以下は前章の続きである。
マッカーサーはまた「アミニズム神道の放棄」と「キリスト教に帰依」を日本政府に命じ、3千人の宣教師を呼び、国際基督教大学も建てさせた。
マッカーサーに阿る南原繁も東大総長として学生にキリスト教入信を説いた。
目論見では日本人の70%を入信させるつもりだったが、信者は1人も増えなかった。
このキリスト教化運動の背景には米国人の選民意識、神に選ばれた清浄な民という思い込みがあった。
彼らは20世紀初頭から人を祈りから遠ざける酒、阿片を排撃し、11年に大麻を禁止に、同12年には阿片を、同20年には酒とコカインを非合法化した。
禁酒法時代と一括りにされる「清浄なアメリカ」時代だ。
彼らはその意識も日本に持ち込み、昭和21年1月、大麻などすべての麻薬を禁じるGHQ指令を出した。
先進国日本では麻薬はとっくに規制されていたが、大麻規制には驚いた。
なぜならその成分カンナビスは日本薬局方に載るれっきとした薬品で、白内障の治癒効果に加え、清浄作用も認められていた。
注連縄や相撲のまわしなどのほか天皇が大嘗祭の際にお召しになる麁服(あらたえ)も麻と決まっていた。
日本だけではなく、例えば紀元前7世紀のゾロアスター教聖典にも薬剤の一つに上げ、エジプトのミイラも大麻で包まれた。
防腐効果ゆえと思われる。
また、新約聖書でマグダラのマリアがイエスに聖油を塗るシーンがあるが、あの聖油も大麻抽出油とされている。
「国が滅んでも憲法を守る」と
下って19世紀、ビクトリア女王も生理痛の治療薬に大麻を愛用した。GHQはそうした歴史も知らなかった。
そして半世紀、米国でHlVが流行り、その終末治療に俄かに大麻が浮上した。
生きる気力を失ったHIVやがんの末期患者に大麻を投与すると食欲が湧きだし、僅かながらの治癒効果が認められた。
いまでは多くの州が終末医療用に使用が公認され、コロラド、ワシントン州では販売、吸引まで公認された。
ウルグアイは国家として解禁に踏み切った。
そんなアホなGHQがつくった憲法をやたらありがたがり、国が滅んでも、いい憲法を守ろうという新聞がある。
困ったものだ。 (2015年8月号)

