文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

一度やろうと決めたら、とことんまでやり遂げる性分なもので。

2021年10月27日 14時44分36秒 | 全般

昨日発売された月刊誌WiLLは当然ながら毎日配達されている全国紙とは発行部数は段違いに少ない。
だが、それはノーベル賞を受賞するような人たちは頻繁にマスメディアに登場したりする人達では全くない、言わば、ごく少数派であるのと同様なのである。
つまり本当の研究を為している人達、本物の知性は、ごく少数の中にいるのである。

昨日発売された月刊誌WiLLに掲載されている安倍晋三元内閣総理大臣と櫻井よしこさんの対談特集は、10月31日に投票を控えている日本国民全員のみならず世界中の人たちが必読。
日本国民は、投票する前に、この対談特集と、次章にて紹介する高山正之の対談特集を読まなければならない。
本欄の読者の方々は、出来るだけ多くの周囲の人たちに、伝えて下さい。

高市早苗総裁にスイッチが入った瞬間
自民党が本来の姿を取り戻すために堂々と理念を訴える候補が必要だった
保守政党としての覚悟
櫻井 
自民党総裁選は事実上、日本国の総理大臣を決める戦いですが、今回ほど注目を集めたのも珍しい。
最終的に岸田文雄さんの勝利で幕を閉じましたが、主役は高市早苗さんでした。
そして、安倍総理の大車輪の働きなくして高市さんの躍進もなかった。
高市さんを支持しようと決めたのは、いつ頃だったのでしょうか
安倍 
昨年、菅さんは議員票、地方票ともに圧倒的な支持を得て総裁に選ばれました。
首相就任後はコロナ禍という厳しい状況において、世論の逆風に晒されながらも的確な政策を打ち続けた。
櫻井 
日本のワクチン接種率は世界トップレベルにまで上昇し、コロナ感染者数は日に日に減少しています。
安倍 
菅さんが再選を目指すのであれば、総理を応援しなければならないと決めていた。
高市さんから最初に相談されたとき、「支持できない」とお伝えしました。
櫻井 
ところが菅さんは、コロナ対策に注力するとして不出馬を表明します。
安倍 
菅さんの不出馬を受けて、自民党の現状分析と今後の方向性について思索をめぐらせました。
菅政権下で行われた地方選や補欠選で、自民党は苦しい戦いを強いられた。
原因は何かと考えたとき、まず浮かんだのが保守層の離反。
自民党のリベラル化に疑問を抱く保守派が増えているということです。
櫻井 
菅政権の政策を個別具体的に見ると、国益に資するものが多い。
ワクチン接種はもとより、外交でも安倍路線を継承してきました。
菅さんが実務能力に優れた政治家であることは誰もが認めるところです。
しかし、他方で菅政権からは保守色が感じられません。
大きく分けて、二つの理由があったのではないでしょうか。
第一に、河野太郎さんや小泉進次郎さんをはじめ、菅さんに近い議員がリベラルであること。
第二に、菅政権下で夫婦別姓やLGBTなどリベラル政策をめぐって党内が二分したことです。
安倍 
最終的にたどり着いた結論は、総裁選は自民党の本来の姿、保守政党としての姿を国民に示す必要があるというものです。
そして、明確な国家観・歴史観を持つ高市さんを支持することに決めました。
スイッチが人った瞬間
櫻井 
当初、高市さんは「泡沫候補」扱いされていました。
安倍 
安倍政権において、彼女は総務大臣、政調会長という要職を歴任した。
しかし、他候補と比べて認知度は低く、二十人の推薦人を集めるのも一苦労という状況だったことは事実です。
それでも、自民党が本来の姿を取り戻すために、彼女が総裁選で堂々と理念を訴えることが必要だと確信していました。
そういう経緯で、彼女の推薦大集めを手伝うことにしたのです。
櫻井 
安倍総理が支持を表明して以降、高市さんは無視できない存在になり、状況はガラリと変わりました。
安倍 
高市さんが獲得できる国会議員票は、せいぜい四十票が関の山だと目されていました。
「安倍は判断を誤った」などと書くメディアもありましたが、それで私のスイッチが入ってしまった(笑)。
推薦人集めに協力してお役御免と思っていましたが、「ここまできたら高市総裁を誕生させてやろうじゃないか」と情熱が湧いてきたのです(笑)。
櫻井 
逆境でこそ燃えるタイプなのですね(笑)。
安倍 
一度やろうと決めたら、とことんまでやり遂げる性分なもので。
結果的に、「夢のまた夢」といわれた百票を超える、百十四票もの議員票を得ることができました。
櫻井 
保守派は高市さんの勝利を願うと同時に、河野太郎さんだけは絶対に勝たせてはならないと考えていました。
選挙戦の終盤には、岸田さんと高市さんを支持する議員が手を組んで河野さんに対抗する「二・三位連合」が本当に機能するのかが焦点となりました。
安倍 
高市さんが二位の場合、第一回投票で岸田さんに入れた議員が河野さんに投票するのではないかという見方もありました。
しかし、双務的でなければ「連合」とは呼べません。その点は、岸田陣営の甘利明さんにも強く申し上げました。
櫻井 
第一回投票で岸田さんが一位となり、実際には「一・三位連合」になりました。
多くのメディアが河野さんの一位通過を当然視していたので、予想外の結果でしたね。 
メディアが選挙結果を見誤った理由の一つに、若手議員の動きがあると思います。
総裁選期間中、あらゆる世論調査で河野さんが断トツに高い支持率を得ていました。これら一連の数字に強く影響されて、三回生以下の若手議員が河野さんを支持する動きがみられた。
選挙基盤が弱い彼らは、人気者の河野さんをトップに据えれば選挙を有利に進められると考えたのでしょう。 
しかし、若手議員の多くは安倍政権に寄せられた国民の支持があってこそ当選した人たちです。
安倍政権は国政選挙で六戦六勝。二〇一七年の総選挙では、二百八十四名を当選させました。
その結果、自民党議員の約四割、百人以上を当選三回以下の議員が占めています。
国会議員票の重み
櫻井 
最も多くの党員票を獲得した河野さんが、議員票では岸田さん(百四十六票)、高市さん(百十四票)の後塵を拝して三位(八十六票)となりました。
二〇一二年の総裁選でも、党員票で勝る石破茂さんを安倍総理が議員票で逆転した。メディアや評論家は、党員票が議員票より世論を反映していると指摘しています。
安倍 
国会議員は、選挙を通じて国民の負託を受けています。
議員票が世論を反映していないという指摘は当たりません。
メディアが議員票の多い候補者を批判する背景に、派閥=悪というイメージがあるのでしょう。
テレビや新聞は、派閥の締めつけ云々と報じたがります。
今回、私か細田派の議員に高市さん支持を呼びかけたことは事実です。
しかし、高市さんに投票した議員のほとんどが、派閥の論理に関係なく、彼女の国家観に賛同していたはずです。
二〇一二年の総裁選でも、安倍陣営の核となったのは「創生日本」という理念・政策をともにする超党派議連でした。
櫻井 
国会議員は、選挙区の有権者から十万近くの票を得なければ当選できません。
選挙区によっては、一人で百万近い票を獲得する議員もいます。
自民党員は約百十万人で、そのうち今回の総裁選に投票したのは約七十六万人。
実質的に総理大臣を決める総裁選において、議員票と党員票の価値が同じなのはおかしいと思います。
党の規約を改正すべきではありませんか。
安倍 
同僚議員しか知り得ない情報もありますからね。
例えば田中眞紀子さんは国民人気が高く、彼女の将来に期待する党員も多かった。
その一方、田中さんがどういう人物かをよく知る自民党議員のなかで、彼女を支持する人はごく少数でした。
世論の人気に流されて「田中眞紀子首相」が誕生していたら、日本はとんでもないことになっていたでしょう。
櫻井 
党員票について気になったのは、選挙戦が本格化する前に投票を済ませた方が多かったことです。
各候補が掲げる政策を吟味したうえで投票先を決める必要があります。
安倍 
確かに、郵送のタイミングが少し早かったかもしれません。
櫻井 
記者会見や討論会を重ねるなかで、高市さんの株は上がり、河野さんの人気は失速していきました。
「高市さんに投票しておけばよかった」と後悔した党員も多かったことでしょう。
安倍 
今回の総裁選は、党員以外の方にも関心を寄せていただきました。
「次回の総裁選で高市さんを応援したい」という理由から、入党の申し込みが私のもとに多数寄せられています。
リベラル化に「待った」
櫻井 
高市さんは総裁選で、靖國参拝や中距離ミサイル配備、敵基地攻撃能力の保持など、具体的な公約を打ち出しました。
政策論議を活性化させた高市さんの功績は大きいと思います。
安倍 
高市さんのおかげで、自民党が本来の保守路線に軌道修正しつつあります。
櫻井 
高市さんの堂々たる姿を目にして、女性だから言えることもあると感じました。
良くも悪くも、女性は周りに流されず、自分の考えをストレートに行動に移すタイプが多いのです(笑)。
安倍 
高市さんが総理になっていたら、さっそく秋季例大祭で靖國参拝していたでしょうね。
櫻井
岸田総理はそれを恐れて、高市さんを閣僚ではなく政調会長に任命したという見方もあります。
今後、高市さんが政調会長として自民党を脱リベラル化させることに期待します。
自民党は活発な部会活動で知られ、早朝から侃々諤々の議論が行われます。
それら部会の長から調査会長までを決定するのが、政調会長にほかなりません。
誰が部会を仕切るかによって、政策立案の流れも変わってきます。
高市政調会長なら、党内のリベラル派を抑えてくれるはずです。
政調会長は、総選挙の公約作成において責任を負う立場でもあります。
つまり、高市さんが首を縦に振らない限り、どんな政策も党の公約になり得ないということです。
岸田総理が宏池会の伝統であるリベラル路線に傾くのではないかと懸念されるなか、高市さんが政調会長として君臨する意味合いは大きい。
宏池会の伝統から脱却せよ
櫻井 
岸田総理の出身派閥・宏池会は、非軍事・経済重視の伝統があります。
宏池会の源流といえる吉田茂は、軍事顧問・辰巳栄一が憲法改正と再軍備を進言したにもかかわらず、それを退け続けました。
吉田は政界引退後、助言に耳を貸さなかったことを「深く反省している」と辰巳に頭を下げています。
宏池会の創設者・池田勇人は、軍事力を否定する日本を「宦官」にたとえて、軍事すら持てない日本の状況を憂えていました。
とはいえ、吉田も池田も軍事の重要性を認識しながら、具体的な行動に反映させることはなかった。
国民に対する無責任というほかありません。
その後も、宏池会は宮澤喜一さんや河野洋平さん、加藤紘一さんらを輩出してきました。
彼らは慰安婦問題や教科書問題などで日本の国益を不条理かつ不名誉に損ね、憲法改正にも背を向けてきた。
岸田総理が宏池会の伝統をそのまま引き継ぐのであれば、日本は危うい。
安倍 
他方で宏池会には、鈴木善幸さんや大平正芳さんなど、靖國に参拝される首相もいらっしゃいました。
櫻井 
大平さんはキリスト教徒であるにもかかわらず、A級戦犯の合祀が明らかになった年に二回も参拝していますね。
安倍 
岸田さんは靖國参拝について、「時期、状況を踏まえて参拝を考えたい」と含みを持たせている。
真っ向から参拝を否定する河野さんとは異なり、岸田さんは英霊に対する尊崇の念を抱いています。
櫻井
岸田総理は任期中に憲法改正を目指すと発言しています。
バイデン大統領との電話会談では、日米同盟のさらなる強化が確認されました。
私たち国民は、公約が守られるかどうかを厳しくチェックしていく必要があります。
安倍 
岸田さんは安倍政権で四年にわたって外務大臣を務めました。
その経験から日米同盟、抑止力の重要性を十分に理解されているはずです。
櫻井 
安倍総理は首相退任の直前、敵基地攻撃能力の必要性を訴え、昨年末までにあるべき方針を示すべきだと明言しました。
しかし、菅政権下で一向に議論が進まないまま今に至ります。
岸田総理は敵基地攻撃能力について、「抑止力として用意しておくことは考えられる」と否定していませんが、岸田政権に期待してもいいのでしょうか。
安倍 
私が防衛・安全保障について少しでも発言すると、なぜか野党やメディアは興奮してしまい、冷静に議論できなくなる(笑)。
リベラルな印象の岸田さんが同じことを言っても、私ほど反発は受けないはずです。
櫻井 
リベラルな政権ほど、保守的な政策を進められるといわれますね(笑)。
安倍
岸田さんは国民に向けて丁寧に説明してくれるでしょうから、期待しています。
この稿続く。

 


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