ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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『出産したらお辞めなさい』曽野綾子に異論噴出

2013年10月17日 | Weblog

 平成二十五年九月二十三日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「『出産したらお辞めなさい』曽野綾子に異論噴出」
 
を企画、取材、執筆しました。

 


 妊産婦の嫌がらせ(マタハラ)についての報道が多くなっている。今月19日付の朝日新聞夕刊にもこんな記事があった。それは「みんなどうしてる? マタハラ(マタニティー・ハラスメント)は、セクハラよりも多いんだとか。あなたの職場は大丈夫? おめでた…くない会社はツライよ」という記事。

 それによると、大阪府の会社員(34)、「現在妊娠5カ月ですが、今月末で退職します。同僚たちの、妊娠を報告したとたんに立ちっぱなしの仕事にまわされたり、子供が熱を出して早退しなければならなくなった時に泣きながら上司に報告したりする姿を見てきて、続けられないと思いました。会社は、対外的には『産休・育休制度が整った企業』とPRしてます」といった声がつづられている。

 他にも「私の視点 マタハラ 職場の無理解による流産も 小林美希」(8月24日付朝日新聞朝刊)、「はびこるマタニティーハラスメント 妊娠・出産を理由に解雇などの嫌がらせ」(7月23日付同紙朝刊)、「妊娠・出産で退職強要 職場で心ない言葉」(7月30日付読売新聞朝刊)といった記事がある。

 そんな中、作家の曽野綾子氏が、議論に一石を投じる寄稿を「週刊現代」(講談社刊)8月30日号に寄稿した。それは「『私の違和感』セクハラ・パワハラ・マタハラ 何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ」。副題は「出産したらお辞めなさい」。リードには「男性と肩を並べ、仕事をこなす。『女だからって差別しないで』、と願ったのは彼女たちだったのに。今やモンスター社員と化した女子社員に、物申す」。

 本文には、「実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理なんです。(略)ですから、女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです」と持論を展開。

 さらに「会社に迷惑をかけてまで、なぜ女性は会社を辞めたがらないのでしょうか――。子どもができたら、共働きをしないと生活が苦しくなってしまう、という心配は出てくるでしょうね。この考え方が、私とは少し違うんです。というのも、私たちが若くして子育てをした頃は、みんな貧乏暮らしをするものでした。6畳一間のアパートで新婚生活を始めて、子どもが生まれて手狭になると、やっとローンを組んで家を買う。これが当たり前でした」と世代間ギャップを指摘。

 また、「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ。産休は、いつからいつまでと期間を決めて、会社を休みます。辞めてしまって、ずっといなくなるというのなら新しい人材を補填すれば済むけれど、そういうわけにもいかない。結局、産休で抜けた人の仕事を職場のみんなでやりくりしてカバーしないといけません。こんなことでは、女性を責任あるポストに置くわけにいかないのも当然でしょう。今の産休制度は見直しが必要だと思います」「はっきり言って、何年間も仕事を離れた女性が男性と同じ出世コースを歩むのは無理でしょう。でも、それは仕方がない」とも述べている。

 この曽野氏の寄稿に対し、反論する識者が続出している。例えば、ツイッター上で「いくらなんでも酷すぎる」(写真家の蜷川実花氏)、「噴飯ものの『オッサン脳』論文(?)」(産婦人科の宋美玄氏)など。弁護士で国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子氏はヤフーニュースで「産休制度は労働基準法65条に明記された労働者保護の根幹。労働者保護のイロハのイ」としたうえで、この「最低限の労働者の権利」を攻撃する人がいるとは思わなかった、曽野氏の発言に同調する風潮がまん延すれば「女性の権利行使を躊躇(ためら)わせる」ことになると危惧。(9月5日付J-CASTニュースより)

 このように異論反論が噴出しているが、曽野氏のいう前時代の世の中のままだと、才能と学識がある女性が活躍の場を失う。そうなれば国家の損失にもつながるのではないだろうか?この国のかたちが問われる。(佐々木奎一)


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