犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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まさがいだらけの日本語 義実家の巻

2017年01月14日 | 国語真偽会
初めてこの言葉を目にした時は、
なにを言ってるんだこの人はどうした?
と思ったものだ。
しかし、その後、他の場でも見ることがあって、
広がってきているのを感じる。

義実家。
なんだよそれ。
戦国武将の親が子どもの名前を付けるのに
「よしいえにしようかー、よしさねもいいねー、さねいえってのはどう?
あーん、迷う、どれも捨て難いねー!!」
いっそ三文字の名前もかっこいいじゃんくらいで付けた名前かっつの。

ぎじっか。
意味は、配偶者の親の家、というほどのことだ。
ふん。

そもそも、「実家」というのは、生まれ育った家を出て、
別の家に嫁ぎ、姓も変わるからこそ使った言葉だ。
つまりほとんどの場合、女性が使う言葉だったわけだ。

ところが、核家族化が進み、結婚したら親と同居なんて無い、
という感覚が都市部で広まった。
また、遠隔地の大学などに進学するなど、地元を離れたりした人も、
親元のことを「実家」と呼ぶという使い方が出てきた。

「実家」の意味合いが変化したわけだ。

配偶者の親は義理の父母、義父・義母と呼ぶから、
配偶者の「実家」は義実家、という次第だ。

ここで「実家」のそもそもの意味を思い出してしまうと、
たいへん奇妙なことになる。
義実家。
どこのこと言ってんだよ!

こんな言葉、ばっかじゃねえの、と思うのだが、
家のありかたの変化が表れた言葉なのだろう。

家のありかたの変化と書いたけど、ほんの核家族化というだけのことで、
婚姻だの家族制度だのの根っこはさほど変わっちゃいない。
結婚して姓が変わることに疑問を持たない女性は多いし、
イクメンだと意識が高いと思っている男性も多い。

トランスジェンダーの私は、この「義実家」という言葉を目にすると、
そんな社会のありかたまでを思いめぐらせ、
ゲンナリするのだ。

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