2012年2月27日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「4歳児暴行死、犬ミイラ化…相次ぐ虐待事件」
を企画、取材、執筆しました。
キーワードは「虐待」…。
週末からけさにかけて二つの虐待事件が報道された。一つは“児童虐待”事件である。
25日付の各紙夕刊によると、東京都新宿区高田馬場の会社員河辺竜次容疑者(27)は、24日午後1時5分頃、自宅マンションで、交際相手の女性(22)の長男、成田勇翔(はやと)君(4)が昼食を食べないことに腹を立て、勇翔君の顔や腹を数回殴った。その時、女性はコインランドリーを利用するため外出中だったという。河辺容疑者は殴った後、勇翔君をソファに寝かせていたが、午後8時55分頃、女性が「子どもがぐったりしている」と119番通報。意識不明の状態で病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。
河辺容疑者は「カッとなってやった」と供述しているという。勇翔君の胸には、今回の暴行とは別にできたとみられるあざが数か所あり、日常的に虐待が行われていた可能性もあるという。
もう一つは“動物虐待”事件である。25日付の読売新聞夕刊によると、大阪府松原市内の共同住宅の一室にミニチュアダックスフント十数匹を置き去りにしたとして、大阪府警は動物愛護法違反(遺棄)容疑で、住人の女(24)の逮捕状を取った。
女は一人暮らしで、自宅で13匹飼っていたが、昨年秋頃からほとんど家に帰らなくなり、異臭がするとの通報を受けて府警が調べると、散乱したごみの中やベッドの上などで10匹の死骸が見つかった。1匹はミイラ化していた。
生存していたオス2匹とメス1匹(5歳前後)は、獣医師の検査の結果、やややせてはいたが、健康状態に問題はなかったという。
児童と動物の虐待――。この二つは密接につながっているという指摘は以前からある。例えばアメリカ人道協会が2003年に全米で起きた1,373件の動物虐待を調査したところ、「意図的な動物虐待ケースの約15%で、ドメスティック・バイオレンス(DV)や児童虐待、配偶者や子どもが動物の苦痛を目撃することや老人虐待を含む、家庭内暴力が発生」していたという。
子どもへの暴力、動物虐待、DV、老人虐待…これらはリンクしている。通底しているのは「自分より弱いものに対する暴力」という点である。こういう卑怯で浅ましい行為が、はびこらない世の中にしていくにはどうすればよいか――。そのことを一人一人が考えていく必要があるのではないか。