東京レインボープライドを見かける

月に一度、二十代の人たちと、金管アンサンブルの練習をしている。

東京レインボープライドのブラスバンドに参加することを、
アンサンブルのメンバーにラインで知らせておいた。

すると、「友達と渋谷で会ったので、パレードを見ました。」と
写真をアップするメンバーがいた。
写真には赤い傘を持った行列が写っていた。

どうせ渋谷に来る予定が有るんだったら、
あと数十分早く来てくれたら、ブラスバンドも見られたのにー。と思った。

※

後日、練習で集まった時に、その話題になった。

そのメンバーはある国産自動車メーカーに勤めている。
「うちの会社、イベントのほうにブース出してたらしいんですよね。
後から社内報で『東京レインボープライドに出展しました』って見て。
事前に知らせてくれよ、って思いましたー。」
と、言うと、横から別のメンバーが言う。
「前の社内報に載ってたんじゃないの？」

「そっか。須山さんが参加するってラインで知ったから、
出展しましたって記事も目に入ったのかな。」
と本人は納得している様子。

そう。まさに、それがパレードのひとつの大きな目的なんだよ。

何あれ？なんのパレード？
あれは東京レインボープライド。ＬＧＢＴのパレードだよ。
へー。
その場はそれだけで終わったとしても、その後、そのキーワードが目に入るようになる。
キーワードはキーワードだけで終わらない。
その話題、内容が耳に入るようになってくる。

"知る"きっかけになる。
なれば良い、と思って、目立つ事をしている。

※

ブラスバンドは見てもらえなかったけれど、大きな成果を得た気持ちになった。
この日も、もう少しパレードについて話をすることができた。

メンバーがラインにアップした写真に写っていた赤い傘だが
（つづく）