国際法務入門 第13回
3 事業譲渡の場合
事業の譲渡も、実務的な検討を要する課題である。一方当事者が事業譲渡する場合は、会社合併のような包括承継と異なり、譲渡される事業に属するすべての資産・権利義務が個別的に承継される。したがって、相手方当事者の同意がなければ、契約上の権利を移転することができない。
たとえば、当方側に事業譲渡を行う可能性がある場合、事業譲渡に伴う契約上の権利義務の移転には、相手方の承諾を不要としておきたいであろう。このような場合には、無条件で移転できるような但書(”except to any legal person acquiring all or substantially all the business and assets of such Party.”)を付しておくことが考えられる。
契約交渉の過程において、仮に相手方当事者が承諾不要の要求に応じない場合には、次のような規定を検討するとよい。
The other party shall not withhold such approval without reasonable ground.
(相手方は、合理的な根拠無しに承諾を拒否してはならない。)
こうした歯止めをかけておくことにより、合理性のない承諾拒否を排除することができる。何をもって合理的(reasonable)であるかは解釈問題だが、少なくとも合理性をめぐって相手方と交渉する余地は残されている。
(次回に続く)
3 事業譲渡の場合
事業の譲渡も、実務的な検討を要する課題である。一方当事者が事業譲渡する場合は、会社合併のような包括承継と異なり、譲渡される事業に属するすべての資産・権利義務が個別的に承継される。したがって、相手方当事者の同意がなければ、契約上の権利を移転することができない。
たとえば、当方側に事業譲渡を行う可能性がある場合、事業譲渡に伴う契約上の権利義務の移転には、相手方の承諾を不要としておきたいであろう。このような場合には、無条件で移転できるような但書(”except to any legal person acquiring all or substantially all the business and assets of such Party.”)を付しておくことが考えられる。
契約交渉の過程において、仮に相手方当事者が承諾不要の要求に応じない場合には、次のような規定を検討するとよい。
The other party shall not withhold such approval without reasonable ground.
(相手方は、合理的な根拠無しに承諾を拒否してはならない。)
こうした歯止めをかけておくことにより、合理性のない承諾拒否を排除することができる。何をもって合理的(reasonable)であるかは解釈問題だが、少なくとも合理性をめぐって相手方と交渉する余地は残されている。
(次回に続く)