庭に枝垂れ梅が一本ある。
去年の手入れが良かったのか、今年はよく花を付けている。
気温が急に上がった昨日、一斉に開花した。
午後は風が吹き始めたが、近くにいると香りがした。
風は北西。
東風ではなかった。
※
静岡出身の父に連れられ、子どもの頃は旅行と言うと
安倍川の上流の梅ヶ島温泉に行った。
梅薫楼という所を定宿にしていた。
ということを、タイトルに「うめ かおる」と入力して変換された文字を見て思い起こした。
梅ヶ島温泉の奥にある八紘嶺という山に一度は登ろうと思いながら、
いまだ果たしていない。
ほんじゃ40年ぶりだかに泊まりに行ってみたりして?
梅ヶ島の中でも古い宿らしい。
なるほど静岡人が行きそうだわい。
25歳くらいの時に、一度だけ梅ヶ島温泉に行ったことが有る。
安価な公共温泉に入った。
そこで初めて、たいへんなぬる湯だと知った。
体温より低いくらいの湯なのだ。
湯に入っていても、隣の人の体温を感じるくらい、
湯がぬるいのだ。
それでも、出る頃にはぽかぽかしてくるというのだから、
温泉の効能というのは確かだ。
※
自分は子どもだったので、細かい事は憶えていない。
どこを目指していたのかも憶えていない。
父と母と、宿を出て、山に登った。
どこかから引き返して、
来た道を戻ったはずなのに、途中の道が崩れていた。
途を間違ったのか、
行き過ぎた後に崩れたのか、分からない。
なんとなく父を責める感じの母と、
強い調子で反論する父の、
二人の語調を憶えている。
なんせ、そこいらで有名な見どころと言えば
「大谷崩れ」という大きなガレ場である。
脆いんだわな。
山が若いのだろうか。
まあ、崩れてあたりまえ、くらいの認識が父には有ったのかもしれない。
突然の事態にも慌てない様子は、良い印象だった。
※
冬にも行ったことが有る。
途中の滝を見て行こうと、車を駐車場に入れたら、雪にはまって動かなくなった。
押していたら、通りがかりの車の人が「手伝いましょうか」と声をかけてくれた。
しかし、父は断った。
車が行ってしまってから、母は「なんで断ったの」と父を責めた。
「大丈夫だからさ」と言う言葉にはあまり説得力は無く、
責める言い方をされて不当に感じて憮然とした調子だった。
母も、断ったことを責めるくらいなら、車が去ってしまう前に
「あなた、お願いしましょう」とか、
「お願いします、助かります」と相手に言うとかすりゃいいのだ。
私だったらどうするだろう。
声をかけて貰った時点で、
「わーい!助かるう!すみません!お願いします」と言うだろうか。
※
そうだ、その答えはまさに、
25歳の時に八紘嶺を目指した夜に検証されたのだ。
当時、好きだった女性を助手席に乗っけて、
翌朝から八紘嶺に登るべく、梅ヶ島の近くの道を
夜、走っていた。
ところが、車が側溝にはまっちまったのだ。
つづく
去年の手入れが良かったのか、今年はよく花を付けている。
気温が急に上がった昨日、一斉に開花した。
午後は風が吹き始めたが、近くにいると香りがした。
風は北西。
東風ではなかった。
※
静岡出身の父に連れられ、子どもの頃は旅行と言うと
安倍川の上流の梅ヶ島温泉に行った。
梅薫楼という所を定宿にしていた。
ということを、タイトルに「うめ かおる」と入力して変換された文字を見て思い起こした。
梅ヶ島温泉の奥にある八紘嶺という山に一度は登ろうと思いながら、
いまだ果たしていない。
ほんじゃ40年ぶりだかに泊まりに行ってみたりして?
梅ヶ島の中でも古い宿らしい。
なるほど静岡人が行きそうだわい。
25歳くらいの時に、一度だけ梅ヶ島温泉に行ったことが有る。
安価な公共温泉に入った。
そこで初めて、たいへんなぬる湯だと知った。
体温より低いくらいの湯なのだ。
湯に入っていても、隣の人の体温を感じるくらい、
湯がぬるいのだ。
それでも、出る頃にはぽかぽかしてくるというのだから、
温泉の効能というのは確かだ。
※
自分は子どもだったので、細かい事は憶えていない。
どこを目指していたのかも憶えていない。
父と母と、宿を出て、山に登った。
どこかから引き返して、
来た道を戻ったはずなのに、途中の道が崩れていた。
途を間違ったのか、
行き過ぎた後に崩れたのか、分からない。
なんとなく父を責める感じの母と、
強い調子で反論する父の、
二人の語調を憶えている。
なんせ、そこいらで有名な見どころと言えば
「大谷崩れ」という大きなガレ場である。
脆いんだわな。
山が若いのだろうか。
まあ、崩れてあたりまえ、くらいの認識が父には有ったのかもしれない。
突然の事態にも慌てない様子は、良い印象だった。
※
冬にも行ったことが有る。
途中の滝を見て行こうと、車を駐車場に入れたら、雪にはまって動かなくなった。
押していたら、通りがかりの車の人が「手伝いましょうか」と声をかけてくれた。
しかし、父は断った。
車が行ってしまってから、母は「なんで断ったの」と父を責めた。
「大丈夫だからさ」と言う言葉にはあまり説得力は無く、
責める言い方をされて不当に感じて憮然とした調子だった。
母も、断ったことを責めるくらいなら、車が去ってしまう前に
「あなた、お願いしましょう」とか、
「お願いします、助かります」と相手に言うとかすりゃいいのだ。
私だったらどうするだろう。
声をかけて貰った時点で、
「わーい!助かるう!すみません!お願いします」と言うだろうか。
※
そうだ、その答えはまさに、
25歳の時に八紘嶺を目指した夜に検証されたのだ。
当時、好きだった女性を助手席に乗っけて、
翌朝から八紘嶺に登るべく、梅ヶ島の近くの道を
夜、走っていた。
ところが、車が側溝にはまっちまったのだ。
つづく
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