菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

損害賠償の範囲(その他)

2011-08-09 00:00:00 | 債権法改正
第4 損害賠償の範囲
4.<その他>

・ 契約上に責任制限がある場合でも、故意・重過失によりbreakableとなるはずですが、これに関する明文規定は現在ありません。この点についての規定整備についても、検討すべきではないかと思います。
・ かねてより、結果債務と手段債務とでは、実務上、損害賠償請求権の発生事由や賠償範囲にも差異が生じるのではないかとの疑問を感じておりますが、この点に関する指針が現行法には見当たりません。この点も検討すべきものと考えます。
・ ①物損に慰謝料請求権が認められる場合の判例、②債務不履行における慰謝料請求権の可否などについても、何らかの明文化を検討すべきではないでしょうか。ちなみに、わが国私法の枠組みの中では、原則として、この種の精神的苦痛が損害賠償の対象になるとは解釈されていないものと理解しています(例外的な場合として、最判H16.11.18、東京地判S61.4.30、東京地判S61.9.16、新潟地判長岡支部H12.3.30等)。

 以上は、経産省「債権法改正検討WG」委員として意見具申した概要を連載しています(6/08参照)。