私の旅行は、もっぱら一人で車中泊だ。
目的地はごく大まかに決める。
その日にどこまで進むか、どこに寄るか、
どこでどれくらいの時間を過ごすか、どこで寝るか、
ほとんど行き当たりばったりだ。
年に一度くらいはそういう旅をしないと、むずむずしてしょうがない。
15年前から飼い始めた2頭の犬の
片方が、旅先で便秘をする体質だと分かった。
一泊二日くらいならともかく、何日も連れては行けない。
その上、その犬は、知らない土地を歩くと
興奮してひどく引いた。
かなりの内弁慶だった。
その犬が先立って、もう片方の犬ジーロくんだけになった。
犬同士の付き合いでは弱いけれど、
山は好きだし、知らない街ではマーキングをしないので、
とても連れ出しやすい犬だった。
その犬もこの世を去ってしまった。
新しい犬ウーゴくんは、
知らない人も知らない道も知らない物も
初めてのもの全てを怖がる。
これは、旅向きではなさそうだ。
困ったものだ。
車に乗ることはいやがらない。
しかし、クレート(犬用のカゴ)の中で震えて
1時間もすると車に酔って吐く。
車に慣らすところから始めなければならない。
4歳半である。
成犬から新しいことに慣れるのもたいへんだろうが、
まだ若い今のうちか。
※
ジーロが死んでしまったら、一年は旅三昧で過ごそうと思っていた。
しかし、新型コロナの世になってしまった。
Go To政策が有る一方、都内のナンバーの車へのいやがらせの話も聞く。
そんな中、性別不詳の女性一人で車中泊をする気持ちには到底なれない。
すみやかに気持ちを切り替えて、保護犬を引き取った次第である。
※
基本的に山が好きだが、
知らない街を歩くことも好きだ。
地域特有の街並みというものは不思議な情趣を惹き起こす。
春の海ひねもすのたりのたりの波の音を聞くことも好きだ。
南伊豆の磯に行きたいなあ。
※
昨年はオリンピックイヤーに対抗して
「2020年はブギーの年」にすべく、ブギの曲を7曲アップした。
日本で「ブギ」と言えば、故服部良一によるブギのシリーズだ。
私も笠置シヅ子の歌った『東京ブギウギ』『ヘイヘイブギ』『ジャングルブギー』『買物ブギー』を演奏した。
服部が持ち込んだのはブギに限らない。
アメリカやラテンのリズムを、日本の音楽とうまく混ぜ合わせて、
歌謡曲の様々な形を創り出した。
淡谷のり子に歌わせて始まった日本の「ブルース」も服部の仕業だ。
美空ひばりの『お祭りマンボ』などは服部の門下の作曲家による。
雪村いづみに『スーパー・ジェネレイション』というアルバムが有る。
『東京ブギウギ』や『ヘイヘイブギー』も入っているし、
『銀座カンカン娘』『一杯のコーヒーから』『蘇州夜曲』
と、ざっと服部良一名曲集のような体である。
バンドはキャラメル・ママ。
つまり、松任谷正隆、鈴木茂、細野晴臣、林立夫というメンバーだ。
アレンジがいかしている。
特に、『バラのルムバ』がすばらしい。
私は何年来、クリスマス讃美歌をファンキーなリズムのウクレレ弾き語りで
しかし歌はフツーに讃美歌らしく美しく歌う、
ということを試みてきている。
この『バラのルムバ』を聴いて、「こういうことがやりたいのよ!」と叫んだ。
※
ハナから種明かししておりますが、
キャラメル・ママのアレンジによる『バラのルムバ』みたいなことがやりたい、
ということをテーマに、『遠くへ行きたい』をアレンジして、演奏した。
『遠くへ行きたい』は、永六輔作詞、中村八大作曲。
服部の少ーし後の歌謡曲を支えたコンビである。
どうしてこの曲を選んだか、という話はまた今度。
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