ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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小沢判決 各紙政治部長コラムをジャーナリスト二木啓孝が読み比べ

2012年05月24日 | Weblog

 
 「けさの朝刊各紙は昨日の小沢無罪判決を受けた記事で大きくスペースを割いている。それぞれの分析は、おおむね、判決文を精査して、無罪ではあるが灰色判決だ、という論調である。さて問題は、この無罪判決が政治に与える影響である。

 各紙は、それぞれ政治部長が署名原稿を書いている。それを読み比べてみよう。

 朝日の曽我豪・政治部長は「政治の側がめざすべきは、司法と同様、『市民感覚』に根ざした『合理性』である(略)野党が小沢氏の証人喚問を材料に消費増税審議の引き延ばしをもくろむとしたならば、そんな非合理はまさに市民感覚を逆なでするものだ。他方、野田政権が反主流派の反抗をおそれて法案審議の先送りへと流れるのならば、それもまた、非合理の極みである。(略)判決後も記者会見さえしない小沢氏である。合理的説明のつかない政局優先の行動だと思われれば、人身は離れ」る、と。

 つまり、司法制度改革が市民感覚に根ざしているとすれば、政治も市民にわかりやすく進めるべきだと主張している。

 毎日新聞の古賀攻・政治部長は、小沢氏の政治手法を指摘し、「問題は政治とカネに限らない。旧新進党の解党後に自由党を作った元代表は、一転して『打倒対象』たる自民党に合流を迫った。この工作に失敗して孤立すると、今度は民主党との合併に転換。代表当時の07年には国会の『衆参ねじれ』に乗じて自民党に大連立を持ちかけた。(略)一貫して目につくのは、権力を奪取するため、あるいは選挙に勝つための、比類なき執念だ。これらすべてが『小沢問題』として20年近くも日本の政治を揺さぶってきた。(略)時間を空費させ、国益よりも党益を重んじる。そんな政治に終止符を打てるかどうか。政界が正念場を迎えるのはこれからだ」とのべている。

 つまり、小沢政治の手法を批判し、無罪の小沢が復権することを警戒している。

 読売新聞はどうか。玉井忠幸政治部長は、「『小沢か反小沢か』の不毛な対立で消費増税論議を混乱させるような政治の機能不全を、もう許すわけにはいかない。(略)小沢氏が掲げた改革論の多くは、権力闘争に勝ち抜くための『カード』の色合いが濃かった。(略)日本は今、浮沈の瀬戸際にある。権力闘争のために国益を棄損するようなゆがんだ政治は、与野党の良識ある勢力が足並みをそろえて乗り越える時だ」、と。

 3紙に共通するのは、小沢氏の強引な政治手法な復活に対する懸念である。

 もちろん、小沢氏のリーダーシップに期待する政治家、世論も多いが、その一方、新聞の論調はおおむね小沢氏に振り回されてきたメディアの焦りもあり、是正しろ、という声をあげているのである。復権を目指す小沢氏は、はたしてメディアを納得させつつ、政治ができるかどうか。こちらも正念場である。」(抄)
 
 
 
 
 2012年4月27日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」でジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「小沢判決 各紙政治部長コラムをジャーナリスト二木啓孝が読み比べ」
 
を聞き書きしました。


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