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ポケットにパク・ヒョシン 🥨

The Musical: カバーストーリー パク・ガンヒョン、ヤン・ジュンモ

2018-10-28 14:50:30 | 笑う男
<笑う男>パクガンヒョン・ヤンジュンモ
運命の天秤⚖の上で



EMKミュージカルカンパニーが<マタハリ>に続き野心的に披露する二番目の創作ミュージカル<笑う男>。ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作にしたこの作品には常に笑わなければならない男グウィンプレインと絶対泣かない男ウルシュスが登場する。金持ちの楽園、貧しい者の地獄の中を並んでさ迷う二人はただ流浪劇団の舞台上に立つ時だけ甘い拍手喝采を味わう。 グウィンプレインとウルシュスを演技する俳優として名前が上がったのは最近大型ミュージカルの主演を次々と獲得している恐ろしい新人パク・ガンヒョンといつも作品の中心を頼もしく支えてくれる俳優ヤン・ジュンモ。2人の俳優が共に描く<笑う男>は果たしてどんな姿なのだろうか?



パク・ガンヒョン、恐れのない疾走
夕方遅くに練習を終えて撮影現場に到着したパク・ガンヒョンの両頬には真っ赤なリップスティックの跡が鮮明だった。理由を尋ねると、キャラクターに移入するためにリップスティックで裂けた口を描いて通し稽古したという釈明が帰ってきた。 <笑う男>の主人公グウィンプレインは幼い時に犯罪集団に拉致されて口が耳まで裂けた人物。この為、彼の顔はいつも胸の内とは関係なく笑っている。フランスの大文豪ヴィクトル・ユゴーが作り出したこの矛盾的なイメージは後日<バットマン>のジョーカーをはじめとする多様なキャラクターのモチーフになった。パク・ガンヒョンがグウィンプレイン役のオーディションに応募したのもこの強烈なキャラクターに魅力を感じたためだ。 “映画俳優ジャック・ニコルソンが演じたジョーカーが好きですね。グウィンプレインがジョーカーのモチーフになったキャラクターだということを知り心が傾きました。 この作品が持つ暗くて陰うつな雰囲気にも惹かれました。タイトルは<笑う男>なのにその中を覗くと誰も幸せな人がいない話です。”

この短い返事には二つの点で驚いたが、まず若い俳優がヒースレジャーのジョーカーではなくジャック・ニコルソンのジョーカーが好きだと話した点が独特だし、いつも淡々としていて楽観的に見えるパク・ガンヒョンが陰うつな話に惹かれるという点も意外だった。続いて彼が自身とグウィンプレインとの共通点として内面の陰について言及した時にはパク・ガンヒョンにも‘笑う男’のようにあらわれなかった裏面が存在するかも知れないという気がした。 “幼い時から一人でいる時間が好きでした。憂鬱さから抜け出そうとしないで身を任せる方なのに、それと共に派生した考えだったり感情の中で多くを感じて学びます。グウィンプレインも傷のために外部の人との接触を避けて非常に孤独な時間を過ごしたというのです。胸のうちのどこかに常に暗い面があるというのが僕とグウィンプレインの共通点でないか思っています。”

だが、ミュージカル<笑う男>のグウィンプレインには<ノートルダム トゥ パリ>のカジモドや<オペラ座の怪人>のファントムとは違った点がある。 キャラクター紹介にも明示されているように彼は‘奇形だが官能的な青年’で、実の兄弟姉妹のように共に育った純粋な少女のにディアと魅惑的な貴族の女性ジョシアナの愛を一人占めにする。 “成人になったグウィンプレインはディアに対する感情が果たして愛であるのか、でなければ単純な兄弟姉妹間の友愛であるのかと混乱している状態です。 そうこうするうちに生まれて初めて貴族の女性ジョシアナに出会い、その美しさに魅了されます。他の人がグウィンプレインの顔をあざ笑うのと違い、ジョシアナは彼の顔に魅力を感じて近づいた人です。おかげでグウィンプレインの中に自身も他の人々のように幸せになれるかも知れないという希望が生まれます。しかし、それと同時に初めてディアを見捨てたという罪悪感も感じたと思います。 結局ジョシアナとの出会いを通してグウィンプレインは自身が本当に愛した人がディアだったということを確信することになります。” 盲目のディアはグウィンプレインの醜い顔ではなく、きれいな魂を見る唯一の人物。パク・ガンヒョンは“そのきれいな魂も実際にはディアから貰ったもの”という見解を付け加えて二人の切ない恋物語に対する期待を与えた。

グウィンプレインを選択の岐路に立たせるのは単に愛だけでない。貧しい流浪劇団の役者であった彼は一歩遅れて生まれが明らかになり新しい運命をむかえる。 “2幕の幻想的シーンの大きなターニングポイントです。 貴族の一族として生まれて愛された幼い時期の幻想、そして貧しい人々の中で笑顔を売って生きてきた過去の時期の幻想。二種類の幻想を見たグウィンプレインは自身が誰なのかを悩みます。そして自身がクランチャーリー公爵であることを受け入れるのと同時に相変らずグウィンプレインを忘れないと決心します。自身が得た力を利用して金持ちだけでなく皆のための世の中を作りますって。 その渦巻く感情を早い展開の中で表現するのが容易ではありません。”グウィンプレインの継父ウルシュスが不公平な世の中を憎悪しながらも与えられた運命は変えることができないと信じる人物ならば、グウィンプレインはそれでも自身の運命を、世の中を変えようとする意志を持った人物です。 パク・ガンヒョンはグウィンプレインのこのような開拓者的な性格が自身と接点があると話した。 “誰かが‘俺がやってみたけど違ったよ、だからお前も止めとけ’と言ってもあまり聞かない方です。 僕にどうかは僕が体験してみてこそ分かるという主義ですね。”



新しい経験を恐れないパク・ガンヒョンに去る1年はそれこそ挑戦の連続だった。JTBCサバイバル オーディション プログラム<ファントムシンガー2>の出演を筆頭に各種コンサート、芸能番組、ラジオに顔を出し、同時にミュージカル<七庶>、<光化門恋歌>、<キンキーブーツ>で続けて主役を演じた。今回の舞台は、やはり侮れない。 莫大な資本が入った初演創作ミュージカルの主人公、その上そのような役でキャスティングされたのは歌手パク・ヒョシンとスホだ。 強力なチケット パワーを誇示するスターと比較されるのがストレスにならないのだろうか? 確かにうんざりするほど受ける質問であるようで、水を向けなかったが、対話の途中パク・ガンヒョンが先にキャスティングの話を持ち出した。 “パク・ヒョシン兄さんやスホさんが公演する回はチケットを求めるのは難しいでしょう。なので<笑う男>が見たければ僕を見なければならないんですね。 僕を見に来られるほかはありません!” 特有の柔らかい口調でさり気なく冗談を言う彼の姿に見る方の気持ちも爽やかになった。彼がこうしたことで簡単に萎縮しない俳優だということが分かったので、もう彼の言葉通り、気楽にパクカンヒョンの'笑う男'を楽しむだけだ。





ヤンジュンモ、根気強い前進

“俳優同士でウルシュスに付けるあだ名があります。 ツンデレ、慶尚道の男、悪口ばあさん。どんな感じなのかよく分かるでしょう?”ミュージカル<笑う男>のナレーターであり流浪劇団の団長ウルシュスは厭世的で冷たい面とユーモラスで親しい面を合わせ持つ複雑なキャラクターだ。この冷たくて残忍な世の中に同情などは期待しないと叫びながらも、吹雪の中をさ迷う口が裂けた子どもグウィンプレインと目の見えない赤ん坊ディアを放っておく事ができずに引き取るのがまさに彼の役どころである。ヤン・ジュンモはこの暖かくて人間的なキャラクターに惹かれて<笑う男>に参加した。 “二つの面を持つ人物だけれども表現する時にすごい難しさを感じたりはしないです。 私の性格自体にウルシュスと似ている面があります。” 彼の言葉通り、簡単に近付くのが難しい印象とは違い2014年からNGO団体‘飢餓対策’の広報大使として活動してきたヤンジュンモの温かい履歴はウルシュスと重なる点がある。

これだけなではない、ヤンジュンモの前作を知る観客ならば義理の息子と娘を連れて流浪公演を広げるこの気難しい男からある種の既視感を感じるとることができる。 特に父と葛藤を生じた息子が離れ、目の見えない娘だけが父のそばに残る場面での話だ。 “私も気づかない内に<西便制>のユボン演技が飛び出てきました。 特にお父さんのようには生きたくないとグウィンプレインと口げんかをする場面では度々<西便制>の‘철없는 혈기 分別がない血気’というナンバーが浮び上がり内心‘考えてはダメだ!’と繰り返してます。” しかし、今回の作品の焦点は家族間の葛藤と和合でないグウィンプレインの風変わりな愛の物語にあるとヤン・ジュンモは念を押した。 “<笑う男>はグウィンプレインが自分が本当にいなければならない場所がどこなのか、本当に愛する人が誰なのかを悟る話です。 その過程が観客によく伝わるようにと願っています。”

<笑う男>がヤン・ジュンモに投げかけた一つ難題は他でもない涙の演技だ。自らをいくら大変で苦しくても‘絶対泣かない男’と紹介するウルシュスなので、ヤン・ジュンモは演技中に込み上げる涙をじっと我慢しなければならない苦衷に苦しめられている。 “没頭して演技していると、延々と涙が出てしまうので、それを調節するのが大変です。 劇中ウルシュスが泣く場面が正に一つあるのですが、その場面をどのように演技するべきかも悩みです。 ウルスシュがありのまま大泣きする人に見えてはいけないんです。俳優が観客の涙の持分まで全部泣いてもダメですし。感情のコントロールがカギだと思っています。”

普段は泣かない方だという彼が舞台の上で涙が出なかったらどうしようという心配から解放されたのは<英雄>に出演してからだ。 “安重根義士の感情が私の中に入り込んで自然と涙が出ました。公演をしながら一回でも偽りで泣いたことはありません。”表面的な演技でない真正性ある演技が俳優の最も重要な資質ということは今でもヤンジュンのかたい信条だ。2005年デビュー以来、休まないで舞台に立つことができた秘訣を尋ねた時にも彼は同じ返事をした。 “時々私も気になります。なぜ製作スタッフと観客はずっと私を求めてくれるのか? おそらくそれは私が特別に優秀な訳ではなく、舞台の上で真正性ある演技を見せようと努力するためだと。昔は先輩たちが演技が行き詰まる部分を取り出して最後まで悩んで演出家と戦うことさえする姿を見ても理解ができませんでした。ですが、今はなぜそうしたのかが分かります。行き詰まる部分があれば自分の中でどうにか答えを探さなければなりません。それでこそ偽りのない演技ができるんです。”



ヤン・ジュンモは今年の下半期から永らく夢見てきたオペラ活動にも拍車をかける予定だ。その第一歩で来る11月芸術の殿堂で世界的な演出家アヒム・フライヤー Achim Freyer が演出するオペラ<ラインの黄金>に出演する。 “声楽を専攻したのでオペラに対する渇きが残っています。 6~7年前から再びオペラの舞台に立つために声トレーニングをしてきました。本当は、<笑う男>を終えたらオペラを勉強しにアメリカへ留学に行くつもりだったのに、経験とみなして本オーディションに付き添ってすぐにキャリアを積むことができるようになりました。” 2005年の<ランメルモールのルチア>以後、ヤン・ジュンモがオペラの舞台に帰ってくるのは何と13年ぶりだ。 彼は今回の舞台が事実上自身のオペラ デビューだと感じている。 “ワーグナーのオペラは他のオペラに比べて演技力をたくさん要求します。 その他のオペラがドラマを音楽で表現するならばワーグナーのオペラは音楽をドラマで表現しているといえます。 私が選ばれた理由も多分そのせいでしょう。しかし、今後他のオペラに続けて出演するにはさらに努力して声を作らなければなりません。 11月公演が終わればニューヨークに住みかを移して、現地でレッスンを受けて活動を継続するつもりです。”

もちろんミュージカルとオペラを行き来して活動するというのは言うように簡単なことではない。 ジャンルにより声の出し方、感情を表出するやり方が完全に違うからだ。 だが、ヤン・ジュンモは道が険しいといって夢をあきらめるつもりはない。躊躇する間に計画をたてて目標に向かってコツコツと進むだけだ。 “ヨーロッパでは時々オペラ歌手が自身が所属している劇場のミュージカルに出演するけれども、反対にミュージカル専門俳優がオペラを兼ねる場合は探すのが大変です。 風変わりな挑戦でしょう。 今まで二つのジャンルを並行するための声を作ってきたけれど、今後より多くの時間が必要になるでしょう。どのくらいかかるかは分からないけれどやってみます。”







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