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サウンド・オブ・ミュージック [監督:ロバート・ワイズ] DVD評

2011-03-09 00:07:45 | ビデオ・DVD・テレビ放映での鑑賞
小5、小2、保育園の三人の子供たちの世話を2日間することになった。
映画でも見せようとうちのDVDコレクションから何作かもっていくことにしたのだが、我が家には意外とお子様ランチムービーがない。お子様ランチ巨匠のスピルバーグの映画は「ジョーズ」「E.T.」「ジュラシックパーク」はもう見せた。あと持っているのは「シンドラーのリスト」「太陽の帝国」だがさすがに早いだろう。
チャップリンも早いな、ポール・ヴァーホーベンの「ブラックブック」は見せるには遅すぎるな、ベルイマン、キューブリック・・・などと本気で悩んだわけではないが、とりあえず「サウンド・オブ・ミュージック」をチョイスしたのであった。

知っての通り、3時間を越える大作である。子供らは見せる前は気乗りしない感じであったが、見始めると3時間飽きることなく観ていた。しかしほんとに大変だったのはその後だった。子供たちはDVDの特典メニューで歌部分だけを再生できるメニューで、ミュージカルナンバーをエンドレスで聞き出す。
「マリア」
「私の好きなもの」
「ドレミの歌」
「おやすみなさい、ごきげんよう」
「ひとりぼっちの山羊飼い」
・・・などなど、あきることなく何度も何度も聞くのであった。振り付けまで覚えたりする。
全曲10回くらいづつ聞いたような気がする。
一生分くらい聞いたのではなかろうか。
ハマり過ぎと思うが、まあいいだろう。

小2の女の子の映画ランキングでは「サウンド・オブ・ミュージック」は生涯ベスト2にまで来たそうだ。凄い。ちなみに1位は「トランスフォーマー:リベンジ」だって(笑)

その子がクライマックスシーン、音楽祭の後トラップ一家がナチに追われて修道院に隠れるシーンについて、なんであの人たちから逃げなきゃならないの?と聞いてきた。ファシズムとかナチズムとかホロコーストとかの説明はあまりに面倒くさかったので「あれは悪い国の軍隊だからだよ」と説明してあげた。第二次大戦についてあれやこれやと意見を述べてくるめんどくさいガキに早く育つことを願いながら。

小5の子「僕こんな長い映画観たの始めてだ」
私「俺は5時間くらいの映画を観たことあるよ」
小5の子「なんて映画」
私「1900年っていう映画だよ」(ベルトルッチの)
小5の子「怪獣とか出る?」
私「出ないよ。」(ある意味怪獣みたいな俳優は出るが)
小5の子「ダイハードより面白い?」(ダイハードは途中まで見せた)
私は面白いよと言っておいた。

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それはさておき、本作はロバート・ワイズの代表作であり、同じくロバート・ワイズによる「ウェストサイド物語」と並ぶミュージカル映画の傑作である。
ウェストサイドもサウンド・オブも両方ともヒロインの名が「マリア」というのも何かの縁か。

ミュージカル映画としては「ウェストサイド物語」の方が私は好きである。振り付けが見事で歌もかっこよくて俳優たちの芝居も熱くて。
しかし「音楽映画」としては「サウンド・オブ・ミュージック」の方が面白い。
「ウェストサイド」の数々の名曲は基本的に劇中で一回しか歌われないが、対して「サウンド・オブ・ミュージック」の名曲の数々はそのほとんどが2回以上歌われる。状況を変えて反復される。
マリアが高原で踊りながら歌う超有名なオープニングのナンバー「サウンド・オブ・ミュージック」は、その後トラップ大佐とその子供たちの合唱に形を変える。大佐が始めて子供たちの声に耳を傾けマリアを認める場面として。
「マリア」は最初に修道院のシスターたちがじゃじゃ馬マリアにあきれ果てる歌として歌われ、次に歌われる時はシスターたちがマリアの結婚を心から祝福する歌になる。
「私の好きなもの」は、最初はマリアと子供たちが心を通わせる楽しい気分になる歌として、次にはマリアがいなくなったトラップ家で歌えば歌うほど子供たちの寂しさがつのる歌として。
「もうすぐ17歳」は、最初はトラップ家の長女の恋のときめきの歌、次には彼につれなくされた気持ちを慰めるためにマリアが歌ってくれる。
「ドレミの歌」は、最初はマリアが子供たちに歌を教えるために歌われ、次には音楽祭でナチのプロパガンダのために歌わされているかのようになる。
「エーデルワイス」は、最初はトラップ大佐と子供たちの家族愛を唄い上げ、次には反ナチのオーストリア愛国歌としてザルツブルグ市民たちが合唱する。
「おやすみなさい、ごきげんよう」は、1回目はパーティに集まったお客さんたちへのお休みなさいの挨拶として、2回目は国外脱出を前に祖国への別れを告げるかのように歌われる。
「すべての山に登りなさい」は、最初は修道院長が愛におびえるマリアを諭すために歌われ、2度目はトラップ一家がアルプスを超えて行く感動的なラストシーンを盛り上げる合唱になる。

同じ歌も状況が変われば異なる意味を持つということを歌の反復によって描いており、「音楽」の力を教えてくれるという点においては「ウェストサイド物語」よりも勉強になる映画である。華麗なダンスが満載というわけではないから(「もうすぐ17歳」とか「おやすみなさい、ごきげんよう」は素晴らしいが)「ミュージカルの傑作」というより「音楽映画の傑作」という方がしっくりくる気がした。

[追記]
ちなみに子供らと観るので歌も含めたオール吹き替え版で鑑賞。
トラップ大佐(クリストファー・プラマー)の吹き替えは布施明。美声。

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↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円


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