以下は、先般、櫻井よしこさんの、はじめに、だけをご紹介した、2021年5月31日に出版された下記の本からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
活字が読める日本国民は最寄りの書店で購読しなければならない。
世界中の人達には、私が出来るだけ知らしめる。
第一章 中国の横暴を許さない!現在進行形の新疆ウイグル「ジェノサイド」
*6月20日、NHKのサンデースポーツは、日本国民の大半が知らなかった、東京女子体育大学準教授・笹生心太をコメンテーターとして出演させて、あろうことか、東京五輪中止論を語らせた。
『オリンピックやパラリンピックはワールドカップやWBCとは違い、オリンピック憲章の中で、人間の尊厳を重視した平和な社会を作る為にスポーツを利用するんだ、という事が明確に書かれています。なのに、今、この状況では、人間の尊厳も平和も十分に守り切れていない中で、何故やるのか、…』
NHKのサンデースポーツを制作している人間達と関係者は、彼を再度出演させて、北京五輪開催の是非について、語らせなければならない。*
日本も「北京五輪ボイコット」の声をあげよ
櫻井
ポンペオ前国務長官は、「中国政府の所業はオリンピック精神にもとる」として、2022年の冬季オリンピックの開催地変更を国際オリンピック委員会(10C)に提案すべきだと語りました。
アメリカ上院の共和党議員も、同様の決議案を提出しています。
しかし、中国の王毅外相は、アメリカやEUの動きに猛烈に反発しています。
「証言はまったくの嘘、役者が証言するように仕組まれた」「人権が侵害されてない根拠として、人口が増えている」などと語っています。
楊海英
ウチグル人弾圧のすさまじさは、まさに世界的問題になっています。それなのに日本の反応は鈍い。
「中国を敵に回したくない」「うまく付き合っていきたい」という思惑が強すぎるからです、でもこの事態を見過ごさず、ジェノサイドに対して、堂々と非難声明を出すべきです。
ウイグルだけでなく、チベットもモンゴルも、香港も、みんな中国の被害者なのです。
アジアの大国日本がきちんと声を挙げないでどうするのですか。
国際社会の信用を失ってしまいます。
それだけでなく、中国の横暴を後押しする結果になりかねません。
楊逸
2008年の北京オリンピックのとき、世界は中国共産党のチベット弾圧に、事実上目をつぶってしまいました。
日本も声をあげなかった。
1989年の天安門事件のときも、「民主化」を求めて立ち上がった市民や学生を虐殺した中国政府に対して制裁を加えるべきだったのに、日本はとても消極的でした。
悲しいです。
桜井
あのときに日本の外務省は二つのことを決めたのです。
まず「絶対に中国を剌激しないこと。天安門での弾圧を批判するにしても、中国の面子を損なわない形ですること。もうひとつは、中国は鄧小平の改革開放政策を推進中なので、日本はこれを助ける方向で動くべきだ。さもなければ中国は混乱し、それ、がアジア全体に波及する」というものでした。
それを主導したのが外務省の中国語研修組、いわゆる「チャイナスクール組」です。
楊逸
そんな甘いことを言っているから、中国政府は「何をやっても大丈夫だ」と思い込んだのでしょう、その後、やりたい放題の民族弾圧につながっていった……。
桜井
悪魔的な一党独裁体制の今日の中国になる後押しをしたのが、当時の日本外務省のチャイナスクール組だと言ってよいかもしれません。
日本外務省の中国傾斜と同じ傾向は、政界、財界、そして言論界にも顕著です。
ですから日本では、ときどきとんでもない「バランスを欠いた議論」が起こります。
そのひとつが東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長発言への反応です。
「女性が入ると会議の話が長くなる」という発言自体は、そこだけを取り上げると適切ではありませんが、発言全体を見ると、決して女性差別ではありません。
にもかかわらず、大変な非難の嵐になってしまいました。
森会長は辞任して一応、事はおさまりましたが、五輪問題を考えれば、森さんを叩くのであれば、中国政府の所業も厳しく批判しなければおかしいと、私は思います。
北京政府がしていることは女性蔑視とは次元が異なる大問題です。
ウイグル人女性への集団レイプ、殺害、宗教や言葉を奪って民族のアイデンティティを消していく。
多数の不妊手術まで施して民族浄化作戦を展開しているのが中国政府です。
そのお膝元、北京で五輪を開催することがよいことなのか。
世界は真剣に議論すべきでしょう。
森さんを「五輪精神に反する発言をした」としてひどく非難するのであれば、五輪精神にもっとひどい形で違反している北京政府に、より厳しい非難の声を上げるの、が筋です。
そのことは明確に発信しておきたいですね。
楊逸
モンゴル、ウイグル、チベットでも、これまでどれだけ被害があったかを検証すると同時に、現在進行中の暴挙を止めなければいけません。
これを放っておくと中国共産党の価値観に従って世界が塗り替えられてしまう。
共産党一党独裁の継続のために、全世界の人々が奴隷のようになって自由を奪われ、思想信条を奪われる、という危険が迫っています。
なんとか阻止しなければいけません。
むしろ、いちばんひどい目にあっているのは私たち漢民族かもしれません。大躍進、文化大革命、天安門……。
櫻井
中国共産党政権は、一党独裁の自分かちの権益を拡大し守るために、漢民族、少数民族を問わず「血の弾圧」を続けています。
文化大革命による粛清は決して終わったわけではなく、深く静かに、いまも続いているのです。
日本も世界も、背後に控える中国市場の巨大さに幻惑されて、共産党独裁の弊害に目をつぶっている。
結果として残虐で、非民主的で、国際秩序を平然と無視する共産党を許している。
許しているのは私たちなのです。責任の半分は、私たちにあります。
この稿続く。