ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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ラグビー優勝かかる早大の相手・明大でパワハラ事件

2013年12月04日 | Weblog

 平成二十五年十一月二十五日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「ラグビー優勝かかる早大の相手・明大でパワハラ事件」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 24日の各紙スポーツ面に、「早大、慶大に圧勝」(朝日新聞、日本経済新聞)、「早大、慶大に大勝」(読売新聞、毎日新聞)といった見出しで、23日に東京・秩父宮ラグビー場で行われた、関東大学ラグビーの対抗戦で、早稲田大が慶応大を69対7で破ったことを大々的に報じている。

 これで、12月1日の最終戦で、6戦全勝の帝京大が慶応大に敗れ、早稲田大が明治大に勝てば1敗で並び、両校の同率優勝となる。早大の後藤禎和監督は「まずは(次の)明治戦。チーム力を高め、勢いづいて大学選手権に入りたい」と抱負を語っている(朝日新聞より)。

 このように来週は注目の一戦が行われるわけだが、その早大の対戦相手である明大ラグビー部で、実はパワハラ事件が勃発している。そのことは11月18日付のニュースサイト・マイニュースジャパンの記事「明治大学ラグビー部で細谷ヘッドコーチが女性にパワハラ『女にウェイトトレーニングの指導はできない! 』裁判所も違法認定」に詳しい。

 同記事によれば、事件の発端は09年2月のこと。当時、低迷していた明大ラグビー部を立て直すため、学校法人明治大学は、同大OBで1年時からレギュラーとして活躍し、4年時には主将として全国大学選手権優勝を成し遂げ、日本代表でも活躍したラグビー界のスター選手・吉田義人氏に白羽の矢を立てた。

 吉田監督は、「コーチに就任してほしい」とある会社に依頼した。その会社は、スポーツ選手のストレングス・コンディショニングコーチ、トレーニング指導・コンサルタントを行う、都内のS社(仮名)という企業だった。

 吉田監督は、S社に対し、数年後のラグビー部の成績向上を見据えた、選手の基礎体力強化を依頼し、S社と明大は契約を締結。1年目は問題なく契約更新したが、その直後の10年4月、吉田監督の招へいにより、細谷直(ほそやただし)氏が、明大ラグビー部ヘッドコーチ兼ディレクターに就任してから異変が起きた。細谷氏は、明大ラグビー部時代の、吉田氏の先輩にあたる人物。「細谷氏は就任当初から、事実上の吉田監督をしのぐ権力を持ち、あたかも自身がラグビー部の人事権を握っているかのような態度」だったという(S社の面々の証言より)。

 細谷氏は、S社の女性スタッフM氏に対し、「Mのウォームアップは全くダメだ。あいつは女だからAチーム(ラグビー部の中で選手のレベルが最も高いチーム)のウォームアップで、雰囲気を高めていくことはできない」「Aチームのウォームアップは、絶対あいつには、させるな」と罵り、M氏をラグビー部のグラウンドから出入り禁止にするよう、S社取締役に要請。コーチ会議の席では「あいつ(M氏)、5月末でいなくなるんだろうな?いつまで居させるのか!」「いつまで、あいつをS社は送り込むつもりなのか!!」「なんで、試合会場に、あいつが来ているのか?俺はあいつがいるとストレスになる!!!」と怒鳴り散らした。やむをえずS社は、M氏を解任した。女性であるという理不尽な理由で担当を外されたM氏は、非常にショックを受け、PTSDに罹患してしまった。S社自体もその数か月後に明大との契約を解除とした。

 その後、M氏やS社などは損害賠償を求め、明大、吉田監督、細谷ヘッドコーチを相手取り、東京地裁に提訴。13年4月11日の一審判決では、M氏に対するパワハラが認定され、被告3者は連帯して30万円を支払うよう命じる判決が下った。(被告側は控訴し現在、二審で係争中)。

 このパワハラの首謀者・細谷氏は、つい先日11月14日に明大リバティタワーで一般学生向けの特別授業を実施していた。

 明大がパワハラを容認するカルチャーだからなのか、それともラグビーというスポーツそのものがパワハラを是認した競技ということなのか――そのことが問われよう。(佐々木奎一)


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