菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

不法行為による損害賠償請求権の取扱いと合意による時効期間の変更

2011-08-31 00:00:00 | 債権法改正
第5 消滅時効
3.<不法行為による損害賠償請求権の取扱い>

・ 債務不履行と不法行為とでは、債権者・債務者の関係が根本的に異なるわけですから、時効期間についても、整合性を図る必要はないのではないかと思料します。

4.<合意による時効期間の変更>
・ 合意によって時効期間の短縮を認めた場合、債権者に有利である一方、債務者には不利に働くわけですから、消費者や取引上劣位にある事業者に対する保護を検討する必要があるかもしれません。しかし、こうした弱者保護の法制は、債権法改正ではなく、むしろ消費者保護法や競争法の政策論議にて配慮すべき次元ではないかと思います。
・ この場合、かかる「合意」については、書面によるなどの手続面での工夫が必要だと考えます。
・ また、契約ごとに時効が異なり債権管理が複雑化するという疑問もありますが、それは本件特有の問題とも思われず、契約自由の原則(当事者の自己決定)に委ねてもよいのではないかと考えます。

 以上は、経産省「債権法改正検討WG」委員として意見具申した概要を連載しています(6/08参照)。