『トーキョー・プリズン / 柳広司』
"ジョーカーゲーム"で広く読者を獲得した柳広司氏の
第二次世界大戦周辺を舞台にした作品、第2作目 文庫化。
1作目 "新世界"は、未だに心に残っているほどの素晴らしい作品でしたが
エンタテイメントとしては、この"トーキョー・プリズン"のほうが洗練されていて
良質かなと思いました。ジョーカーゲームは未読ですが、さらに面白いそうで
そら恐ろしいです。
*************************************************************************
戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵の
フェアフィールドは、調査の交換条件として、囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を
命じられる。捕虜虐殺の容疑で拘留されている貴島は、恐ろしいほど頭脳明晰な
男だが、戦争中の記憶は完全に消失していた。フェアフィールドは貴島の相棒役を
務めながら、プリズン内で発生した不可解な服毒死事件の謎を追ってゆく。
*************************************************************************
(表紙あらすじより抜粋)
1980年代生まれの自分には、この作品に描かれている"戦争"が
実態なのか、よく取材されたものなのかはわかりかねますが
(先ず巣鴨拘置所が池袋にあったことさえ知らなかったので…)
極限の精神状態を通過した人間性、当時の国民性・敗戦感情などが
登場人物の会話に織り込まれて書かれています。
また"新世界"で中心に据えられていた"原爆"は、この作品でも
大きく扱われており、これはしっかり翻訳して
日本語以外の言語圏のひとにも読んで欲しいなぁと思いました。
ミステリとしては、
キジマという囚人がホームズ、私立探偵であるフェアフィールドがワトスン。
キジマは安楽椅子探偵(安楽なところにはいないが)として
写真やフェアフィールドの報告などで、プリズン内の事件の謎を解いていく。
一方、フェアフィールド自身がホームズとなり、キジマの親友イツオをワトスンに据え
キジマの失われた記憶を調査していく、という二重構造。
こちらの謎のほうが深く、謎解きが面白いです。
私の好きなミステリ作家3名、
柳広司氏、石持浅海氏、米澤穂信氏は 作品もコンスタントに発表するし
作品の工夫は多様なのに、一本筋が通っているというか
テーマ・思想に一貫性があるところが好きです。
"ジョーカーゲーム"で広く読者を獲得した柳広司氏の
第二次世界大戦周辺を舞台にした作品、第2作目 文庫化。
1作目 "新世界"は、未だに心に残っているほどの素晴らしい作品でしたが
エンタテイメントとしては、この"トーキョー・プリズン"のほうが洗練されていて
良質かなと思いました。ジョーカーゲームは未読ですが、さらに面白いそうで
そら恐ろしいです。
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戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵の
フェアフィールドは、調査の交換条件として、囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を
命じられる。捕虜虐殺の容疑で拘留されている貴島は、恐ろしいほど頭脳明晰な
男だが、戦争中の記憶は完全に消失していた。フェアフィールドは貴島の相棒役を
務めながら、プリズン内で発生した不可解な服毒死事件の謎を追ってゆく。
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(表紙あらすじより抜粋)
1980年代生まれの自分には、この作品に描かれている"戦争"が
実態なのか、よく取材されたものなのかはわかりかねますが
(先ず巣鴨拘置所が池袋にあったことさえ知らなかったので…)
極限の精神状態を通過した人間性、当時の国民性・敗戦感情などが
登場人物の会話に織り込まれて書かれています。
また"新世界"で中心に据えられていた"原爆"は、この作品でも
大きく扱われており、これはしっかり翻訳して
日本語以外の言語圏のひとにも読んで欲しいなぁと思いました。
ミステリとしては、
キジマという囚人がホームズ、私立探偵であるフェアフィールドがワトスン。
キジマは安楽椅子探偵(安楽なところにはいないが)として
写真やフェアフィールドの報告などで、プリズン内の事件の謎を解いていく。
一方、フェアフィールド自身がホームズとなり、キジマの親友イツオをワトスンに据え
キジマの失われた記憶を調査していく、という二重構造。
こちらの謎のほうが深く、謎解きが面白いです。
私の好きなミステリ作家3名、
柳広司氏、石持浅海氏、米澤穂信氏は 作品もコンスタントに発表するし
作品の工夫は多様なのに、一本筋が通っているというか
テーマ・思想に一貫性があるところが好きです。