文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日本の政治家で中国に媚びたやつは、角栄から始まり、ほとんど失脚している。岸田ら三羽ガラスも気を付けたほうがいい。

2022年02月01日 14時34分48秒 | 全般

以下は、現在発売中の月刊誌Hanadaに掲載されている、堤堯氏と久保紘之氏の連載対談からである。
やっと「文明のターンテーブル」発信作業を手伝って頂けるバイト生が見つかった事は既述の通り。
奇しくも、堤氏は私の母校の先輩であり、久保氏はバイト生の先輩である。
見出し以外の文中強調は私。
問題は公明党 中国の代理人だよ
親中三羽ガラスの”活躍”
久保
年末年始で全然歩かなかったから、すっかり足腰が弱くなって。ここに来るのもやっとでした(笑)。

バイデンが歩く映像を見ると、必要以上に膝を上げて歩く。
女房が言うには、あれは足腰の衰えを補うためにそうしている、と。
″バイデン歩き”とウチじゃ呼んでいる。
マイケル・ジャクソンのムーン・ウォークならぬバイデン・ウォークだな(笑)。
魚は頭から腐るが、人間は足から腐る。俺も歩かないから、だいぶ腐り始めている(笑)。
編集部
北京冬季オリンピック開催が近づいていますが、日本政府は結局、閣僚や政府高官ら政府関係者を派遣しないことにしました。
ただ、東京五輪パラリンピック組織委員会会長の橋本聖子、日本オリンピック委員会会長の山下泰裕、日本パラリンピック委員会会長の森和之は派遣するそうです。
久保
決定は遅いし、橋本聖子だって一応政治家だから、完全な政治的ボイコットとは言えない。
何だか小心翼翼とした四等国並みの腰が引けた判断だなあ。

岸田は結局、政府関係者を派遣しないと決めたけど、そこに至るまでの躊躇逡巡(ちゅうちょしゅんじゅん)・右顧左眄(うこさべん)は見苦しい限りだったね。
イギリスのジョンソン、オーストラリアのモリソン、カナダのトルドーがさっさと外交的ボイコットを表明した。
さらに、リトアニアとニュージーランドが中国の人権侵害を批判する輪に加わった。
なのに岸田は、「諸般の事情を総合的に考慮し、国益の観点から適切な時期に判断したい」などとグズグズする。
事は政治的反射神経の問題だよ。
安倍晋三なら即刻、ボイコットを表明したはずだ。
事実、安倍はBS日テレ番組で「時を稼いで何の利益(国益)があるのか」と岸田の優柔不断を批判した。
業を煮やしたのか、12月14日、3人の自民党議員が官邸を訪れ、外交的ボイコットを求める共同声明を岸田に手渡した。
古屋圭司(日本ウイグル議連会長)、下村博文(チベット議連会長)、高市早苗(南モンゴル議連会長)の3人だ。
結局、岸田は安倍のもとを訪れ、安倍の説得で「政府関係者は派遣しない」と決めた。つまりは外交的ボイコットですかと記者に問われて、岸田は「そうした表現は使わない」。
アメリカと中国の双方の顔色を窺(うかが)う遁辞(とんじ)は、双方の侮蔑を招くだけで、何のメリットもない。
もう一つ、習近平政権による新疆ウイグル自治区のジェノサイドなど人権侵害を非難する国会決議の採択が、新幹事長・茂木敏充によってまたもや潰された。
この対中非難決議は昨年6月、前幹事長・二階俊博と林幹雄(幹事長代理)によって潰されたけど、今回は茂木敏充が「内容はいいけど、タイミングの問題だ」として潰した。
タイミング?欧米が一斉に非難の声を発しているいまこそ、声を合わせる一番のタイミングじやないか。
日中友好議連会長を辞任して外相に就任した林芳正は、人も知る親中派だ。
先般、中国の外相・王毅に「訪中の招待」を受け、喜色満面でこれをアナウンスした。日本の同盟国アメリカのカウンターパートの国務長官ブリンケンがこれをどう見る?
順序が逆だと不快に思うわ。林は配慮に欠けるんだよ。
岸田政権の対中スタンスが、この一連の対応でハッキリ示された。
安倍の遺産で一番大きいのは、自由で開かれたインド太平洋構想だ。
そこからQUADやAUKUSなどの対中包囲網に発展した。
折角の安倍の遺産を、岸田政権はなし崩しにしている。
誰かが言っていたな、ニーハオ(こんにちは)の林芳正、シェイシェイ(有難う)の茂木敏充、ワンスイ(万歳)の岸田文雄とね。
親中三羽ガラスが雁首(がんくび)揃えている図を皮肉ってる。
もともと岸田が所属している宏池会は親中派揃いで、その最たるものが宮澤喜一だ。
中国が天安門事件で制裁を受けて世界から孤立したとき、先頭切って制裁を解いたのは日本で、おまけに宮澤内閣は天皇訪中までやって中国の国際復帰を助けた。
そのお返しに中国は何をやったか。
徹底した反日教育と尖閣列島の領有権の主張だよ。
つくづく宮澤喜一はバカの極みだったねえ。
その宏池会のDNAを岸田や林芳正も色濃く受け継いでいると思わざるを得ない。
天皇ご訪中計画の裏側
久保
1992年10月の明仁(あきひと)天皇の「ご訪中」計画の話は実は海部の時から始まっていて、単に宮澤一人の問題ではないんですよ。
言い出しっぺは外相の渡辺美智雄と言われていました。
当時の外務省の終始積極的な姿勢も、実現させた宮澤も、言ってみれば敷かれたレールの上をただひた走っただけ。
では、その彼らを走らせた人物とは誰か。
前年末から中国の郢小平の息子や娘、側近などと称する奴らが再三出入りしているという噂のあった竹下登や金丸信あたりがいろいろ策をめぐらせて歩いていた、という説がどうやら有力なようです。
竹下は首相時代の訪中で、8100億円の第3次円借款の大盤振る舞いをやったけど、それが天安門事件で凍結されると、今度は海部に解除するように働きかけて実現させています。
そのとき取引手段として使ったのが、第二次海部改造内閣人事への協力だったと言われた。
この手段は宮澤政権の時も何度も使われていますがね。
要するに天皇ご訪中は、ニクソン・キッシンジヤーの電撃的な米中接近で置いてきぼりを喰った日本がそれに懲りて、鄭小平の「改革開放」による巨大な中国市場の参入にあたっては、欧米との権益争いのバスに乗り遅れまいと考えだした自民党と経済界の”切り札”だったのです。
欧米は建前と本音の使い分けが巧みだから表向きは天安門事件を非難するけど、一方で中国への経済的参入に抜かりはない。
その点、日本は今回の北京冬季オリンピックのボイコット問題に至るまでこの使い分けができず、国際世論の批判を一方的に受けているわけです。

1970年代から、朝日新聞が日中友好の大号令を出して、日本中が日中国交回復だと沸いた。
それに乗ったのが田中角栄で、台湾を大事にしなきゃいかんという岸信介・福田赳夫ら、のちの清和会を制して政権を取った。
朝日が日中友好の大号令を出し、それに日中友好議員が乗ったころ、俺は文春の記者で、彼らをこっぴどく批判する記事を書いて、朝日出身の議員・田川誠一や古井喜実などに訴えられて裁判沙汰になった。
その裁判は結局うやむやで終わったんだけど、日本の政治家で中国に媚びたやつは、角栄から始まり、ほとんど失脚している。
岸田ら三羽ガラスも気を付けたほうがいい。
この稿続く。

つつみぎょう
1961年、東京大学法学部卒。同年、文藝春秋入社。『文藝春秋』編集長、第一編集局長、出版総局長などを歴任。常務を経て退社。著書に「昭和の三傑ー憲法九条は「救国のトリック」だった』等がある。小誌連載「ある編集者のオデッセイ」でおなじみ。
くぼこうし
1940年生まれ。中央大学卒業後、産経新聞に入社。政治部、論説・編集特別委員を務める。同紙コラム『平成の考現学』を連載。2004年に退社。著書に『田中角栄とその弟子たち』(文藝春秋)、『天下不穏』(扶桑社)。


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