文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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NHKさん、大嘘はダメです

2020年10月20日 22時39分02秒 | 全般
今日の産経新聞からである。
NHKさん、大嘘はダメです
論説委員長乾正人
実在の人物をモデルに、映画やドラマをつくるのは、実に難しい。 
史実通りにつくれば、物語が複雑になりすぎて面白みがなくなり、事実関係をはしょりすぎれば、何がなんだか分からなくなる。 
かといって、フィクションを錦の御旗として、史実にはないこと(つまり、捏造された物語)をドラマの中核に据えれば、結果として事情を知らない大多数の視聴者を騙し、間違った歴史観を植え付けることになる。 
作曲家の古関裕而をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説「エール」は、残念ながら後者に属する。
NHKは、戦時中に古関が作曲した「露営の歌」や「暁に祈る」、「若鷲の歌」といった軍歌をなぜかタブー視し、長らく放送しなかった。
「エール」では、この禁を破って、今ではあまり歌われなくなった「ビルマ派遣軍の歌」まで放送した。
その姿勢は評価したいが、インパール作戦の最前線で再会した小学校時代の恩師が、銃撃戦で戦死する場面をドラマの山場に据えたのは、まったくもっていただけない。
古関か昭和19年に慰問のため作家の火野葦平らとビルマ(現ミャンマー)の首都ラングーンを訪問したのは事実だが、戦況悪化のため前線には行っていない。 
第一、恩師のモデルである遠藤喜美治先生は、インパール作戦で戦死していないどころか、戦後も教育現場の第一線に立たれ、昭和46年に80歳の天寿を全うしている。 
では、なぜNHKはこんな大墟をついたのか。  
「軍歌の覇王」と称された古関は、終戦後まもなくから活動を再開し、「鐘の鵑る丘」や「長崎の鐘」、「イヨマンテの夜」など戦時中と変わらぬ勢いでヒット曲を連発した。 
古関は自伝「鐘よ鳴り響け」で、一連の軍歌について「国民のために少しでも役に立てたことは良かったと思う」と書いている。
ドラマ制作者は、「戦争協カヘの深い反省が、戦後の活躍につながった」という「物語」を紡ぎたかったために恩師の戦死という大嘘をついたのだろうが、歴史歪曲が過ぎる。
戦時中と同じく、また墟を垂れ流すのですか、NHKさん。


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