菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

債務不履行解除の主観的要件

2011-07-13 00:00:00 | 債権法改正
第3 債務不履行解除の主観的要件
(取引実務の状況)

・ 企業の国際取引実務では、英米法が債務不履行にほとんど主観的要件を考慮しないことと相俟って、国内取引契約においても同様の取扱いをしている例が多く、主観的要件を解除の要件から外すことにあまり違和感はありません。
・ ただし、中小事業者や一般私人との取引を想定した場合、かかる主観的要件が解除の可否を判断する際の緩衝材的な役割を果たしている事実も認められ、そうした配慮も必要ではないかと考えます。
・ なお、危険負担(risk of loss)については、①契約上に明記することにより、また、②損害保険を付保しておくことにより、現行法の不具合・不明点を解消するように努めているのが一般的でしょうが、経験上、実務的に問題となる事例はほとんど認められないように思います。

以上は、経産省「債権法改正検討WG」委員として意見具申した概要を連載しています(6/08参照)。