ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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がん4人に1人が年収半分以下で問われる保険

2013年10月15日 | Weblog

 平成二十五年九月二十日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「がん4人に1人が年収半分以下で問われる保険」
 
を企画、取材、執筆しました。


 
 

 けさの産経新聞に「4人に1人が年収半分以下 1人暮らしのがん患者」という記事がある。それによると、NPO法人「HOPEプロジェクト」が今年6月にがんにかかったことのある男女300人の回答を集計したところ、「がんと診断されて年収が減った人」は1人暮らしで52%を占めた。このうち、「年収半分以下に減った人」は、無収入になった人(26%)を含め、46%。

 ちなみに、同法人が今年7月に公表した「がんと就労 非正規雇用のがんと就労」調査報告によると、非正規雇用の約6割(61%)、およそ3人に2人が、がん罹患後に依願退職、休職など、雇用継続に影響しているという。

 がんになると、入院や抗がん剤や、放射線治療などの長期の通院などで医療費がかさむ。健康保険に入っていると、入院などで莫大な医療費が発生しても「高額医療費」として扱われ、通常、月上限8万円超の自己負担で済む。しかし、治療が長期化すれば健康保険が適用されても100万円単位の負担になることが多い。

 しかも、抗がん剤の副作用などで身体に痛みが出ることが多いので、気力もなえ、仕事の質、量が落ちることも多い。長期入院で会社を辞めた場合は、なかなか再就職も容易ではない。つまり、収入も貯金も減ってしまうので、家計は非常にきつくなる。

 ちなみに、冒頭の産経新聞の記事には「がん診断前に民間の医療保険やがん保険に加入していなかった人は、男性が26%で、女性の9%より高い。このため、女性は65%が治療費に保険を活用したのに対し、男性は68%が預貯金を取り崩して工面していた」とあり、暗に民間のがん保険や医療保険への加入を促している。

 実際、そうした保険に入っていれば、万が一の急の出費を抑えることができることが多い。だが、どういう保険に入るかはよくよく考える必要がある。例えば、がん保険で月5千円近くかかる商品は多いが、いうまでもなく、大病はがんだけではない。国立がん研究センターの統計によると、男性10歳ががんに罹患する確率は、10年後0.1%、20年後0.3%、30年後0.8%、40年後2%、50年後8%、60年後20%、70年後39%、生涯58%。 女性10歳ががんに罹患する確率は、10年後0.1%、20年後0.4%、30年後2%、40年後5%、50年後10%、60年後16%、70年後26%、生涯43%。つまり、急速に罹患の可能性が増えるのは70歳以降だが、がん保険のなかには65歳以降は適用されない商品も多い。また、適用されるとしても高齢になるにつれ、毎月の保険料の支払い額が急激に上がるケースが多い。こうした商品は費用対効果があるのか、熟考した方がよさそうだ。

 また、最近は、がんに特化しない低額の医療保険のなかに、がんと診断されたら100万円一括で支払われる、というシンプルな特約がつく商品や、生涯定額で、がんと診断されたら100万~300万円支払われる、といった保険も出ている。こうした保険は、これまでのがん保険の相場よりも安価なケースも多い。

 医療保険というものは、往々にして、健康でぴんぴんしている人が、毎月出費する気にはなれないもので、大病でも患わない限り、なかなか加入を検討しないのが人情というものだが、現実は、入院した人は、保険加入の申請時の審査で落ちることが多い。つまり、医療保険は必要と感じたときほど、加入できないことが多い。保険会社が損しない仕組みになっているのである。であるが故に、健康な時にこそ考えておいた方がメリットがあるといえよう。(佐々木奎一)


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