『ぼのぼの』の漫画家だが、他の作品はあまり知られていないようだ。
成人誌で連載した『ネ暗トピア』(1979-1985)は衝撃だった。
たしか二十歳前後の頃に古本で買って読んだ。
4コマのギャグマンガなのだが、他に類を見ないとはこういうものだ。
思いがけない展開や、4コマの中の空間や、間(ま)に感じ入った。
子ども向けでは『忍ペンまん丸』がある。
腰砕けになるようなゆるいギャグで大笑いした。
漫画家として一定の評価を得たおかげだろうか、
深く重たいテーマの作品も発表されるようになった。
通貨経済について書いた『かむろば村より』や
私というものの境界について書いた『I(アイ)』については、
あらためて感想文を書きたいと思っている。
※
漫画家が、毎朝、散歩する。
自宅の周辺の3kmほどのコースを毎日歩く。
同じ道を毎回辿る。
「動く定点観察」である。
「雨の日とか寒い日などはいやにならないかと聞かれるが
一番いやなのは今来た道を戻ることである。」
ある日、散歩しようと玄関を出ると、今にも降り出しそうな空だった。
歩き出したらすぐに降り出した。
しかし、
「もう家から7mぐらい離れてしまっている。」と、
傘を取りに戻らない。
「散歩はなにも起きないのが望ましい。
いつもと同じなのが一番である。」
そう言って、日々日常を描く漫画が淡々とつづく。
そうは言っても、何か事件は起こるものだ。
しかし、散歩の中で起こる事件とは、些細なことだ。
そうして安心して読む進む。
ところが、地震が起こる。
東日本大震災だ。
いがらしは宮城県に住んでいる。
町も人も、猫も、それまでの日常を失う。
しかし、月日が経つとまた日常が帰ってくる。
そうやってずっと続くかと思う。
雪の少し積もった日、散歩から戻ると、鍵が無い。
探しに歩くが、見つからず、結局2周しただけになる。
この日はいつもの靴ではなく、雪かき用の長靴を履いていたせいで、
かかとが痛くなってきている。
しかし、もう1周探す。
結局、この日以来かかとを痛めて、散歩ができなくなってしまうのだ。
そこまで、毎回を読みながら一緒に散歩を楽しんでいた読者としては、
なんともさみしい気持ちになる。
こういうリアリティが、いがらしみきおの漫画の魅力だと
私は思っている。
※
さて、ブログも書き終わったし、
私も犬の散歩に行ってこよう。
成人誌で連載した『ネ暗トピア』(1979-1985)は衝撃だった。
たしか二十歳前後の頃に古本で買って読んだ。
4コマのギャグマンガなのだが、他に類を見ないとはこういうものだ。
思いがけない展開や、4コマの中の空間や、間(ま)に感じ入った。
子ども向けでは『忍ペンまん丸』がある。
腰砕けになるようなゆるいギャグで大笑いした。
漫画家として一定の評価を得たおかげだろうか、
深く重たいテーマの作品も発表されるようになった。
通貨経済について書いた『かむろば村より』や
私というものの境界について書いた『I(アイ)』については、
あらためて感想文を書きたいと思っている。
※
漫画家が、毎朝、散歩する。
自宅の周辺の3kmほどのコースを毎日歩く。
同じ道を毎回辿る。
「動く定点観察」である。
「雨の日とか寒い日などはいやにならないかと聞かれるが
一番いやなのは今来た道を戻ることである。」
ある日、散歩しようと玄関を出ると、今にも降り出しそうな空だった。
歩き出したらすぐに降り出した。
しかし、
「もう家から7mぐらい離れてしまっている。」と、
傘を取りに戻らない。
「散歩はなにも起きないのが望ましい。
いつもと同じなのが一番である。」
そう言って、日々日常を描く漫画が淡々とつづく。
そうは言っても、何か事件は起こるものだ。
しかし、散歩の中で起こる事件とは、些細なことだ。
そうして安心して読む進む。
ところが、地震が起こる。
東日本大震災だ。
いがらしは宮城県に住んでいる。
町も人も、猫も、それまでの日常を失う。
しかし、月日が経つとまた日常が帰ってくる。
そうやってずっと続くかと思う。
雪の少し積もった日、散歩から戻ると、鍵が無い。
探しに歩くが、見つからず、結局2周しただけになる。
この日はいつもの靴ではなく、雪かき用の長靴を履いていたせいで、
かかとが痛くなってきている。
しかし、もう1周探す。
結局、この日以来かかとを痛めて、散歩ができなくなってしまうのだ。
そこまで、毎回を読みながら一緒に散歩を楽しんでいた読者としては、
なんともさみしい気持ちになる。
こういうリアリティが、いがらしみきおの漫画の魅力だと
私は思っている。
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さて、ブログも書き終わったし、
私も犬の散歩に行ってこよう。
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