犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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近所の谷戸

2013年10月16日 | おらほ調布
[あらすじ]東京都稲城市の里山散歩が好きだが、ニュータウン計画で
削られ埋め立てられて消えていっている。

最近は生物多様性とかいう言葉もしばしば耳にするようになってきていて、
里山という生活の形も人気を呼んでいるのか、
本屋へ行くと写真集など出ていたりしてびっくりする。

身近の土地では、廃れていっているのに。
まあ、廃れているからこそ、守ろう、という動きも出る。
そういう時なんだろう。

私は30年くらい前から、多摩丘陵を散歩(徒歩、自転車、バイク)するにつけ、
この里山という景観が好きで好きでたまらなくなっていった。
なんというのか、懐かしい(そこで育ったわけではないのに)というか
落ち着くというか、慕わしい。

でもよく考えてみると、そんな感じのところで育った部分もあるのかもしれない。

私が住んでいるところは、多摩川左岸の河岸段丘である国分寺崖線の上だ。
川から見れば崖の上。
周辺は、玉川上水からの分水路でやっと畑を潤していたような、
水の少ない土地。
畑と、植木畑が多い。

ただ、すぐ近くの坂を下ると、そこは湧き水豊かで、水田が広がっていた。
過去形。
今は湧き水はほとんど無くなり、水田だったところも学校やマンションや、
多くは畑に切り替えられている。

崖線ではあるが、一箇所だけ谷戸がある。
青渭(あおい)神社の下から湧き出るマセ口(ませぐち)川が作っている谷戸だ。
この谷戸の出口近くを中央高速がわたっている。
その辺りは埋め立てられて、谷戸の潤いは見る影も無い。

高速道路はここの前後で切り通しになっているので、それで出た土の一部で
埋め立てたのだろうか。
昨日も書いたが、水田をやめてしまった谷戸は水が澱んで腐って
全体に荒れた湿地になる。
それくらいなら、と埋め立てたのだろうか。
おもしろくもなんともない場所になっている。

しかし、谷戸の上半分は、都立農業高校の神代農場になっている。
ため池や、わさび田や、いけすや、水田がある。
斜面で果樹や栗をやっていないのが残念だ。
まあ、別に里山の保存のための施設じゃないからね。

とにかくこの農業高校のおかげで谷戸と森が残っている。
夏もこの横の道を通ると、ひんやり涼しい。
高いフェンスで囲まれ、ふだんは入れないが、今は木曜日に一般公開している。

以前は一般公開しておらず、フェンスの外から中の様子を
ちらーちらーと覗くばかりであった。
風光明媚な感じが垣間見えて、とても悔しかった。

そんな高い壁を乗り越えちゃった人を、二人知っている。
一人は死んだウチの爺さん(父)だ。
30年以上前、まだ50代の頃だったが、深大寺の蕎麦屋でさんざん飲んで酔っ払って、
帰りに高いフェンスをよじ上って入ったそうだ。
馬鹿ですね。死んでも治ってないでしょう。

もう一人は近所の幼馴染のお祖父さんだ。
若い頃は社交ダンスもしていてすらりとした方だったが、晩年はボケてしまい、
徘徊に家族は悩まされていた。
ある時ついに一晩見付からず、家族の心配もピークを通りこした頃の翌日、
農業高校の中で発見された。
どこから入ったのか、こちらは永遠の謎。
ご無事でなにより。

そして私は、中を見てきたのがうらやましくてしょうがなかったものだ。

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