ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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京都市“野良猫餌やり禁止条例”反対集会 ③

2015年02月24日 | Weblog

 なお、この緊急集会の前日2月6日、京都市はHP上に「京都市動物による迷惑の防止に関する条例(仮称)の制定に関する本市の考え方について」なる文を掲載した。

 そこにはパブリックコメントで全国から3,005通の意見がきて、その多くは野良猫への給餌に関するもので、「インターネット等を通じまして、本市の条例が、『給餌者に猫を自ら飼養することを課す』もの、あるいは、「『まちねこ活動支援事業』に反する給餌が禁じられ、罰則が課される」ものといった誤った情報が一部の団体等により広められておりますことから、御意見の中には、このような誤解に基づいて、反対されるものも多数ございました」と、暗にシンポジウム主催者のTHEペット法塾を批判していた。

 だが、前出のように、「給餌者に猫を自ら飼養することを課す」「まちねこ活動支援事業に反する給餌が禁じられ、罰則が課される」というのは、当の京都市が作成したパンフレットに基づいている。

 京都市の2月6日付の声明には、さらに「このため、先にお知らせをいたしました本市の考え方に加え、本条例の制定に関する本市の考え方を改めてお伝えさせていただきます」として、PDFで新たな文書を公開していた。

 その文面を開いてみると、猫の餌やり禁止条例について、「本市の『まちねこ活動支援事業』と同様に、周辺環境に悪影響を及ぼすことなく、適切な給餌を行っている独自の活動についても配慮し、その妨げにならないようなルールとすることも必要です」と書いてあった。

 この一文は、「まちねこ活動支援事業」(以下「まちねこ事業」)に入らないボランティアの餌やりには配慮する、というようにも読めるが、まちねこ事業と「同様」に「適切な給餌」という点が、結局、くだんの「3要件」(3人以上、町内会の同意、私有地)をクリアすることを意味しているにようにも読める。要するに、曖昧でどうにでも受け取れる文面である。

 この2月6日付の京都市の声明について、所管の京都市保健所に確認したところ、担当の男性は、パブリックコメントのときに文書に記載した、給餌者は猫を自ら飼養するか、まちねこ活動支援事業に沿う、というのは、あくまでも「お願い」で強制ではない、そのことは、主催団体の方には説明した、たしかに市の説明文書はわかりずらいものだが、パブリックコメントの際、説明文書を差し替える必要はないと判断した、と、まるで電話で説明したのに批判をやめないTHEペット法塾に非があるかのような言い方をしていたが、何度聞いても京都市の言っていることはわかりずらかった。本当に強制ではなく、お願いという意味だというならば、説明文書をわかりやすいものにすぐに差し替えて、市民にしっかり説明するのが筋である。電話や市役所内で、THEペット法塾の人に個別に言ったから…などという口約束は、いつでも反故にできる代物で、何の確約にもならない。

 なお、この担当者によると、条例はすでに2月13日に議会に提出済みで、4月1日に成立を目指すという。肝心の猫の餌やりについては、第9条で、「適正な餌やり」が必要と書いてあるだけで、具体的なことは、京都市が要綱で4月1日までに決める予定という。

 なお、この担当者は、環境省が「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月付)なるものを作成しているので、自治体としてはそれに沿った条例をつくらなければいけない、という言い方もした。しかし、同ガイドラインには、まちねこ事業の3要件のようなハードルはない。

 ただし、環境省は、昨年6月に「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン(牧原プラン)」なるものも作成している。そこには、猫の餌やりについて、「無責任な餌やりの防止(不幸な命を増やさない)」、「餌やりの防止対策」、「餌やり人への規制、餌やり人への対策」、「地域合意に基づく餌やり防止」といった文言が書き連ねてある。ひょっとしてこのプランを実現するために、環境省に指示されているのではないか? その点をこの担当者に確認したところ、環境省に指示されているわけではないが、環境省の「牧原プラン」の流れを踏まえて条例案をつくった、と言った。京都市の動きの背景には、霞が関の存在がある。

 今後、京都市の条例については、まちねこ事業の3要件のような条件を課さなければ野良猫に餌をやれないのかが焦点となるが、この点について京都市は明言しないままだ。

 現時点では、THEペット法塾を中心とした野良猫保護団体による警鐘や緊急集会により、京都市が方向転換のポーズを少しだけ取った状態に見受けられるが、これはフェイントかもしれず、何よりも「適切な餌やり」の中身がはっきりしないままなので、予断を許さない情勢である。(佐々木奎一)

 

 写真上は、2月6日付、京都市HPの声明。真ん中は、京都市が新しくアップしたPDF文書の抜粋、下は、環境省「牧原プラン」の抜粋(赤枠は筆者加筆)。

 

 京都市HP「京都市動物による迷惑の防止に関する条例(仮称)の制定に関する本市の考え方について」

http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000177678.html

 

 

 京都市動物による迷惑等の防止に関する条例案

 

http://www.city.kyoto.jp/shikai/img/honkaigi/gian/H27-2/H27-032.pdf

 

 

 環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf

 

 環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン(牧原プラン)」

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/project/download/actionplan_H26.pdf

 


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