | 2F: 書庫
『シャングリ・ラ / 池上永一』

超話題作『テンペスト』の著者、池上さんの
前作、シャングリラ、文庫で読みました。

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加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物
アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかしそこに
生まれたのは、理想郷ではなかった!CO2を削減するために
世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を
生み出せるようになった。一方で、森林化により東京は
難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。
少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、
格差社会の打破のために立ち上がった!
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SFのぶっとび具合は、「銃夢」に匹敵する想像力、創造力。
くず鉄町が、森林になってるけど。

主人公・國子は、ばかでかいブーメランを使ったり
謎の声を聞いたり、超人的なキャラクタですが
それよりも、育ての母であり父である元ニューハーフパブの経営者
「モモコ」がすごいです!セリフのひとつひとつが輝いています。


こんだけ過剰な物語はひさしぶりに読みました。

無理矢理でもリアリティを作ろうとか科学的な根拠を
提示しようとかを求める方は
読んでると多少むかついてくるかもしれませんが
(そこが銃夢との決定的な違いかも)
とにかくエンタテイメント精神が素晴らしい!
つめこめるだけ想像力を詰め込んだ作品。


ラストは広げた風呂敷が果たして閉じられたのか疑問ですが、
読んだらとにかくおなかいっぱいになっちゃう作品。

March comes in like a lion #2

2008-11-30 | 2F: 書庫
『3月のライオン / 羽海野チカ』

桐山零くんという高校生プロ棋士と
その愉快な仲間たちおよび猫たちのお話、第二巻。

二階堂四段 a.k.a. 親友 a.k.a. ボドロの魅力全開の第二巻。
暑い!甘酸っぱい!青春だ!友情だ!もう漢惚れするね、二階堂!

作中にでてくる『将棋はじめて絵本』は、普通にすごい
わかりやすい。これほんとに作ったら売れるんでないすか。
そしたらきちゃうよ?将棋ブーム。
お金かかんないし、飽きないし、
今の世相にめっさ合ってるゲームやないすか。

とりあえず、読むとカレーライスが食べたくなったり
うな重が食べたくなったり、ストロベリシェイクが飲みたくなったり
詰将棋したくなったり、色々の効能がある良い漫画です。


where's my home?

2008-11-30 | 6F: 音楽室
『おうちはどこ? / 世武裕子』


ノイズマッカートニーのリーサルウェポン、せぶひろこさんのALが
最近のヘビロテです。毎日聴いてます。タワレコ限定発売らしいです。
リーサルウェポンだけど、攻撃的な音楽ではないので、
怖がらずに聴くといいと思う。

音は、バイオリン・ビオラ・チェロそして世武さんのピアノ。
弦楽四重奏というのでしたでしょうか。

映画音楽が好きなひとはどんぴしゃだと思います。
あと、くるりの『ワルツを踊れ』が大好きなひとも
気に入ると思います。

帯には、作曲家ガブリエル=ヤレド氏のべた褒めコメント付。
聴いたら、べた褒めしている気持ちがよくわかりました。


日常を過ごしたり、近所を歩いているのを音楽にしている感じ。

僕は歩いている速度と合うHIPHOPのビートが大好きなんですが、
それよりも世武さんの音楽のほうがしっくりくる速度と密度でした。


必聴。100年聴ける。次作品も楽しみ。





NEW WORLD

2008-11-15 | 2F: 書庫
『新世界 / 柳 広司』

”ジョーカーゲーム”が大好評の柳さん過去作。

舞台は、ロスアラモス。
時代は、第二次世界大戦終戦直後、1945年8月。
マンハッタン計画の責任者、ロバート=オッペンハイマーが書いた記録
として、柳氏が”翻訳”したという体裁で書かれています。

ナチスドイツが原子爆弾を開発しているのではないかという
恐れを発端にして、始まったマンハッタン計画。
1945年3月、ナチスが原子爆弾を開発していないと判明してからも
計画は止まらずに、1945年8月の悲劇(アメリカからすると”英雄的行為”)
に至ったことから、オッペンハイマーは苦悩し自問する。

そして、起きるひとつの殺人事件。
大量殺戮を生み出した町で、たった一人の死を追求する。



有栖川有栖氏の解説が秀逸ですが、引用している笠井潔氏の言葉、
 > 本格ミステリの根底には大量死によって失われた
 > <死者の固有性>や<死の尊厳性>を回復
 > しようとする精神がある
というものにとても感銘を受けました。私がまとめられなかった
言葉がうまくまとまっています!


原爆に関するストーリーにあまり使うのは不謹慎な表現かも
しれないけれども、この作品はとてつもなく”面白い”です。

気をしっかり持って、読むべき作品。

BLAST

2008-11-15 | 6F: 音楽室
『BLAST / キリコ』

評価されない音楽家、キリコさんの2nd AL。

1stは試聴しかしてなくて、あまり
僕の好みではなかったので、2ndも買う気はなかったんですが
RUMIさんが参加しているということで
これは!と思って購入。買って良かった…

RUMIさんとの”鏡に映る現実”ひとつで満足満足。
RUMIさんバースはほんとかっこいい!


リリックは好き嫌いでてくるとは思いますが
”ブラスト廃刊”は特に面白いです。
BLASTとHP/JPにはたくさん情報もらってお世話になりましたなぁ。

でも、このアルバムで語っていることのうちいくつかは
L-VOKALさん"STEP UP"のKREさんバースとかぶっている
というか、あれで充分というか…


万人にお勧めではないですが、同世代でHIPHOPを愛するひとは
聴いてみると良いかも。
ちなみに帯コメントは、古川さん。危うく爆笑するとこでした。
”磯部涼 認めろ”でも爆笑必至。

Boat of Selinunteus

2008-11-09 | 2F: 書庫
『セリヌンティウスの舟 / 石持浅海』

本格の名手、石持さんの光文社文庫 たしか第4弾。
表紙のデザインが相変わらずいい感じ。
ちなみに石持さんは九大出身。へー。

あらすじ…
ダイビングツアー中の海難事故体験を共有することで
強い絆で結ばれた六人の仲間。

仲間のひとりが青酸カリを呷って、自殺した。

その死を弔い、遺志を知るために
その自殺の不自然さ、隠された謎を解こうと推理を始める。


本格というと何故か事件が起きて、何故か探偵がいて
何故か論理だけで事件を解決しようとする…という
構造が多いのですが、この作品は、なぜ物語が本格になるのか
を丁寧に創っているため、ミステリ嫌いのひとにも勧められます。

また、月の扉・水の迷宮と同じく、こころに響くラストが
待っており、読後の満足感が半端ないです。
本格でここまで、美しいという形容詞が似合う作品はないですな。


ひとりの人間が死んだ事実に対して、
何故どうやってその死に至ったかを
遺された人間が真剣に取り組むという本格ミステリは
実はひとの生死をとても尊く描こうとしているのではないかな
だから良質なミステリを読むのが好きなのではないかな、と
この作品を読んで、そう思いました。うーんまとまらないなぁ。





Time for some Action

2008-11-02 | 1F: 総合受付
引っ越してから、1週間。

東京の暮らしにも少しずつ慣れてきました。

慣れない土地で、なんとなく、もの寂しいので
TVをつけっぱなしにするようになりました。

すっかり世相に疎くなっていましたが、
日本もアメリカも資本主義経済・市場原理も岐路ですね。

解散総選挙しても投票するところがないので
全政党を解体して再構築する、という項目に1票。
政党政治自体は、ありだと思うんで。

壊せばいいのに。いちから作ればいいのに。


アメリカはオバマ新大統領誕生まで、秒読み段階ですね。
彼のアクションが、そしていろいろな方面のリアクションが
私のつたない頭では予測できなくて楽しみです。