安心パン

とあるテレビ番組で、とある俳優が言っていた。
靴下を百足単位でまとめ買いしている、と。

周囲は「なんでー？！」という反応になっていたが、
私は「分かる！私もそうしたい！」と思った。

※

一時期、昼食は蕎麦ばかり食べていた。
気に入った乾麺が有った。
長野県にある会社が製造している「深大寺そば」という商品だった。
社長さんは、私の住んでいる深大寺辺りが出身の人らしい。

味や太さや口当たりや価格において、文句無かった。
いつも近所のドラッグストアで買っていた。

ある時、棚に無くなった。

大晦日の直前に品切れになることは有ったが、
なんでもない日に品切れになることは珍しい。
まあそのうち入荷するだろうと思って、数日後に行ったが、無い。

ネットショップで探しても品切れになっている。

どうやら、製造しなくなってしまったようなのだ。
非常に残念だ。

その後しばらく、あれこれと他の商品を試した。
今はある商品に落ち着いているが、
口当たりが気に入らない。わづかに太過ぎるのだ。
ただ、日々食するものなので、近くのまた別のドラッグストアに置いている
ということが決め手になっているだけだ。

※

つい先日は、オールブランという、小麦ふすまの発酵シリアルが
製造休止になってしまった。
テレビ番組で紹介されて一気に売れて、
製造が追い付かなくなってしまったのだ。

小袋は８月末に販売再開するということだが、
私が愛用していた大袋は製造中止だという。
やれやれ。

※

その俳優さんは、気に入った靴下が有って、
いつも決まった店で買っていたそうだ。
しかしある時からその店で扱わなくなった。困る。
そこで、メーカーに直接掛け合って、
卸してもらうことにしたというのだ。
直販ではない。卸なんである。

「おたくの靴下しか履きたくないんです。」
という熱い気持ちを伝えたそうだ。

卸値で売ってもらうので、まとまった数でないとメーカーも受け付けてくれない。
そこで、「百足まとめ買いしている」ということになったわけだ。

ムカデか？

※

私は、お気に入りのパンツが有る。
これ以外は履きたくないのだ。

いつも決まった店で買っていた。
しかし、コロナの状況下、その店に立ち寄る機会が無くなっていた。
代わりに、近所の店で買うことにしたが、
以前の店のほうが安く売っている。

先日、一年半ぶりくらいにもとの店に行った。
しかし、陳列棚の配置がすっかり変わり、
取り扱い商品も変わっていた。

そして、無い。
私のパンツが無い！

スーパーの一角で
「私のパンツが無い！」
と叫んだ。
心の中で。

困った。
けれど大丈夫。近所にも有るもんね。
と思って近所の店に行ったが、私のパンツが見当たらない。

まさか？
廃版になってしまったのだろうか。と思って
ネットショップを調べたら、在る。
ホッとしたが、定価でしか出ていない。

※

翌日。
近所の店からラインで広告が入った。
セールのチラシだ。

その中に、有った。
待ってました！
「私のパンツが３割引き！」

まとめ買いした。