文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

すぐばれる嘘を書いた理由は一つ。朝日の記者どもは取材しない。当てずっぽうで書くからだ。

2022年10月13日 22時34分36秒 | 全般

以下は本日発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
変声人語
ポルポト派がカンボジアの首都プノンペンを制圧したとき、朝日新聞の和田俊記者は「アジア的な優しさが溢れていた」から、きっと明るい社会主義国家ができるだろうと書いた。
その翌日から170万人の大虐殺が始まった。
すぐばれる嘘を書いた理由は一つ。朝日の記者どもは取材しない。当てずっぽうで書くからだ。
その大虐殺を裁く特別法廷が先日、最後の大物キュー・サムファンに終身刑を言い渡して閉廷した。
そしたら天声人語がよせばいいのに、それをネタに一文を書いた。
キュー・サムファンが虐殺を始める前、周恩来から「小さくてもいい。きらりと光る共産国家になれ」と、武村正義みたいなことを言われたとか。
「でも忠告は無視された」と天声人語は続ける。
以下、ポト派は「都市人間を農村に下放し、強制労働させ、知識人を殺し、ついには国民の4人にI人を殺すキリングフィールドを現出した」と、まあ十年一日というか、昔から言われてきた話を並べる。
余りにも新鮮味がないと本人も思ったか「スパイをでっち上げ、処刑した背景には困難を誰かのせいにする統治の手法が窺える」と鹿爪らしく結ぶ。
そんなものは毛筋ほども窺えない。
執筆者は最後の法廷の訴因すら読んでいないらしい。
そこには「チャム族などの虐殺を問う」という件がある。
それはポト派大虐殺が「極端な共産主義思想」(朝日の社説)などではないことを十分に仄めかしているが、天声人語の筆者にはそれが分からない。
ここで言うチャム族とはべトナムに滅ぼされたチャンパ国の民のこと。
今はベトナム南部からカンボジアにかけて分布する亡国の民で、彼らが織る絹絣(きぬかすり)は世界的に知られる。
ポト派はクメール・ルージュを名乗るが、その主張は共産主義より前に、民族自決がくる。
まずよそ者のチャム族や、仏領時代に入り込んで彼らの国の政治経済を壟断するベトナム系住民を絶滅し、クメール人の国を取り戻すことにあった。
天声人語の執筆者は知らないが、キュー・周恩来会談と同じ時期にもっと大物のヘン・サムリンが毛沢東に会っていた。
会見の主題は淘汰すべき「よそ者」の線引きだった。
一口によそ者と言ってもベトナム人もいれば華僑系もいる。
現にヘン・サムリン自身もフン・センも父親は華僑だった。
それに純粋華僑も12万人はいた。彼らをどうするか。
毛の答えは「構わないからみんなやっちまえ」だった。
結果、外人はみな粛清の対象とされた。最初に淘汰されたのはメコン川に沿う一帯のベトナム系農民とチャム族たちで、その日からメコン川は死体で埋まった。 
次に都会に住むベトナム系がやられ、華僑もやられた。
彼らの処刑場チュンエクは皮肉にも華僑の墓地だったところだ。 
カンボジア外交官と結婚した内藤泰子も右に同じ。
下放され、夫と子はみな死亡。彼女もタイ国境の村で救出されるまで丸4年間の地獄の辛酸を嘗めた。
ポト派は民族自決を掲げ、カンボジアを蚕食するベトナム人を標的にして大量殺戮をやった。
後に中越紛争を仕掛けるくらいベトナムを憎む支那がそれで早くからポト派を支援した。
自身も華僑系ゆえに粛清を察知したフン・センがベトナムに寝返り、ポト派は潰された。
入り乱れる民族間の憎悪。
それを抜きにポト派は語れないのに、この天声人語には民族のミの字もない。
おまけに文章は超へたくそとくる。 
先日の天声人語は安倍さんの国葬に「10億円以上」かかるとか埒もない文句を並べていた。
朝日の慰安婦の嘘で日本は韓国にもう100億円を超す国費を使っている。
それを弁償してから言え。
そしたらこの秋から執筆陣がやっと変わると社告があった。
嘘と不勉強と傲慢はもうやめてほしい。

 

 



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