ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

※ブログ下記移転しました(2015年7月以降)
http://ssk-journal.com/

二木啓孝氏が語る、秘密保護法案、世界基準は『ツワネ原則』

2013年12月03日 | Weblog

 平成二十五年十一月十五日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「二木啓孝氏が語る、秘密保護法案、世界基準は『ツワネ原則』」
 
を聞き書きしました。


 
 秘密保護法案の政府案について、野党がそれぞれ修正案を出している。日本維新の会は、秘密のカテゴリー四分野(防衛、外交、スパイの防止、テロの防止)を防衛だけに限定しろ、といい、民主党は秘密の範囲が拡大することを批判して修正案を出している。みんなの党も、秘密の範囲が拡大しないように首相交代や内閣改造の後、秘密の要件を満たすか確認させる等々、修正案を出すつもりだ。

 政府自民党は、維新との修正協議を進めて、維新案の範囲を広げた形で着地させようとしているようだ。

 世界各国は、それぞれ秘密保護法案を持っているが、これは国民の人権や国民の知る権利を侵害してはならない、というのが原則となっている。この原則は「ツワネ原則」と呼ばれるもので、今年6月、南アフリカのツワネというところで、国連、欧州安全保障協力機構(OSCE、北米、欧州、中央アジアの57か国が加盟する世界最大の地域安全保障機構)など70か国から500人の専門家が集まり、14回の討議を経て決めたものだ。

 この「ツワネ原則」では、政府がなぜ秘密指定したのかを立証する責任を持たせている。つまり、議会で、これはなぜ秘密指定したのか?と問われたら、政府はその理由を述べなければいけない。一方、現状の特定秘密保護法案は、何が秘密かは秘密だ、と言って明かさない。

 また、秘密の期間についても「ツワネ原則」は、限定しろ、と言っている。例えば、米国は例外を除き秘密を、10年未満、10年、25年以下といった個別に定めた期間で自動解除、英国は例外を除き20年で解除、独国は例外を除き30年で解除、仏国は兵器を除き30年で解除となっている。

 それに比べ、日本では、秘密の解除は行政の長、つまり、大臣の裁量次第となっており、実質、期間は無期限となっている。

 さらに、「ツワネ原則」では、ジャーナリストの取材活動、市民活動家の調査活動は、あらかじめ処罰の対象外になっている。一方、特定秘密保護法案では、「秘密の管理を害する行為」は処罰の対象となる。つまり、しつこく取材をしたり、市民活動家が原発の配置図などを調査することは、処罰の対象になるということだ。

 世界基準となっている、この「ツワネ原則」に沿って、秘密保護法案はつくられるべきだが、少なくとも現状の秘密保護法案、そして、野党が出そうとしている修正案は、どれもこの世界基準から外れている、と言わざるを得ない。国会議員は「ツワネ原則」をもう一度読み返すべきだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。