文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

財源もそっちのけで思いつきを言う。政策にも何もなっていない。脳味噌が雑なんだよ。

2021年10月26日 17時26分42秒 | 全般

以下は前章の続きである。
政治は足し算じゃない
久保 
小泉純一郎は2001年の総裁選で、党員の圧倒的な支持を集めたことで「選挙の顔」としての期待が高まり、結果的に議員の投票でも地滑り的に大勝した。
河野は小泉と同じ形を実践しようとしたわけです。 
それがわかったから、進次郎も舞い上がって河野にくっついたんじゃないですかね。
石破なんかと一緒になって、「これは古い自民党との戦いだ」と、小泉純一郎の「自民党をぶっ壊す」みたいなことを言い出した。
安倍は怒って、「純一郎さんはその古い自民党のおかげで総裁になったのを忘れたのか」と言ったそうですがね。
それに堤さんがおっしゃったように、政治は足し算だけじゃ割り切れない。
河野はいいけど石破は嫌、石破はいいけど進次郎は駄目……といった人がたくさんいて、負の相乗効果も考えないといけなかった。
また、河野と小泉純一郎とを比較すると、小泉は完全なポピュリスト。
中曽根の「国鉄民営化」「規制改革」という非常に響きのいいフレーズをそのまま引用して、「郵政民営化」を叫んだ。
誰もが、なんで郵政を民営化する必要があるんだと思いつつも、そのフレーズに流されてしまったのが小泉劇場です。
河野の場合、たとえば「年金改故に」として、基礎年金の財源を全額消費税とする「最低保障年金」を掲げたけれど、大衆は「年金」だ「消費税」だと聞いただけで、拒否反応を示す。 
政治家ならば、時に大衆が嫌がること、嫌うことを言わなければいけない時がある。
そういう態度ならば立派ですが、河野の場合は戦略ミスとしか言いようがないでしょう。
それが証拠に、他候補に批判されるとすぐに自説を引っ込めた。
麻生が「(総裁選は)学級委員の選挙とは違う。権力闘争だ。負ければ冷や飯を食うことになる」と派閥の連中に活を入れていたそうだけれど、河野にはその意識さえなかったんだな。甘さというか、若さというか。
ギリギリ生き残った太郎
堤 
「突破力の河野太郎」と「聞く力の岸田文雄」の戦いだとメディアは煽っていたけど、河野が何を突破したことがある?思い当たらないね。
久保 
自分で言っているだけじゃないの(笑)。
先ほどの年金改革みたいに、自分はいかにも正論を吐いて現状を突破しようとしているんだ、と誤解している。
自分が言えば役人でも何でも動く、現状を打破できるんだという意識が先に立っているから、変に気張っちゃって、小泉流のポピュリストにさえなりきれずに終わってしまった。
堤 
基礎年金の財源を消費税で賄うという河野の提案は、「ならば消費税を何%に引き上げるのか」と質問されて、河野はロクに答えられない。
財源もそっちのけで思いつきを言う。政策にも何もなっていない。脳味噌が雑なんだよ。
久保 
一方の、岸田の「聞く力」とか「車座」とかいうのも困ってしまいますよ。
非常事態に臨んだリーダーは自ら問題提起をし、みんなを引っ張っていくカリスマ性がなければいけない。
そして、いまの日本は非常事態なのです。問題点はすでに出尽くしている。
首相になってから、ヨッコラショと車座になってじっくりみんなの話を聞こうなんて、ずいぶん悠長なリーダーが出てきたものだなあ(笑)。
編集部 
河野氏はこれで終わりでしょうか?
堤 
総裁選に二度出てこの結果だからねえ。それに、議員から嫌われているのは致命的だよ。
編集部 
『週刊文春』がパワハラをスクープして、河野が官僚を恫喝している音声を出しましたが、ああいうのも大きく影響するでしょうね。
堤 
先月号で言ったように、祖父も親父も嫌われている。
父の洋平に至っては、河野談話や小選挙区比例代表並立制という負の遺産がある。
いくら太郎が「父親と自分は違う」と言っても、それでは済まない。
政治家として親父の不始末をどう考えているのか、尻拭いをする気があるのか。
今回の記者会見や討論会で訊いてほしかった。なのに、どの記者も質問しない。
この稿続く。

 


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