ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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笹子トンネル天井崩落と老朽化したインフラ

2012年12月27日 | Weblog

2012年12月3日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「笹子トンネル天井崩落と老朽化したインフラ」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
 けさの各紙は一面カラー写真付きで、中央自動車道上り線の笹子(ささご)トンネル(全長4784m、山梨県)の天井崩落事故を報じている。

 この事故は2日午前8時ごろ、笹子トンネル内で、コンクリート製の天井板が約110mに渡って崩れ落ち、車3台が下敷きとなって2台が炎上し、計4人以上が死亡した事件。

 現場にいた人々の話をまとめた産経新聞の記事「友達と彼氏助けて 炎と爆音 非難女性訴え」によると、ズドーンという大音響がトンネル内に響き、下敷きとなった車から炎が上がり、煙が猛烈な勢いで発生し、人々が逃げまどう情景は「地獄絵図」だったという。

 その笹子トンネルは開通前の1976年11月、会計検査院から、施行時の監督が不適切で強度が足りない場所がある、と指摘を受けていた。検査院によると、トンネルアーチ部のコンクリートの厚さ不足のほか、モルタルなどで埋めなければならないコンクリートと土の間に、一部で隙間があり、「車両通行の安全確保のため極めて重要であり、使用開始後は補修が著しく困難になる」として、適切に施工するよう処置を求めていた。

 これについて中央自動車道を管理する中日本高速道路の吉川良一専務は、「土が軟弱で苦労したトンネルだったが、その後しっかり補強工事をした。今回と直接結びつくものではない」と述べたという。

 同社の金子剛一社長は、崩落の原因は調査中で「今のところまだ分かりません」と述べている。では原因は何なのか。笹子トンネルは建設から35年経っているため、各紙は「35年経過 つり金具腐食か」(産経新聞)、「開通35年 老朽化進む」(読売新聞)、「つり天井 老朽化か」(朝日新聞)、「高速3社『経年劣化』の指摘も」(毎日新聞)、「崩落110メートル以上、老朽化か」(日本経済新聞)といった見出しをつけている。

 そうであれば高速道路は高度経済成長期に急激に建設しているので、他でも同様の事故が起きるリスクがある。

 高速道路だけではない。全国の橋梁152,000橋のうち、30年以上経過している橋は4割に上る。しかも、全橋梁の58%を管理する市区町村では、「財政的に実施困難」などの理由で、約9割が道路橋の定期点検を実施していない。(07年9月国交省調査より)

 全国に張り巡らされた水道管も、法律では耐用年数40年と規定されているが、補修せず破裂するケースが出てきている。

 こうした老朽化した全国のインフラ網を、財政難の中、メンテナンスしていく必要がありそうだ。そうしたなかで、いまだに高度経済成長期と変わらぬまま公共事業の新規建設を求める声もあるが、もはやそういう時代ではないのではないか。身を削り、少ないお金でどうやりくりしていくかが問われている。(佐々木奎一)


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