【個人的評価 ■■■□□□】(■□□□□□:最悪、■■■■■■:最高)
映画「最後の侍」(2003年アメリカ映画、主演:吐夢狂頭、渡辺謙)より・・・
丘から政府軍の大部隊を見るトムとケン
「昔テルモピュライの戦いで300人のギリシャ兵が100万のペルシャ軍と戦った。100万って数字わかるか?」
「わかる。100万は100万だ」
「ギリシャ兵は二日に渡って大打撃を与え、ついにペルシャ軍を撤退させた」
~すごく中略~
突撃直前のトムとケン
「例のギリシャ兵だが、どうなった」
「全滅さ」(ニヤッ)
・・・というわけで、映画「300」の大筋はトムから教えてもらった。
映画を見ていると、ケンさん主演の別の映画における、カセくんと連隊長の会話を思い出した。
「米軍の方が全てにおいて数の上では圧倒的に有利だ。しかし我々にも有利な点がある。わかるか?」
「我々の方が意志が強い点であります」
「その通りだ」
「米軍は規律がなく、意志の弱い腰抜けどもだからであります。」
・・・で全滅するあたり、3000年前のスパルタと同じ硫黄島。
(ただし映画では、スパルタは兵たちに死ぬことの意味を見出させ、硫黄島では死なないことに意味を見出させるのだが)
作戦もへったくれもなく精神論だけで100%死ぬ戦いに身を投じる。勝てる、あるいはせめて善戦できると信じ込ませるには、精神の高潔さという根拠もへったくれもないものにすがるしかなく、このスパルタの戦いのような伝説上の成功例が持つロマンの香りが、現近代の戦争における無謀でしかない作戦を推進させるエネルギーとなる。
まあよい。歴史は歴史。
それでもなんでも、300対100万。
なんと胸躍るコピーだろう。
だが実は、映画・テレビ史の上では、そう大した数字ではない。一人当たりで言えば、3333人を相手にすればよい。
たしかランボー3のコピーが「1対50万」だったから比率の上ではスタの方が勝っている(あの映画では実際50万人と戦ったわけではないが)
キャッチコピーではないが、ウルトラマン第二話「侵略者を撃て」では、ウルトラマンは20億3000万のバルタン星人が乗る宇宙船を破壊している。(多分、映画・テレビ史上最悪のヒーローによる大量虐殺であろう・・・)
というわけで、歴代映画&TV多勢に無勢、それでも戦うランキングは以下のようになりました。
1位 ウルトラマン 1対2030000000
2位 ランボー 1対500000
3位 スパルタ 1対3333
そうは言っても、一人当たり3333人も殺さねばならないのは大変な仕事である。もうなりふりかまっていられない。
戦場は血みどろ、情け無用、地獄の修羅場と化す。・・・のだがとてもかっこいい映像処理が施されているので、ヒャッホウと楽しく英雄たちの戦いを見ることができる。脚本は単純すぎるほど単純で、あまり盛り上がらない序盤にも乳首の揺れる裸おどりやセックスシーンも用意して、バカな男たちを楽しませることに余念がない。
愛国英雄物語など、この程度で充分。ストーリー説明や歴史のウンチクなど不要。命尽きるまで斬って斬って時々脱がせてりゃいいのさ。
そうはいっても、さすがに単調でやや飽きのくる終盤。
脚本上の致命的欠陥は、キャラ立ちした敵がいないことだろう。
敵の王。醜男でもデブでもイカニモな悪人顔でもなく、かっこよく美しくそれゆえ誇り高い。原哲夫漫画のような大ボス。
それならやっぱりさ・・・レオニダス王と対決させようよ!!
ああ、もったいない最大の見せ場のハズなのに。槍がかするくらいでクライマックスのつもりか!!
原哲夫先生なら・・・
まずレオニダスの部下がペルシャ王に戦いを挑むが、王はあの神輿から降りようとしない
「ふふふ、貴様ごときと戦うのに、この足を地に着ける必要などないわ」
「おのれ~、お前らの血は何色だぁ!!!」
しかし、一撃で殺されるレオニダスの部下。
ついに戦いとなるレオニダスとペルシャ王。
お互いの闘気で地も海もペルシャ兵もスパルタ兵もなぎ倒される大激戦。
激戦のあげくかろうじて勝ちをひろったペルシャの王はスパルタの地から撤退する・・・が傷は深く、倒れそうになる・・・が、踏ん張り、
「この神王は決して膝をつかぬ!!つかぬぞー!!」
・・・以上、妄想。
他に印象的な敵では、やたら巨大な醜男怪人(・・・も、なんか原哲夫っぽく・・・)もいたけど、特に台詞もなく。
スパルタ兵と対等に戦える少しは知性のある中ボスなんかも出して欲しかった。
烏合の衆でしかない敵を黙々と斬り続けるだけの展開ではさすがに飽きる。
ビジュアル面ではかっこよくて、血だらけで、残虐で、しっかりエロくて、すごいのだけど、物語作りはセンスなさすぎ。
最後に。
ペルシャの侵略者たちから、世界に誇る民主主義を守るだの、自由を守るだの、吠えるスパルタの皆さんであるが・・・
生まれてすぐの子供に欠陥があれば殺すし・・・
七歳から死も厭わぬ戦闘訓練を課すし・・・
国のために死ぬことのみを叩き込む洗脳教育をほどこすし・・・
で、とても「世界に誇れる自由と民主主義の国家」とは思えませんなあ・・・
一方で敵国ペルシャ。
黒人でも要職についているなど多民族国家的に描かれ、戦い方はひたすら物量作戦、もしかして(スパルタなど)独裁国家を倒す解放軍きどり?
意外と似ているね。アメリカに。
もしかして、悪の枢軸イランとアメリカを重ね合わせている・・・なわけないか・・・
*******
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映画「最後の侍」(2003年アメリカ映画、主演:吐夢狂頭、渡辺謙)より・・・
丘から政府軍の大部隊を見るトムとケン
「昔テルモピュライの戦いで300人のギリシャ兵が100万のペルシャ軍と戦った。100万って数字わかるか?」
「わかる。100万は100万だ」
「ギリシャ兵は二日に渡って大打撃を与え、ついにペルシャ軍を撤退させた」
~すごく中略~
突撃直前のトムとケン
「例のギリシャ兵だが、どうなった」
「全滅さ」(ニヤッ)
・・・というわけで、映画「300」の大筋はトムから教えてもらった。
映画を見ていると、ケンさん主演の別の映画における、カセくんと連隊長の会話を思い出した。
「米軍の方が全てにおいて数の上では圧倒的に有利だ。しかし我々にも有利な点がある。わかるか?」
「我々の方が意志が強い点であります」
「その通りだ」
「米軍は規律がなく、意志の弱い腰抜けどもだからであります。」
・・・で全滅するあたり、3000年前のスパルタと同じ硫黄島。
(ただし映画では、スパルタは兵たちに死ぬことの意味を見出させ、硫黄島では死なないことに意味を見出させるのだが)
作戦もへったくれもなく精神論だけで100%死ぬ戦いに身を投じる。勝てる、あるいはせめて善戦できると信じ込ませるには、精神の高潔さという根拠もへったくれもないものにすがるしかなく、このスパルタの戦いのような伝説上の成功例が持つロマンの香りが、現近代の戦争における無謀でしかない作戦を推進させるエネルギーとなる。
まあよい。歴史は歴史。
それでもなんでも、300対100万。
なんと胸躍るコピーだろう。
だが実は、映画・テレビ史の上では、そう大した数字ではない。一人当たりで言えば、3333人を相手にすればよい。
たしかランボー3のコピーが「1対50万」だったから比率の上ではスタの方が勝っている(あの映画では実際50万人と戦ったわけではないが)
キャッチコピーではないが、ウルトラマン第二話「侵略者を撃て」では、ウルトラマンは20億3000万のバルタン星人が乗る宇宙船を破壊している。(多分、映画・テレビ史上最悪のヒーローによる大量虐殺であろう・・・)
というわけで、歴代映画&TV多勢に無勢、それでも戦うランキングは以下のようになりました。
1位 ウルトラマン 1対2030000000
2位 ランボー 1対500000
3位 スパルタ 1対3333
そうは言っても、一人当たり3333人も殺さねばならないのは大変な仕事である。もうなりふりかまっていられない。
戦場は血みどろ、情け無用、地獄の修羅場と化す。・・・のだがとてもかっこいい映像処理が施されているので、ヒャッホウと楽しく英雄たちの戦いを見ることができる。脚本は単純すぎるほど単純で、あまり盛り上がらない序盤にも乳首の揺れる裸おどりやセックスシーンも用意して、バカな男たちを楽しませることに余念がない。
愛国英雄物語など、この程度で充分。ストーリー説明や歴史のウンチクなど不要。命尽きるまで斬って斬って時々脱がせてりゃいいのさ。
そうはいっても、さすがに単調でやや飽きのくる終盤。
脚本上の致命的欠陥は、キャラ立ちした敵がいないことだろう。
敵の王。醜男でもデブでもイカニモな悪人顔でもなく、かっこよく美しくそれゆえ誇り高い。原哲夫漫画のような大ボス。
それならやっぱりさ・・・レオニダス王と対決させようよ!!
ああ、もったいない最大の見せ場のハズなのに。槍がかするくらいでクライマックスのつもりか!!
原哲夫先生なら・・・
まずレオニダスの部下がペルシャ王に戦いを挑むが、王はあの神輿から降りようとしない
「ふふふ、貴様ごときと戦うのに、この足を地に着ける必要などないわ」
「おのれ~、お前らの血は何色だぁ!!!」
しかし、一撃で殺されるレオニダスの部下。
ついに戦いとなるレオニダスとペルシャ王。
お互いの闘気で地も海もペルシャ兵もスパルタ兵もなぎ倒される大激戦。
激戦のあげくかろうじて勝ちをひろったペルシャの王はスパルタの地から撤退する・・・が傷は深く、倒れそうになる・・・が、踏ん張り、
「この神王は決して膝をつかぬ!!つかぬぞー!!」
・・・以上、妄想。
他に印象的な敵では、やたら巨大な醜男怪人(・・・も、なんか原哲夫っぽく・・・)もいたけど、特に台詞もなく。
スパルタ兵と対等に戦える少しは知性のある中ボスなんかも出して欲しかった。
烏合の衆でしかない敵を黙々と斬り続けるだけの展開ではさすがに飽きる。
ビジュアル面ではかっこよくて、血だらけで、残虐で、しっかりエロくて、すごいのだけど、物語作りはセンスなさすぎ。
最後に。
ペルシャの侵略者たちから、世界に誇る民主主義を守るだの、自由を守るだの、吠えるスパルタの皆さんであるが・・・
生まれてすぐの子供に欠陥があれば殺すし・・・
七歳から死も厭わぬ戦闘訓練を課すし・・・
国のために死ぬことのみを叩き込む洗脳教育をほどこすし・・・
で、とても「世界に誇れる自由と民主主義の国家」とは思えませんなあ・・・
一方で敵国ペルシャ。
黒人でも要職についているなど多民族国家的に描かれ、戦い方はひたすら物量作戦、もしかして(スパルタなど)独裁国家を倒す解放軍きどり?
意外と似ているね。アメリカに。
もしかして、悪の枢軸イランとアメリカを重ね合わせている・・・なわけないか・・・
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そういやそんな台詞がありましたね~
今年公開された『墨攻』でも「10万の敵にたった1人で挑む。」というキャッチコピーでしたけど、実際には1人じゃなかった。
『北斗の拳』も思い起こさせる映像だったけど、ビジュアル的にはクセルクセス王はラオウよりもサウザーに似てましたよね。
そうですね。「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」とか「愛などいらぬ!」とかのたまっても面白かったですね。いじりがいのあるキャラなのに、もったいない脚本です・・・
本当にそうですね(笑)。それを思いだして記事に書けるというのが、しんさんの凄さだと思います(爆)。
一人妄想の映像も見せて頂きたかったです。
たぶんそれやるとフランク・ミラーが黙ってないでしょうけど(笑
まあ、映画のあっけないラストもこれはこれで好きです、ベルバラみたいで。
え、違う?
私は、とっても単純に映像美にはまってました。
単純な物語がとても新鮮でした。
なんも考えずにひたすら映像美に酔いしれてました(笑)
ついこないだ、北斗の拳みたばっかりだったからってのもあって・・・
>ノラネコさま
せっかく戦いの舞台にふさわしい神輿まで用意していたのにガチンコしないのがもったいなかったです。フランク・ミラー大したこと無いなと思いました。
脚本 武論尊、監督 ツイ・ハークで撮り直してほしいです
>シュエットさま
単純すぎる話にすることで余計なこと考えさせなくしたところは良かったと思います。パクリっぽい映像もサービスみたいで楽しめましたね。
スパム対策のためTB承認制にしています。スパムTBする奴らにスパルタ軍団を送りこんで殲滅してやりたいです。
それにしても、ウルトラマンが20億人乗りの宇宙船を破壊してたのは知りませんでした。
「ウルトラマン マックス」でリメイクされたバルタン星人は美少女に変化してたんで、ウルトラがひどいヤツのように思えてきます。
余談ですが、今夏の「電王」&「ゲキレンジャー」はぜひ見に行ってくださいね~。