2013年5月3日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「今日のニュースに一言」で
ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
「GW企画! 二木啓孝が語るアベノミクスの本当の争点」
を聞き書きしました。
今年前半を振り返ると、最大のエポックは安倍政権の金融政策アベノミクスだ。この大胆な金融緩和が安倍政権の支持率を押し上げているが、さて、このアベノミクス、どこに着地するのか、まだわからない。
民主党政権の3年3か月、いや、その前の自民党政権下でもデフレ脱却は困難だった。しかし、日銀に強い圧力をかけたアベノミクスで円高が止まり、株価は上がり続けている。例えば日経平均株価は、昨年11月14日の始値が8660円。この日、当時の野田佳彦首相が国会の党首討論で解散を表明した。それ以降、株価は急騰し、今年4月30日の終値は13860円。実に半年弱で5200円も上がっている。
これをもって、アベノミクスは経済再生の切り札だといわれているが、まだその結論はわからない。簡単にいえば、金融機関の国債を日銀が買い上げて、お金をどんどん市中に回せば、銀行は国債を買うよりは企業や個人に貸した方が得だ、ということになり、街にお金が溢れるだろう、という流れだ。
それによってインフレを起こすということだが、しかし、このところ、ようやく「それは違うぞ」という声が上がってきている。
インフレは、景気回復の結果であって、インフレを起こせば景気が回復するわけではない。アベノミクスを巡る論争はこの問題に尽きる。
このところ、マンションやオフィスビルを取得する企業や消費者が増えており、不動産価格が上がる兆しが出てきている。アベノミクス賛成派は「ほら見ろ」と言い、アベノミクス反対派は「お金がだぶつくから不動産に回っているだけだ。これから不動産バブルが来る」と手厳しい。
残念ながら、我々庶民のところまでこのアベノミクスの成果は届いてきていない。安倍政権にとってこの秋に消費税を上げる決断をするが、庶民のところまで恩恵が来ないじゃないか、という声が上がり、政権に失望し支持率を下げることになれば、この金融緩和も裏目に出る。その途中経過が現在である。