君が望む永遠:主人公の心理描写に対する評価

2009-09-13 19:19:32 | 君が望む永遠
君が望む永遠においては、主人公の心理がかなり細かく描写されている。


そのことを、「プレイヤーの分身という虚構」という記事の中で「他の可能性が排除され、主人公の他者性が表現されている」と評価した上で、「感情移入できない」などと書いているレビュワーたちがいかに的外れな発言をしているかを指摘した(「真版 なぜ『感情移入できないのか』」も参照。ただし、「沙耶の唄:二項対立と交換可能性」[ネタばれ注意]で触れた恋愛ADVの特徴[主人公主観=主人公に埋没しやすい形式]及びその内面化も考慮する必要がある)。


その考えに今も変化はないが、一方「鳴海孝之への反感とキャラへの埋没」で書いたようにプレイヤーの多くが作品内の描写をキャラに対して還元することしかできないなら(つまり作劇上の必要性や狙いに目を向けることができないのなら)、緻密な心理描写は主人公の人格的特徴としてしか受け取られず、それが「言い訳がましい」「女々しい」という印象へと繋がり、最終的には「ヘタレ」という評価の一要因となったのではないかと最近では考えている(もっとも、管見の限り心理描写について細かく言及したレビューはないため、事の真偽を図ることは難しいが)。


ただし、以下のことは強調しておかなければならない。
すなわち、もし仮に緻密な心理描写をなくせば、孝之の行動(原理)を理解することはおよそ困難となり、今度は「説明不足」という評価が出てくるであろう、と。三年間のブランクを共有していない以上、主人公を、そして作品を理解する上で現行の心理描写は必要不可欠なものなのである。

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