ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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電子レンジ事故700件とマスコミが報じない事故

2012年05月23日 | Weblog

 
2012年4月27日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「電子レンジ事故700件とマスコミが報じない事故」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
 「けさの毎日新聞に「電子レンジ事故 5年で700件超」という記事がある。これによると、「製品評価技術基盤機構」に05~10年度に報告された電子レンジ事故は706件に上り、そのうち80人がけがをし、17人が重傷を負っていたという。

 この調査結果は4月19日付の同機構HPに詳しく載っている。それによると、事故の現象別で最も多いのは「レンジ内の汚れが炭化して発火」で57件。次いで、「ほ乳びん用消毒バッグをフタをしたまま加熱して、哺乳瓶の内圧が上昇し破裂」28件、「食品を過加熱、炭化して発煙・発火」24件など。

 また、事故時にレンジに入れたモノで最も多かったのは「哺乳瓶用消毒バッグ」で28件。次いで「ゆたんぽ」25件、「カイロ」13件、「たまご調理器」12件、「ふろ湯保温機」7件、「ポップコーンメーカー」6件、「食器・容器」4件など。

 具体的な事故事例として、以下の事故などをあげている。07年11月、鹿児島県在住の20代の女性は、ほ乳びん用消毒バッグを加熱中、突然、大きな音がして、レンジの扉が開いて、ほ乳びんが四方に砕け散った。原因は、水の入ったほ乳びんのフタを付けたまま消毒したため、加熱による内圧上昇で吹き飛んだか、もしくは、ほ乳びんに入った水が「突沸」(とっぷつ。沸点以上の温度に過熱した液体が突然沸騰をおこす現象)したと考えられるという。

 10年6月、三重県の50代男性は、レンジに冷凍パンを入れて、温めボタンを押したところ、本体前面下方から発火した。原因は、被害者が本体と扉の間に付着した食品カスを清掃しなかったため、加熱調理時に食品カスにマイクロ波が集中し、炭化して火花が発生し、発火したものと推定されている。

 10年8月、埼玉県の女性(年代不明)は、レンジで温めたお粥を取り出し、容器のフタを開けたところ、突然、フタと中身が破裂して飛び散り、手や顔にやけどを負った。事故原因は、容器にフタを被せて密閉した状態で、「自動ボタン」で温めたため、お粥が過加熱状態になり、突沸が生じたものと推定されるという。

 こうした事故の防止策について、同機構は「こまめにそうじすること。また、加熱の際は時間を適当にセットすると加熱のしすぎにつながるので、決められた出力、加熱時間を守ってほしい。加熱しすぎた場合は、冷ましてから取り出して」と呼びかけている。(同記事より)

 ちなみに、こうしたユーザー側の不注意ではなく、製品そのものの欠陥による事故も多い。消費者庁はHP上で、月に何度も「消費生活用製品の重大製品事故」を公表している。そこには、様々な製品の事故が記載されていて、「製品起因が疑われる事故」については、メーカー名や製品名も公開している。

 例えば、つい先日の4月24日公表分にも、事故発生日「2012年4月8日」、製品名「電子レンジ」、機種・型式「NE-AT70」、メーカー名「松下住設機器(現パナソニック)」、被害状況「火災」、「2007年5月31日からリコールを実施 改修率 22.0%」などとある。

 こうした製品起因が疑われる事故は、それが大企業の製品であればあるほど、新聞やテレビ、雑誌などのマスコミにとって“スポンサーの製品事故”に該当することが多いので、ほとんど報じられないという現実がある。それゆえに、消費者みずからHPをチェックしたり、スポンサータブーのないジャーナリズム媒体を参照するなどの自衛策が必要ではないか。(佐々木奎一)


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