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犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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親不孝、孝経を書く

2017年06月20日 | 書の道は
賀知章(がちしょう;659-744)という人がいる。

ムカシの中国のことなので、詩人であり学者であり高級官吏であったようだ。
政治家が芸術をやるというのは良いような気もするが、
それはただ貴族というだけのことかもしれない。

さて、手元に中国詩人事典も持ち合わせていないので、どんどんwikipediaに頼ろう。
「賀知章は詩人として知られるが、狂草で有名な張旭と交わり、草書を得意とした。
酒を好み、酒席で感興の趣くままに詩文をつくり、紙のあるに任せて大書したところから、
杜甫の詩『飲中八仙歌』では八仙の筆頭にあげられている。」

じゃんじゃん飲んで、請われたらじゃんじゃん書いたらしい。
そのわりに現存する書は少ない。
そのうちのひとつが孝経だ。

「孝経の全文を草書で書いたもので、賀知章の署名はないが、
末尾に「建隆二年(961年)冬重粘表賀監墨蹟」と小楷で書かれていて、古来賀知章の真蹟と伝えられる。
江戸時代中期に日本に舶載され、近衛家熙の収蔵するところとなり、久しく近衛家にあったが、
明治のはじめに皇室に献納されて御物となった(現在は三の丸尚蔵館蔵)。
書風は王羲之風の重量感があり、切れ味も鋭い。概して用筆勁利、しかも秀麗洒脱である。」

wikiは漢字が多いなあ。
そうだ、比田井南谷は『中国書道史事典』でどう書いているだろう。

「越州永興(今の浙江省蕭山県)の出身である。役人としてきわめて高い位に達した。
秘書監の位を授けられたために、賀監ともよばれる。
のち官を辞して、放縦な生活を送り、晩年には上に請いて道士となり、郷里に帰って歿した。」

wikiより読みやすくわかりやすいなあ。
エリートだったけど官吏を辞めて、デタラメ生活をした後に、仙人を目指し、生まれ故郷で死んじゃった、
ということか。

「彼は若いときから非常に文学に秀でていた。
『旧唐書』によると、彼は草書と楷書に非常に巧みであったという。
酒を飲むと、自ら詩をつくったり、興にまかせてたくさんの書をとめどもなく書いた。
彼の書をほしい人は、機嫌のいいときに紙をもって行くと、いくらでも書いてくれたという。」

好きになってきた。

「彼の書は非常に筆力が強かったといわれている。
現存の資料には賀知章の作品として確実なものはないけれども、
日本に伝わっている次の作品は、彼の真跡であるといわれている。

草書孝経
この書が日本に渡来したのは、江戸時代、18世紀の初めで現在御物として保存されている。
これより前、北宋の建隆2年(961)に中国で表装し直したときに記された末尾の書き入れに、
賀知章の墨跡であるということが書かれている。
それゆえ一般に賀の真跡と信じられている。
とにかく、この書の筆意点画は明らかに彼の時代のものであり、
記録による彼の書の特徴とも合致する。
この書は非常に上手な書で、また相当に速く書いたことが想像できる。
ただ変化に乏しいという欠点はあるけれども、筆力があって、
筆法が正しいということから、草書の手本として尊ばれている。」

なるほど、
臨書していて、筆の速さは感じた。
私はまだまるで草書に慣れていない。
慣れていないと、お手本の文字の形を再現するためにはどうするのか、
じっくりゆっくりやってみるのだが、ゆっくりやっているとこの書はむしろ再現できないのだ。

だいたい、何を書くのも今は非常にゆっくり書いている。
しかし、この賀知章の書で、速く書くことを覚えるというのも良いかもしれない。

孫過庭の『書譜』の中に、遅速について書いてあったっけ。
「未だ淹留を悟らざるに、ひとえに勁疾を追い、迅速をよくせざるに、
かえって遅重をいたすこと有るに至る。
それ勁速は超逸の機にして、遅留は賞会の致なり。
まさにその速きに反せんとすれば、ゆくゆく会美の方にいたらんも、
もっぱら遅きに溺るれば、ついに絶倫の妙にたがわん。
速をよくせるに速にせざるは、いわゆる淹留なるも、
遅に因って遅に就かば、いずくんぞ賞会と名づけん。
かの[心は閑にして手は敏]なるものに非ずんば、
以て兼ね通じ難きものなり。」

ゆっくり書けもしないくせに速く書こうとしたり、速く書けないくせに遅く書こうとするアホ。
速く書くのは飛び抜けた雰囲気を出すものであって、遅く書くのはじっくり鑑賞するためのものを書くためだ。
速く書けた上で、速さに反するようにしてゆけば、美に至るが、
ただ遅く書いてるだけじゃいいものにはたどり着かないよーだ。
速く書けるけれど速く書かないというのが、いわゆる淹留(えんりゅう)であって、
ただ遅いってだけじゃ、見る価値は無いね。
琴の名人が言ったように、「心はのどか、手は機敏」でなきゃ、
なかなかわからんだろうね。

賀知章につられて速く書くことは、いいのでしょうか、孫先生?


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